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提督はBarにいる。

作者:ごません
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6月第3日曜日・2

 最終的には鎮守府の全ての艦娘が関わる事になった提督への感謝を示すパーティ。その料理は各姉妹艦からの立候補制で選抜メンバーによって作る事になり、お品書きの監修は間宮と金剛型の姉妹が、残りの調理に加わらないメンバーは買い出しや会場の飾り付けに回る事になった。提督のみをもてなす晩餐会形式でいいのでは?という案も上がったのだが、それは金剛が却下した。あの人は独りだけご馳走を味わう事を良しとしない、寧ろ所属艦娘全員に囲まれて祝われる事を望むだろう。という判断からだ。

 さしあたって決めなくてはいけない事は決まったので、今日は一旦解散して後日、調理班から提出された料理を精査するという事になった。提督の出張は2泊3日の予定で、父の日の前夜に帰ってくる予定だ。それまでにお品書きをある程度確定させて、手直しすべき所はしなければならない。という事で、

『調理に立候補するsisterには試食品の提出もおねがいシマース!』との条件が追加された。これならば意見の擦り合わせも容易だろう、という榛名からの提案だ。


そして翌日の10時頃には、粗方の調理班からの品書き(仮)が提出された。

「どれどれ、どんなメニューが出されるんデスか~?」

・暁型……レディに相応しい料理

・綾波型(第7駆逐隊)……至高の一品

・夕雲型選抜……戦艦のような凄い料理!

・白露型……話の弾むお菓子

・那珂ちゃんとお姉ちゃん's……那珂ちゃんすぺしゃる☆

・球磨型……■■■■■■■■■→鮭

・妙高型……気合いの入るツマミ

・利根型……筑摩が作るのじゃ!

・最上型……ゴージャスなご飯物

・軽空母選抜……洋酒向けパーティメニュー

・雲龍型……デザート類

・正規空母嫁艦's……メインディッシュ

・大和型……スープ

・海外艦ドイツ組with早霜……ドリンク類

・海外艦イタリア組……未定

・睦月型選抜……ケーキ的な何か



「オ、オゥ……」

 金剛は正に絶句した、としか言いようがない。最早何を作るのか解らないのが半数とは、誰が考えようか。とりあえず、間宮さんと妹達を呼んで少しセッションしよう。そう考えて金剛は鎮守府内の内線電話の受話器を取った。

「ど、どう思いますか……?」

「これは……」

「なんともはや……」

「これは流石に大丈夫じゃないと思います……」

 妹達は顔がひきつってしまっている。無理もない。最後の希望の間宮さんも、

「これは……試作品待ち、としか言えませんね…」

 と、こちらも苦笑い。こうなれば最終手段だ。

「Hey、青葉=サン!」

 金剛が指パッチンをすると、その音に反応したようにどこからともなく現れる青葉。

「ドーモ、青葉=デス」

 今日は礼儀正しくお辞儀する青葉。アイサツは大事、古事記にもそう書かれている。

「こうなれば最終手段デス。青葉=サン!クッキングの様子をピーピングしてきて下サーイ!」

「お任せください!それでは!」

 そう言うや否や、青葉は執務室から風のように駆け抜けていった。

「……いいんですか、お姉様?」

「背に腹は変えられないネ~…」

 フゥ……と溜め息を吐いた金剛は、自ら淹れた紅茶を一口啜った。




 ハイ、という事で鎮守府の清く正しい広報担当(自称)青葉です!ここからは私の取材(潜入)スキルを駆使して、各調理班の試作品調理の模様をお届けします!都合上SS形式(プラス青葉の実況?)となりますのでご注意です!

