ガンダムビルドファイターズ ~orbit~
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追憶の未来 後編
「おおおぉぉぉぉぉぉぉっ!! 」
『ちっ! 』
赤黒いアルケオニスガンダムは黒い翼を腕と刀に巻き付けるようにし、水平に斬り払う。だが、旋回しながら刀で受け流し、そのまま距離を詰める。
刀を降り下ろし、赤黒いアルケオニスガンダムの左肩を切断し、刀を翻して胴体に斬りつける。だが、浅かったため致命傷となるほどの傷ではなかった。
赤黒いアルケオニスガンダムは左手を赤黒く染め、ゴッドフィンガーを突き出してきた。だが、それよりも速く刀から左手を離し、赤と金色の光を纏ったゴッドフィンガーを、ユキヤのゴッドフィンガーにぶつける。
威力は拮抗し、刀を振るわれた事で後退し、またすぐに接近する。
ーーー--
「あの現象…………アシムレイト? 」
アルケオニスガンダムに起きた、赤と金色の光を纏う現象に驚きながら口にする。
「「アシムレイト? 」」
「ファイターとガンプラが一体となり、思い込みによるプラシーボ効果により、機体性能が格段に上がる事だ。無論、機体が受けたダメージも、ファイターに反映される」
「まさか、カグラが出来るようになるとはね…………」
私達がそう言っていると、モニターを見ていたウスイさんが口を開いた。
「いや…………反応ではアシムレイトとは少し違いますね。う~ん…………こんなの初めてですね。あとでハルカゼさんに話そう」
「えっ…………じゃああれはなんなんですか? 」
「考えられる可能性として、高濃度のプラフスキー粒子が、ファイターやビルダーの気持ちを反応しやすくなったのが原因かもしれないですね」
「それって…………今回限りの力ですか」
「多分、そうですね」
ウスイさんの言葉に私はカグラ君とアルケオニスガンダムを交互に見る。
…………まだ強くなれるのね。彼も、アルケオニスも。
ーーー--
「ヒロヤ君。レイ君の方を見てみなよ」
「…………なんだあれ? 」
グラディウスRにMA級の粒子を纏わせ、斬撃波を放ち、モックを斬り裂いていく。
「なんなんだろうね~? 」
ハイマットフルバーストを放ち、モックを次々と撃破していく。
「アシムレイト…………ってわけじゃないよな? 」
「多分違うだろうね~。推測だけど、アルケオニスガンダムはゴッドガンダムとウイングガンダムをニコイチにして製作したガンプラ。
ゴッドとウイングはパイロットの精神に呼応するシステムがあるし、プラフスキー粒子の濃度も高い。
それによりアシムレイトに近いものが発生したって感じかな?あれは、擬似アシムレイトってところかもね」
「成る程、な! 」
ザンユニットのアームを展開し、ソードファンネルⅡを二刀構えての四刀流でモックを撃破していく。
「じゃあ、機体のダメージの反映とかは無いんだろうな? 」
「それは分からないかな?けど、擬似アシムレイトだし、可能性は低いと思うけど」
バックパックをパージし、アストライアブースターに変形させてアウローラガンダムの援護に向かわせる。
「まっ、僕達は僕達に出来ることをやろう」
「そうだな」
ーーー--
ギィィン!
ガキィィィン!
