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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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750部分:第百十四話 狂闘士の長その二


第百十四話 狂闘士の長その二

「我等の全てなのです」
「そこまで忠誠を誓われていますか」
「貴方達がアテナに忠誠を誓うのと同じです」
「それとですか」
「その通りです。それと同じです」
 リーヴェの言葉は続く。
「だからこそ我等はアーレス様を崇拝しています」
「アーレス。戦いの神」
「アテナと同じですが」
「いえ、それは違います」
 リーヴェのその言葉は否定した。
「アーレスの戦いは破壊と殺戮、侵略と闘争の戦いです」
「それが何か」
「アテナの戦いは違います」
 ムウは今度はアテナの戦いについて述べた。
「それはです」
「違うのは知っていますが」
「アテナの戦いは守る為の戦いです」
 それであるというのである。
「人々を守り、その為に力と智恵を奮う戦いです」
「それであるというのですか」
「アテナは自ら攻めることはしません」
 それは否定しているというのだ。
「そして破壊も殺戮も好みません」
「戦いはそれにより彩られ破壊こそが全ての再生であるというのにですか」
「破壊にも殺戮にも何もありません」
 ムウはこのことは目を閉じて語った。
「そう、何もです」
「破壊の後の創造を理解されないとは」
「貴方達のそれは果てしない闘争ですね」
「その通りです」
 レダはそれも否定しなかった。
「神も人も止まっていては何もなりません。それよりもです」
「戦いですか」
「それにより全てを進めます」
 リーヴェはここでアーレスのこの考えを述べた。
「永遠に続く破壊と殺戮により世の中を作り変え続け無駄な存在を淘汰し侵略し合い闘争を続けることで互いに高め合います」
「それがアーレスの理想ですか」
「もう御存知ですね」
「はい」
 ムウはリーヴェの今の言葉に頷きはした。
「それはその通りです」
「では何の問題もない筈ですが」
「知ってはいます」
 ムウはまた言った。
「ですが」
「ですが、ですか」
「それを受け入れることはできません」
 目を閉じてそのうえでの言葉だった。
「貴方達のそうした考えはです」
「受け入れられませんか」
「そうです。私はアテナの聖闘士です」 
 これこそがムウの全てであった。彼はここからはじまる。そう、全てであるのだ。
「ならばそうした考えはです」
「絶対に受け入れられないというのですね」
「そういうことです。これも御存知ですね」
 言葉を返す形になっていた。
「私のこの考えもまた」
「その通りです」
 今度はリーヴェが言葉を返した。そのまま逆になったやり取りだった。
「それはです」
「そうですね。私は狂闘士です」
 やはり彼もこう言うのだった。話は完全な平行線であった。
「アーレス様に絶対にお仕えするからこそ」
「貴方達にとってはアーレスはまさに絶対なのですね」
「絶対にして全てです」
 言い切った。まさにそれだった。
「それ以外の何者でもありません」
「絶対以外にはありませんか」
「その通りです。だからこそ貴方達とは決して相容れません」
 このこともはっきりとムウに告げた。
 
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