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提督はBarにいる。

作者:ごません
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提督と艦娘達の夏休み~BBQ大会編・5~

 さてさて、野菜や肉も大分消費して腹も満たされてきた。そろそろ〆の料理の出番だろうか。俺個人が考えるBBQの〆……それは『焼きそば』である。今回は定番のソースや塩味ではなく、変わり種の焼きそばを3種類披露したいと思う。



《ナンプラーとレモンで!エスニック風焼きそば》

・焼きそば用生麺:5~6玉

・ニンジン:1本

・キャベツ:1/2玉

・もやし:1袋(200g)

・剥き海老:200~300g

・レモン1/2個

・ごま油:50cc

・塩:適量

・粗挽き胡椒:適量

・ナンプラー:50cc~

・ビール100cc~

・白すりごま:適量

・パクチー:お好みで



 まずはナンプラーを使ったエスニック風味の焼きそばだ。焼きそば麺は袋詰めになっていて固まっているから、袋から出してザルなどにあけてもみほぐす。ニンジンは銀杏切り、キャベツは4cm角位の角切り、もやしは袋から出して洗っておき、水気を切る。

 食材の準備が出来たら、熱した鉄板に油を引かずに焼きそば麺を広げて空焼きする。これが美味しい焼きそばのポイントその1だ。家庭の焼きそばが屋台の焼きそばのようにパラパラにならずにベチャッとしてしまうのは、火力不足が大きな要因だ。焼きそば麺が炒まる前に野菜の水分を吸ってしまい、麺がふやけてしまうのだ。だからこそ、先に麺に焼きを入れて水分を入りづらくするのだ。麺は焦がさずカリカリになる位まで焼いたら、一旦麺は取り出して避けておく。

 再び鉄板を熱し、ごま油を引いて油が温まったらニンジン、キャベツ、海老、もやしの順で鉄板に入れて炒めていく。ある程度火が通って来たら先程空焼きしておいた焼きそば麺を加えて、具材と混ぜたらここにビールを全体に回しかけ、蒸し焼きにする。

 またも屋台の焼きそばを引き合いに出すが、麺は1本1本ほぐれているが、ふっくらとした仕上がりだ。これも専用のガスコンロの高火力の為せる技だが、家庭のガスコンロやバーベキューの炭火で再現するには麺を空焼きにして、具材と別々に火を通した後に、合わせて蒸し焼き。これが一番楽だと思う。ビールを使うってのもポイントだな。水や酒だと蒸し焼きにした時に麺が水分を吸いすぎたり、酒の香りが付きすぎたりする。しかしビールならば適度な水分とアルコールに炭酸、それに麦芽が含まれているので、鉄板で焦がすと香ばしい香りが麺に付くのだ。焼きそばを蒸し焼きにするならビール。これは家庭での調理にも応用できるぞ。

 蒸し焼きにして野菜と海老に火が通ったら、塩、胡椒、ナンプラーを加えて炒め合わせて、仕上げにレモンを搾って回しかけて白すりごまをふり、お好みでパクチーを散らせば完成。ナンプラーが無い時には他の漁醤でも代用できるぞ。しょっつるとかな。魚醤とレモンの組み合わせがエスニック風味を際立たせてくれる。





《ご飯も進んじゃう!?インディアン焼きそば》

・豚小間切れ肉:150g

・キャベツ:1/4玉

・玉ねぎ:1/2個

・焼きそば麺(粉末ソース付き):3玉

・ドライカレーペースト(140g):1瓶

・パルメザンチーズ:適量

・ビール:100cc

 エスニックの次は、皆大好きカレー味の焼きそばを。キャベツは4cm角の角切り、玉ねぎは櫛切りにしておく。

 さっきと同様、麺をほぐして空焼きにして一旦避けてから、豚小間切れ肉、キャベツ、玉ねぎを加えて炒める。今の内に粉末ソースをビールで溶いておこう。

 具材に火が通ったら空焼きにした麺を加えて混ぜ、ソースを溶かしたビールを回しかけ、味付けと同時に蒸し焼きに。ソースを入れたらすかさずドライカレーペーストを加えて混ぜ、しばらく蒸し焼きにして水気を飛ばす。

 仕上げにパルメザンチーズ、お好みで青のりを振ったら完成。カレーとソース、チーズの組み合わせが合わないと思うか?相性バッチリだよな。まずいハズがねぇ。




《決めては酢醤油!?さっぱり焼きそば》

・焼きそば麺:4玉

・豚小間切れ肉:200g

・水菜:2株

・パプリカ(赤):1/2個

・長ネギ:1本

・もやし:1袋

・しょうが:少々

・酢:大さじ5

・醤油:大さじ5

・砂糖:小さじ1

・粗挽き黒胡椒:少々



 エスニック風、カレー味ときて最後は酢醤油で焼きそば。酢醤油が焼きそばに合うのか?と思われるかもしれんが、そこは自分で確かめてくれ。

 長ネギとパプリカは細切りに、水菜も食べやすい大きさに切り揃え、もやしは袋から出して洗っておいて生姜はみじん切りに。

 後は上2つと同様に麺を空焼きにし、麺を別にした後で鉄板に油を引いてみじん切りにした生姜を炒めて香りを出す。そこに豚小間切れ肉を加えて炒める。肉に火が通ったら刻んでおいた野菜を加えて更に炒め、野菜がしんなりしたら酢、醤油、砂糖を加えて黒胡椒で味を整える。

