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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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716部分:第百六話 剣と剣その二


第百六話 剣と剣その二

「揺らぐことはない」
「そうだというのだな」
「その言葉は嘘ではない」
 ジークはシュラのそうした言葉を聞いて静香に述べた。
「目を見ればわかる」
「目でか」
「口で何を言おうとも目で偽ることはできはしない」
 ジークは実際にシュラのその目を見ている。お互いに強い光を放っている。まさに星と星の瞬きがぶつかり会っている、そうしたものだった。
「それはカプリコーン、貴様とてだ」
「このシュラ、嘘を言うことはない」
「それはないか」
「間違ってもだ。聖闘士が偽りを言うことはない」
 また言うシュラだった。
「例え何があろうともだ」
「それは我等とて同じだ」
「狂闘士もか」
「我等が行うのは戦い」
 このことを告げるのである。
「それ以外の何でもないからだ」
「だからこそか」
「そうだ。敵は正面から戦いそのうえで倒す」
 言葉には絶対のものさえ宿っていた。
「だからだ。それで何故嘘が必要か」
「アーレスもまた同じか」
「アーレス様が嘘を仰ることはない」
 ここでもアーレスへの絶対の忠誠、信頼を見せる。ジークもまたそうしたものを持っているという意味でアーレスの狂闘士であった。
「あの方は真の誇りを持っておられる方だからだ」
「真の誇りか」
「そうだ、それをだ」
 持っているというのである。
「だからこそだ。嘘を仰ることはない」
「真の誇りか」
「オリンポスの神々の誰もが認めようとしなかった」
「アーレスの誇りをか」
「だが我等は違う」
 それはだというのだ。ここでも彼の忠誠と信頼が出ていた。
「我等はアーレス様の誇りを知っている」
「神としての誇りか」
「オリンポスの神々にも天闘士にもわからぬものだ」
「それは何故だ?」
「あの者達にあるのは己達だけだ」
 冷徹なジークも今は感情が見られた。気の遠くなる程の年月の間で積み重なったそれがつい表に出てしまっているのである。それなのだ。
「アーレス様を認めず愚弄しだ」
「愚弄か」
「そしてアーレス様に忠誠を誓った我々もまた排除したのだ」
「そしてオリンポスから去ったのだな」
「そうだ。だからこそ今トラキアにいる」
 そうだというのである。彼等がトラキアにいる理由はそれなのだった。
「まずはこの地上を制しだ」
「そして天界もか」
「アーレス様は地上と天界を治められるのだ。そして我々もまた」
「栄誉を受けるというのか?天闘士達が持っているそれを」
「我等には興味のないことだ」
 栄誉はというのだ。それには興味はないというのだ。
「栄誉なぞ既に受けている」
「受けているか」
「そうだ、アーレス様にお仕えすることそのこと自体がこのうえない栄誉なのだ」
「惜しいな」
 シュラはそんなジークの言葉を聞いて述べた。
「それだけの志を持ちながら」
「アーレス様にお仕えしていることがだというのか?」
「それは違う。貴様が敵であるということだ」
「そのことがか」
「そうだ、貴様と敵であることがだ」
 そのことが惜しいというのである。シュラはここでも偽りを語ってはいなかった。真実を語りだ。そのうえで目の前のジークを見据えるのであった。
「そのことがだ」
「惜しいか」
「惜しい、だが」
「闘うのだな」
「貴様も逃げる筈がない」
 それは最初から有り得ないとわかっていた。既にだ。
 
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