~第6駆逐隊のお料理【レディに相応しい料理】~

雷「ーーという訳で、申請してきたわ!」

暁「私達の実力を見せつけるチャンスね!」

電「はわわわ……大丈夫かな…心配なのです…」

響「大丈夫、よほど難しい事をしなければ大失敗にはならないさ」

電「そ、そうだよね!……うん、がんばるのです!」

響「ところで、何を作る予定なんだい?私は何も聞いていないのだが……」

暁&雷「雷(暁姉)、言ってあげなさい!」

暁&雷「……えっ、雷(暁姉)が決めたんじゃないの!?」

うわぉ、息がピッタリですねぇ暁ちゃんと雷ちゃん。しかしこれは……

雷「だって、暁姉が『レディに相応しい料理を作るわよ!』って言ってたから決まっている物だと…」

暁「な、なによ!雷だって私がちょっと(?)お料理が苦手なの知ってるでしょ!?それに雷ならエレファントなお料理知ってると思って……」グスッ

電「お姉ちゃん……それをいうならエレガント。エレファントはぞうさんなのです…」

こんな時でもツッコミを欠かさない電さん、流石です。

響「つまりは……」

電「ノープラン…なのですか……」

6駆「「「「これは大ピンチ(ね・だわ・だね・なのです!)」」」」

まずいことになってきましたねぇ……お料理が決まっていないのに申請したのでは間に合わない可能性が。

雷「計画変更よ!パーティ料理で好まれて、且つ失敗の少ない料理にするわ!」

お、切り替えが早い。流石はロリお艦と呼ばれる雷ちゃん。

暁「そうね、お料理の見栄えも大事だけど、約束したモノを出せない方がレディとしてあるまじき事だわ!」

響「そうだね……凝った料理は空母や戦艦、重巡の人達が作るだろうから、私達はシンプルな料理にした方が喜ばれるかもしれない」

電「そうですね、出来るならおつまみにも出来る方がいいと思うのです。司令官さんはとってもお酒が好きだと言ってたのです!」

そりゃそうですよね、趣味でBar開いちゃう位ですし。でもおつまみにもなる料理はいいアイディアですよ!

雷「量を沢山つくるなら、味付けが簡単に出来るモノがいいわね。味付けに失敗したら大惨事よ」

響「フライドポテト……いや、ポテトチップスはどうだろう?」

暁「いいわね!味付けもお塩だけでいいし!」

電「それに、フライドポテト用の味付けパウダーも最近は売っているのです!それを使えば色んな味が作れるのです!」

雷「その案いただきよ、電!じゃあまずはお買い物ね、じゃがいもと油買ってこなくちゃ!」

6駆「「「「おーっ(なのです)!」」」」

 さてさて、第6駆逐隊の皆さんはポテトチップスですか。いいですねぇ、晩餐会には向かないかも知れませんがワイワイ楽しむパーティにはうってつけですよ!……あ、帰って来たようですね!

【調理開始!】

~レディ達のポテトチップス(しお味)~
材料:じゃがいも、揚げ油、塩


雷「さぁ、はじめるわよ!まずはピーラーで皮を剥いていくわ!」

電「ん、しょ、ん、しょ……」シャッシャッシャッ

響「姉さん、早さも重要だけど芽があったならちゃんとくり抜くべきだよ」シャリシャリシャリ

暁「し、知ってるし!芽が付いてたら美味しくないもの!……ていうか何で響は一人だけかっこつけて包丁なのよ!?」

響「格好付けている訳じゃない。私は包丁の方が剥きやすいんでね」シャリシャリシャリ

電(芽は有毒なのは黙っておくのです……)シャリシャリ

全部皮剥きが終わったのです!

雷「オッケーね!じゃあ次はスライサーで薄切りにしていくわ。指を切らないように気を付けてね!」

響「OK、任せてくれ」トントントン

おお、響さんやりますねぇ!飯ウマ勢に勝るとも劣らない包丁捌きです!

暁「ぐぬぬ……厚さが均等にならない…」ズリッ……ズリッ……

雷「ちょっとくらいなら手作りならではの『味』よ!」シャッシャッシャッ

電「えっと…次は、お湯に浸けてアク抜き……でしたよね?」コポコポ

雷「そうね、お湯の白さが少なくなるまでゆっくりと付けて、時々全体をかき混ぜるといいわ!」

暁「それが終わったら、後は揚げるだけ?」

雷「うーん……それでもいいけど、念の為にラップをかけて、軽くレンジでチンしましょ!生で揚げて中まで火を通し損ねたら美味しくないのよ」

響「トルティーヤやラスクもそうだけど、チップスは食感が大事だからね」

電「なのです!」ウンウン

いや~、それは青葉もまったく同感です!しかし微笑ましいですねぇ、小さな駆逐艦達が一生懸命料理する姿。ロリ〇ン提督さんなら昇天モノですよコレは。

電子レンジ<33-4

雷「出来たみたいね、そしたら後は揚げるだけよ!火力は中火、チンしたポテトを一枚入れて、泡立つ温度が適温よ!」ジュンジュワー

電「揚げ上がりはどうやって見るのです?」

雷「お芋の水分が抜けて、泡が出てこなくなったらオッケーよ!」

雷「ただし、泡がまだ出てるのにチップスが茶色く焦げてきたら油が熱すぎるわ。そうなったら火力を調整してね」

響「揚がったらキッチンペーパーの上に載せて、余分な油分と粗熱を取り……」ゴソゴソ

響「紙袋やビニール袋に、調味料とチップスを入れて振って全体に味を馴染ませる……ハラショー、こいつは楽しい」シャカシャカ

電「なのです♪」シャカシャカ

雷「振りすぎには注意してね、砕けちゃうから……っと、そろそろ良さそうね。じゃあ味見を…(パリッ)……ん、美味しい!イケるわよこれ!」

暁「了解!さぁ、ガンガン揚げるわよー!」

雷・響・電「おー(なのです)!」



よし、暁ちゃん達は大丈夫そうですね。では、別の班に移動しましょう!





