聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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714部分:第百五話 光の力その四
第百五話 光の力その四
「そしてアーレス様もだ」
「アーレスもか」
「我等の考えは否定され疎まれるものでしかなかった」
「だがその中でか」
「我等はアーレス様に受け入れられたのだ」
「そして今に至るのだな」
「そのことは忘れはしない」
決してという口調だった。
「我々はアーレス様の為に何処までも戦う」
「貴様達の人としての心故にだな」
「その通りだ。それではまた会おう」
「そうだな。また会おう」
アイオリアも彼の言葉に応えて返した。
「次の戦いの時にはだ」
「思えば天界で孤独に苛まれていた彼等がアーレス様に出会い」
「そしてだな」
「そのうえで貴様の様な男に出会えた」
このことも話すのだった。
「思えば幸せなものだな」
「俺もまたそうだな」
「レオ、貴様もか」
「アテナに出会えそのうえ貴様の様な男と闘えた」
彼もまた言った。
「幸せなことだな」
「その言葉有り難く受け取っておく」
リゲルは何とか立ちながら言葉を返した。
「ではな。レオよ」
「去るか」
「今はそうさせてもらう」
不敵に笑ったうえでの言葉だった。
「ではな。さらばだ」
「また会おう」
リゲルの小宇宙が消えた。立ったままであったが。
そしてアイオリアはそれを見届けてだ。静かに言うのであった。
「見事だった」
そのリゲルへの言葉である。そう言ったうえで玄室を後にしさらに奥に向かった。
この戦いも見られていた。見ている者達が話をしていた。
「さて、これでアテナがまた勝ったな」
「これで勝利は三つ」
「あと九つの勝利が必要だが」
「どうなるかだな」
「そうだな」
こう話していく。
「さて、それにしてもだ」
「どちらが勝つかだな」
「聖域かトラキアか」
「アテナかアーレスか」
言葉は楽しむものだった。それと同時に上から見るものでもあった。
「どちらかだな」
「さて、どちらが勝つ?」
「そしてその後はどうなるかだ」
「まあそうね」
ここで女の一人が言ってきた。
「アーレスが有利ね」
「本人がいるからだな」
「それは」
「ええ、そうよ」
女はそれを理由とした。
「だからこそ。アーレスが勝つわ」
「それに対してアテナはいない」
「これは大きいな」
「そうだな」
それを受けての他の言葉だった。
「神がいるといないのとでだ」
「それだけで全く違う」
「しかもだ」
彼等はさらに話していくのだった。
「彼等には四柱の神々がいる」
「そして争いの女神エリスもな」
「その存在も大きい」
「神は六柱」
その数も述べられた。
「それに対して聖域はアテナすらいない」
「勝負はあったか?」
「いや」
しかしであった。ここで一人が言った。重厚な声であった。
「それはどうか」
「といいますと」
「聖域が勝つのですか」
「この戦いは」
「そうなのでしょうか」
「その可能性はある」
重厚な声がまた述べてきた。
「何が起こるかわからない」
「しかしです」
「彼等には神がいません」
「それは否定できません」
それが大きいというのだ。やはりそうなのだというのだ。
「所詮人が相手ではです」
「どうしようもないのではないでしょうか」
「神には勝てません」
「どうしてもです」
「いや、わからないな」
だがその声は言うのだった。確かな声だ。
「あの黄金聖闘士達の強さもかなりのものだ。若しかするとだ」
「ふむ、そうですか」
「貴方がそう仰るのならば」
「もう少し見ていきましょうか」
そうしていくというのだった。彼等はここでもう一度戦いを見ることにした。そのうえで彼等の周りにあるものが出て来たのであった。
「うむ、これだ」
「これこそが我等の飲むべきもの」
「そして食するべきものだ」
「その通りです」
彼等はその黄金に輝くものをそれぞれの手に取り飲み食いをはじめた。そうしながらまた闘いを見ていくのであった。
「我等から離れてアーレスについたあの愚か者達と」
「アテナにのみ忠誠を誓うあの者達」
「あの者達のどちらが滅びようとも我等にとってはいいことだ」
「まさにな」
これは彼等の事情だった。
「さて、戦ってもらうか」
「できれば共倒れになってもらいたいものだ」
「そうだな」
こう話していく。そうしてであった。
「さて、それではだ」
「次の闘いはだ」
「どの者達が闘う?」
「果たして」
こういいながら観ていくのだった。彼等の戦いは何者かに見られていた。それは決して見えるものではない。だが彼等は確かに観ていた。そしてそれを観ることを楽しんでさえいるのであった。
第百五話 完
2010・3・22
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