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作られた善行

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第四章

「猿が人間様の料理食うなってな」
「思ってか」
「入らなかったさ」
「兄貴本当にこの一家嫌いだな」
「御前以上にな」
 それこそというのだ。
「嫌いだよ」
「やっぱり品がなくてスポーツマンシップがないからか」
「大口叩くし礼儀作法もなってないし八百長の話もあるしな」
「つまり全部か」
「この一家は何から何まで嫌いだよ」
 まさにその全てがというのだ。
「というか好きになれる要素ないだろ」
「それはな」 
 正樹も兄に答えた。
「マスコミは持て囃してるけれどな」
「どうせマスコミも視聴率稼ぎにな」
 無理をしてというのだ。
「持ち上げてるんだよ」
「視聴率の為か」
「兄弟三人で一家団結してボクシングやってるんだ」
「更生してか」
「それでチャンピオンにでもなればな」
 格下の相手との試合が続き八百長の話があろうともというのだ。
「視聴率アップにはなるだろ」
「まあそうだな」
「だからな」
 それでというのだ。
「こんな奴等でも持て囃すんだよ」
「作られた虚像か」
「そうだよ、その善行もな」
「一家団結してだの更生とかもな」
 そうしたことも善行にしてというのだ。
「全部な」
「視聴率の為か」
「その証拠にテレビでは持て囃してもネットじゃ違うだろ」
「ああ、この一家のネットでの評判なんてな」
 それこそとだ、正樹も言う。
「最悪だな」
「兄弟三人も親父もだろ」
「品が無い、八百長するな、スポーツマンシップ守れ、ちゃんとした相手と戦え」
「悪役そのものだろ」
「それも頭の悪いな」
「それが実際なんだよ」
 この一家のというのだ。
「下品な猿と変わらないんだよ」
「まあそれがだろうな」
 正樹も兄のその言葉に頷く。
「この一家の実像だろうな」
「そうだよ、こんな奴等テレビに出すなんてな」
 それこそとだ、優樹はさらに言った。
「子供の教育にも悪い、害にしかならない」
「そんな奴等が何時までテレビに出られるか」
 ネットでの評判は散々でも、というのだ。
「わからないか」
「誰にも絶対にフォロー出来ない馬鹿を一家のどいつかがやればな」
 その時はとだ、優樹は忌々しげに言った。
「叩かれて終わるさ」
「兄貴は早くそうなって欲しいだな」
「そうだよ、こんな奴等な」
 実に苦々しけに言い続けていた。
「早くテレビから消えて日本からいなくなれ」
「本当に嫌いなんだな、この一家が」
「何度でも言う、死ぬ程嫌いだよ」
 完全に否定している言葉だった。 
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