~第7駆逐隊のお料理【至高の一品】~

曙「…で?どうするつもり?」

漣「もちろんノープラーーーっあいたぁ!?殴る事はねーでしょうよボノちゃん!」

曙「申請出しておいてノープランは無いでしょうよ。当然の罰よ」フン!

漣「それでも……それでもボノボノならなんとかしてくれる……!」

朧「流石にスラ〇ダンクネタはもう古いと思うよ漣……」

曙「……はぁ。別に頼りにされるのは嫌いじゃないからいいけどね、申請する前に相談しなさい!わかった?」

漣「へいへい」

潮「それで、お料理どうしよう?申請取り消してきた方がいいのかな……?」

 潮ちゃんの心配も尤もです。第6駆逐隊に続いて、こちらも暗雲が立ち込めて来ましたよ……?

曙「大丈夫、私が何とかするから……皆は意見をちょうだい。料理は何がいいと思う?」

朧「たぶん、手の込んだ料理は空母や戦艦の皆さんが作るよね。料理出来る人多いし」

潮「そうだよね。そうなると私達はシンプルなお菓子かお料理とかかな?」

おや、こいつはまずいですよ。このままだと第6駆逐隊と同じ流れに……

漣「うーん……」

曙「何よ、何か言いたそうなツラね?」ジロリ

漣「あ、いやね?まぁウチの鎮守府ですから当然の如く酒は山のように出ると思うんスよ。けどね、呑めない娘の為のソフトドリンクって、せいぜいお茶にちょっとしたジュース類、それに長門さん辺りが提供するラムネぐらいだと思うんだよねー。だからそっち方面に力を注ぐってのはどうかな~?と」

おぉ、漣さんナイスアシストです!確かにそこは盲点でした!

潮「あ、私もそれいいアイディアだと思います!」

曙「じゃあ、ドリンクで決定ね。……どうしよっか、フルーツ生搾りジュースでも作る?」

漣「潮の生搾りジュース、って名前付けたら縁日とかでバカ売れだろうけど憲兵不可避だと思われ」

潮「ふえっ!?」ササッ

潮ちゃん、隠してますけど隠しきれてません。……青葉より大きいんじゃないかなアレ(涙目)

曙「その手の下ネタ弄りはウチの提督には効かないでしょ?この間もポーラさん脱いでも動じなかったらしいし」

朧「話ズラしちゃダメだよ、漣」

漣「あいあーい、で、ジュースでFA?」

曙「ていうか、漣はどういう申請したのよ」

漣「至高の一品、潮の生搾りならもーーーっあいたぁ!?」マタナグラレタ

曙「却下よ却下。……至高の一品、ね……アイスでもホットでも飲めるレモンジンジャーはどう?」

曙「アイスなら喉ごし爽やか、ホットなら身体の芯から暖まる。個人の好みに合わせられると思うけど?」

漣「oh!ボノのナイスアイディア!それこそ至高の一品である!」

朧「いいね、私も曙のレモンジンジャーは好きだから賛成」

潮「私も賛成!これで決定かな?」

曙「そうみたいね。これにしましょ」




【調理開始!】

~至高のレモンジンジャー~

材料:生姜、砂糖、蜂蜜、レモン(果汁でもOK)

曙「まずは生姜をすりおろすわ。朧、漣、そこにあるの全部ゴリゴリやっちゃって」

朧・漣「了解~」ゴリゴリゴリゴリ……

曙「潮は砂糖の計量をして水に溶かして。私のいつもの分量だと生姜と砂糖、水の比率が1:1:1になるように調整するわ。甘味の微調整は蜂蜜でも出来るからキッチリじゃなくてもいいわ」

潮「うんわかった」

曙「私は鍋にザルと濾し布を準備して……と」カタン

 手際いいですねぇ、曙ちゃん。普段から作り馴れてるんでしょうね。

漣「おろし終わったよー」

潮「こっちもOK!」

曙「じゃあ後はじっくりゆっくり弱火で煮込むだけよ」

朧「レモンは?」

曙「煮込んで生姜を濾した後で加えるわ。濾した生姜は飲む時に適量加えてもいいし、直接食べてもいいわ。繊維質たっぷりだから、適量食べると……体調も良くなるわ」

漣「はっはぁ~ん、なるほどなるほど。ボノたんのお通じの良さはこれが秘訣なんですなぁ?(ニヤニヤ)おケツだkーーあいたぁ!?」

曙「ワザと濁したのにハッキリ言うんじゃないわよこのバカ!」


やれやれ、第7駆逐隊の方も大丈夫そうですね。では、引き続き調査します! 
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