「ふっ! 」
『はっ! 』
空中で交差するたびに、攻防を繰り返す。先程よりもダメージを与えられるようにはなったが、致命傷とまではいかない。
『しつこい! 』
赤黒いアルケオニスガンダムは、黒い翼ごと凪ぎ払うかのように刀を振るってきたが、攻撃の下を潜り込むように回避して接近する。
すれ違い際に刀を振るい、赤黒いアルケオニスガンダムの左翼を切断する。
『ぐっ…………! 』
「まだだ! 」
宙返りし、再び赤黒いアルケオニスガンダムに接近する。それを拒むかのように黒い翼を広げ、攻撃範囲を広げて凪ぎ払ってきた。
「うおおおぉぉぉぉぉっ!! 」
刀を振り上げ、凪ぎ払われた黒い翼を切断する。
『なっ…………!? 』
黒い翼により見えてなかったが、アルケオニスガンダムに纏われていた光は増幅しており、より輝きが増していた。
『マズっ! 』
「く、ら、えぇぇぇぇぇぇっ!! 」
赤黒いアルケオニスガンダムは刀を構えて防ごうとするが、刀ごと斬る勢いで攻撃する。切断することは出来なかったが、互いの刀に亀裂が入り、赤黒いアルケオニスガンダムは地面へと叩きつけられた。
『くそっ…………くそっ、くそっ、くそっ!なんで…………! 』
赤黒いアルケオニスガンダムは地面から立ち上がり、前方に降りてきたアルケオニスガンダムを見てくる。
『なんでまた僕が…………! 』
「そんなに不思議か?お前が圧されていることが」
『っ勝ち誇ったように言うな!ガキが! 』
「ガキはお前もだろ……………ユキヤ。お前は確かに強ぇよ。けど、一人じゃ限界があんだよ。仲間を作らないお前じゃ、何かあった時に潰れる」
『黙れよ!レイは仲間がいてもいなくても潰れてたろ!? 』
「そうだな。けど、それは俺が仲間として思ってなかったからなんだ。あまりにも当たり前過ぎて、それが大事なものだと気づいてなかったんだ」
だから…………俺は失って初めて気づいたんだ。
「何かあったら、仲間を頼っていいと知ったんだ。アイツらは一緒に背負ってくれると言ってくれた」
『そんなの口だけだろ! 』
赤黒いアルケオニスガンダムは刀を構え、こちらに接近してきた。
「その可能性はあるかもな。けど、それでも俺は…………」
目を閉じ、仲間や家族、皆の事を思い浮かべる。すると、アルケオニスガンダムの輝きが更に増す。
「自分自身と、アイツらを信じてみたいんだよ! 」
目を見開くと、アルケオニスガンダムの周囲に、アルケオニスガンダムと同じ機体が赤、青、黄、緑の四体が現れた。
『!ゴッドシャドー!? 』
ゴッドシャドーで現れた分身体は、赤黒いアルケオニスガンダムに接近してきた。刀と黒い翼で分身体を凪ぎ払ったが、粒子で出来ていた分身体はすぐに元通りになり、目の前まで接近していた。
「ゴッドフィンガー! 」
赤色の分身体は右手にエネルギーを込め、ゴッドフィンガーを放つ。攻撃した直後だったため避けきれず、左肩を破壊される。
「スラッシュ! 」
次に青色の分身体はゴッドスラッシュの応用で刀にエネルギーを込め、縦に一閃、左胸部を斬りつけた。
『ぐぅ…………! 』
「石破……天驚拳! 」
黄色の分身体は石破天驚拳の構えを取っており、そのまま石破天驚拳の球体を撃ってきた。攻撃されたばかりというのもあり、まともに回避することが出来なかった。
「コイツで…………終わりだっ!! 」
緑色の分身体は刀を突き出しながら突撃し、目の前まで迫っていた。
『これ以上はやらせない! 』
突き出された刀を弾き、逆に分身体に向けて刀を突き出す。すると最後の分身体は消えたが、同時に赤と金色の光を纏ったアルケオニスガンダムが飛び出てきた。
『しまっ───!』
「アサルト…………ツヴァイ!! 」
アルケオニスガンダムは刀を構え、がら空きになったユキヤに対し、一瞬にして四角形を描くように刀を振るってきた。それは、サオトメ ヒロヤが放った技と同じものだった。
赤黒いアルケオニスガンダムは右腕、頭部、腰、胴体を切断され、地面へと倒れ込んだ。
『そん、な…………』
「俺の勝ちだ…………ユキヤ」
『BATTLE ENDED』
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