 空焼きにした麺を加えてサッと炒めたら盛り付け。このメニューは麺がカリカリの方が美味いんでな、蒸し焼きは無しだ。食べる時に追加で酢をかけても美味いぞ。






「や~ん、美味しいぃ~♪」

「このレモン味がなんとも……」

「カレー味もビールに合うなぁ!」

 どれも好評だ、よかったよかった。さて俺も食べるか、と皿と箸を手にした時、

「あ~っ!ズルいねdarling!」

 来やがった。さっきまでくたばっていた嫁艦共がようやく起き出してきたのだ。先頭に立ってるのは金剛だが……若干膝が震えてんぞ。大丈夫か?

「darlingばっかり美味しそうな物食べてズルいデス!」

「あ?寝坊した奴が悪いだろうが。武蔵と長門を見ろ、あいつらは早く起きてきて食ってるぞ?」

 呼ばれたか?とイカ焼きをくわえたまま長門と武蔵がこちらに顔を覗かせてくる。

「あっちの体力バカ2人と一緒にしないで下サーイ!私、とってもデリケートなんですよ!?」

 いやいや、鎮守府最高練度が何をほざくか。というか、仲間を貶すような発言はどうかと思うが。

「ならこっちきて焼きそば食えよ。俺は冷やしといたスイカ食うから」

 実は山雲農園で採れたスイカを、海水に浸けて冷やしておいたのだ。スイカ、と聞いて目の色が変わったのが6人。

「スイカと聞いて!」ガシッ

「スイカは譲れません。赤城さんでも」ガシッ

「早くください!」ガシッ

「スッイッカ!スッイッカ!」ガシッ

「わ、私も……」チョン

「私も~♪」ガシッ

1・2・5航戦の嫁艦達である。わかった、やるから俺の腕を離してくれ。丸々としたスイカを8等分にして、一切れずつを手渡してやる。波止場に腰かけて7人でかぶりつく。尻が日に焼けたコンクリで熱いが、よく冷えたスイカは喉の渇きも癒してくれるので尚美味い。真っ赤な身の中には甘いジュースと水分がたっぷり詰まっている。正に夏の味、って感じだ。

「「「「「「頂きまーす!」」」」」」

シャクシャクシャクシャクシャクシャクシャクシャク×6

 無言でむしゃぶりついてるよ。よっぽど空腹で喉渇いてたんだな。……まぁ、あの『パーティ』の後で部屋にすし詰め状態で炎天下の中で気絶してた(又は寝てた)んだ、当然っちゃ当然か。

「種無しのスイカがあればいいんですが。……あぁ、提督は種無しでは困りますよ?」

 どさくさ紛れに何言ってやがるんだ加賀。こいついよいよ遠慮が無くなって来たな……。

「スイカも提督も、種ありが良いんじゃないですか加賀さん」プップップップップッ

 そう言いながら口から種を連射しているのは蒼龍。やめろよはしたない。

「種をほじくるのもスイカの楽しみですよ、加賀さん。提督の種は搾り取る物ですけど」

 ……お前もか、赤城(泣)

「なんか甘味が足りないなぁ…」

「私ももう少し甘い方が……」

「あ、じゃあ私塩取ってくるね!」トテテテ

 あっちの端の方の飛龍・翔鶴・瑞鶴の平和な事。こっちの三人は肉食系過ぎる。

「いい加減にしなさい、蒼龍。他の娘が真似したらどうするの」

 種の連射を性懲りもなく続けている蒼龍を咎める加賀。しかし蒼龍は止める気配がない。

「タネマシンガン!」プップップップップップップップップップッ

「やめんかっ!」ゴン

 それでも止めない蒼龍に拳骨。殴られた蒼龍は勢い余って海に落ちてしまった。

「うへえぇ~……さっき着替えたばっかりだったのにぃ!」

 ずぶ濡れになった蒼龍がむくれて怒鳴っている。濡れた胴着が九九艦爆(意味深)に貼り付いて、その大きさを強調させている。

「自業自得だ、反省しろバカタレ」

 そんな蒼龍の姿にどっと笑いが起きる。戦争の真っ最中だってのに、これだけ笑えるってのはいい事だ。心に余裕がある証拠、この笑いが消えてしまえばジリジリと追い詰められてしまう。こんな穏やかな日があってもいい……本気でそう思える、夏の一幕だ。 
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