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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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751部分:第百十四話 狂闘士の長その三


第百十四話 狂闘士の長その三

「何があろうともです」
「何があろうともですか」
「貴方達と同じです」
 またしても言葉は平行線であった。彼等の間にはどうしても相容れない二つのものが存在していた。戦いの神に仕える者同士でもだ。
「アーレス様の御考えこそが無謬のものですから」
「無謬ですか」
「貴方達にとってもアテナはそうした存在ですね」
「否定するつもりもありません」
 ムウはまた目を閉じていた。そのうえでの言葉だった。
「貴方達と私達はやはり」
「アーレス様とアテナが同じように」
「そうですね」
 また言葉が交えられる。
「だからこそ私達は再び」
「闘うことになります」
「それではです」
 ムウからの言葉だ。
「ルキフグス、闘いましょう」
「はい、アリエス」
 お互いを呼んだ。
「貴方を倒してアーレスの前に向かいます」
「アーレス様の御前にはいかせません」
「私達のどちらが勝つか」
「それを確かなものにしましょう」
 小宇宙がそれぞれ湧き起こる。ムウはその中でまたリーヴェに対して言ってきた。
「ルキフグスですね」
「それが何か」
 彼の司るその魔神についての言葉だった。
「魔神達の中では宰相でしたね」
「はい、そうされています」
 そのことも認めたのだった。
「我が魔神ルキフグスは魔界の宰相、魔界の主の側近中の側近であると」
「八大公はそもそも魔界の領袖達である魔神達」
 そうした意味でアスタロトもベルゼブブもベリアルもだ。彼等はいずれも魔神達の中でも傑出した力を持つ魔界の重臣達であるのだ。
「その中でも貴方は」
「八大公の中に序列はありません」
 リーヴェは序列の存在については否定した。
「しかしです」
「それでも、ですか」
「私は同志達のまとめ役とされることが多いです」
 このことは認めるのだった。
「それは確かです」
「そうですか。それはですか」
「はい」
 ムウに対して頷いてもみせたのだった。
「その通りです」
「成程、やはりそうなのですね」
「貴方達黄金聖闘士にも序列はありませんね」
「はい、その通りです」
 ムウもこのことは認めた。隠すこともしなかった。
「我々はアテナ、そしてその代理人である教皇の前に平等です」
「平等ですか」
「まさにその通りです」
 また述べたムウだった。
「誰もがです」
「聖闘士に黄金、白銀、そして青銅の違いこそあれどですね」
「それぞれの階級では誰もが平等です」
 これは聖闘士の特徴の一つである。そして黄金聖闘士の者達には突出した権限や任務が与えられる。黄金聖闘士は聖域の中心でもあるからだ。
「貴方達もそうした意味では同じですね」
「爵位はあります」
 狂闘士達を形成するものの一つだ。これが彼等の階級になっているのだ。
「しかしです」
「それ以上に、ですね」
「はい、同じ爵位にあっては序列はありません」
 こうムウに述べるのだった。
「私は同志達と全てにおいて対等です」
「しかしまとめ役ではあるのですね」
「そうです。私は参謀でありまとめ役を務めることがままあります」
 リーヴェは静かに述べた。
「そうした意味では宰相なのでしょう」
「そういうことですか」
「これでおわかりでしょうか」 
 ここまで話したうえでのムウへの問いであった。
「私の立場は」
「はい、有り難うございました」
 闘いの間であったが優雅に礼を述べたムウであった。
 
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