世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
W ~Aの出会い・異世界からいらっしゃい~
「お前、なんであれを持っていた。どこで買った。あの力はなんだ!!!」
「懐まさぐったら入ってたんです。信じてくださいよ刑事さん!!!」
「そんな言い訳信じられるか」
「だって本当にそうなんですもの!!どうすりゃいいんですか!?」
「オレに質問をするな」
いつも通り、新しい世界で何らかに巻き込まれている蒔風。
今、彼がいるのは風都警察署。
目の前にいる強面の刑事に、いきなり招待されて連れてこられたのだ、
しかも、所持品検査をされるとUSBメモリみたいのが出てきて、あっという間に手錠をかけられてしまった。
そして、現在取り調べられ中。
蒔風の心境はコンチキショーで埋め尽くされた。
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少し前のこと
この世界に到着した蒔風は、湾岸部から少し外れた道にいた。
「なんだこれ?」
蒔風がこの世界に着いて、まずやったのは身の回りの物の確認だ。
懐を探って見つけたのがUSBメモリが二回り大きくなったような感じのものだった。
「ガイアメモリ・・・・・・ここは風都か?」
この町の名は風都。
街の至る所に様々な形状の風車が回る、通称「エコの街」
そしてこの町にはある組織があった。
それが「ミュージアム」
彼らはこの地球に眠る様々な記憶を内包した「ガイアメモリ」を販売し、街の人間を犯罪に走らせた。
ガイアメモリに内包される記憶は「マグマ」や「Tレックス」などと言った実在するものから「ウェザー」などの現象、はたまた「テラー」や「ナスカ」と言った感情や文明など多岐にわたる。
そしてそのガイアメモリを人体に取り付けられたコネクターに挿入することで使用者はドーパントに姿を変えるのだ。
そして使用者の感情はどんなものであれ、「地球の記憶」という膨大な情報に圧迫されて歪んでしまう。
ゆえに、こんなものを持っていては犯罪者予備軍、と言われても仕方がない。
早々に破棄しなければ、と蒔風がそれを手に考えていたところに、その男はやってきた。
「お前、それはガイアメモリか?」
「え?」
背後にバイクのエンジン音が聞こえる。
振り返るとそこには赤いジャケットを着た青年が立っていた。
「風都署超常犯罪捜査課の照井竜だ。それを大人しくこっちに渡せ」
その言葉に蒔風がちょうどいいや、と呟いてガイアメモリと渡そうとそれを手に持ってスッ、と出した。
《ワールド!!》
その拍子にメモリのボタンが押され、ガイアウィスパーが発せられたのが運のつき。
照井竜が完璧に敵意をむき出しにした。
「貴様・・・・大人しくしろ!!!!」
(うぇえ!?鳴っちまったよこれ!?)
さらに言うなら取り出したとき「ちょうどいい」とか呟いた瞬間から照井は身構えていた。
そりゃそうだ。蒔風にとっては「回収してくれるから」だろうが、照井にとってみれば「暴れる相手が出てきた」という意味に捉えられてただろうから。
ヴォン!!
照井がバイクのスロットルを模したアクセルドライバーを腰に装着し、赤い色をした「A」のガイアメモリ、アクセルメモリを取り出して起動させる。
《アクセル!》
「変・・・・・・身!!!!」
それをアクセルドライバーに装填し、スロットルを捻る。
バイクのエンジン音のような音が響きわたり、一気に装甲が展開され。
ガコッ、ヴオォン!!!
《アクセル!》
照井が赤い装甲に包まれて、仮面ライダーアクセルに変身した。
その姿に蒔風は焦り始める。
「うわーうわーうわー!!待って待って!!これマジでオレいらな・・・・」
そう言ってガイアメモリをバッ、と突き出すがそれすらも危険な行為だ。
ガイアメモリのコネクターは使用者の任意で隠せる。どこにコネクターがあるかわからない以上、照井はさらに警戒するしかないのだ。
例に挙げれば、ニューヨークでいきなり懐に手を突っ込んだら銃を出されると思われてしまうのと同じである。
「それをよこせ!!《スチーム!》ハァッ!!」
大型剣エンジンブレードにギジメモリである「エンジン」を装填し、スチームを発動させてそれを蒔風に向け放つ。
もちろん生身の人間に対してなので、出力は抑えられている。
だがそれでもかなり熱い。
熱湯をいきなり掛けられたようなものである。
蒔風がスチームから逃げようと路地を通っていくと、目の前に海が広がっていた。
どうやら埠頭に出てしまったようだ。
どうにもこうにも追い詰められた形の蒔風にアクセルがさらにスチームを蒔風に吹き付けてくる。
「あっつあっつ!!!!ああもうチキショーー!!確かにその対応は正しいけどさ、もうちっと話を聞け!!!なんでこうライダー世界の主要人物は喧嘩っ早いのばっかなんだ!?」
蒔風とて照井がここまで警戒し、対応してくるのは当然だと思っている。
第三者が見てもそれはそうだろう。
だが人と言うのは面白いもので。
「人がやられるのは見ていて面白いが、自分がやられんのは気にくわねぇ!!!!」
蒔風がガイアメモリを放り投げ、代わりに手にディエンドライバーを出した。
「君のしつこさにはうんざりだ!!変身!!」
[Kamen Ride---DIEND!]
蒔風がディエンドに変身し、カードを装填していく。
[Kamen Ride---V3!Garren!]
「「井坂」に因縁のある赤いサブライダーに、ち~ちよ~は~はよ~、い~も~お~と~よ~・・・ってな」
「何を言っているのかわからんが、逮捕する!!」
「やっぱなるならディケイドよりディエンド。こっちの方が面白イ」
ギャレンが遠方から銃撃し、V3が徒手空拳での接近戦でアクセルを追い詰める。
「ああっギャレン、そこ狙う!?わぁい鬼畜☆おぉっと!?V3が執拗にアクセルの股間を責めている!!これはきつそうだ!!」
それにしてもこの男、ノリノリである。ってかそれらの行動の指示はお前が出してるだろ。
「んじゃ、そろそろ・・・・・んきゃぁッ!?」
カードを取り出した蒔風の手を、エネルギー弾が襲う。
アクセルが全身から熱気を噴き出し、仮面のランプが青々とギラめいて、V3の拳を片手で押えながらもう一本の手でエンジンブレードを握っていた。
その切っ先は蒔風に向いており、おそらくさっきのエネルギー弾はエンジンメモリのジェットによるものだろう。
そして何よりそのオーラが恐ろしい。
全身から噴き出した熱気に炎がチリチリと舞っている。
きっとあの仮面の向こうには阿修羅のごとき形相の照井の顔があるのだろう。
ズガン!!!!
アクセルがV3の腹部を切ってその体が消滅する。
ギャレンは睨みつかされた瞬間に消えた、ってか逃げた。
「おいおいおいおい!?そこで消えるか!?こうなったら・・・・・」
ガリガリガリ・・・・とエンジンブレードをダラリと下げて、地面に引きずりながら一歩一歩近づいてくるアクセル。
正直言っておっかない。
断続的に噴き出してくる熱気と炎もだんだんとその量をあげていっている気もする。
「貴様・・・・・・覚悟はできているんだろうなぁ・・・・・・・」
「それは勘弁ッ!!」
[Attack Ride---ILLUSION!]
蒔風がアタックライドを発動させ、四体の分身を作り出す。
相手が計五人のディエンドになり、アクセルが身構える。
「さあ!!がんばってくれたまえ!!」
蒔風の号令に四体が同時にカードを取り出して装填する。
来るかっ!?とアクセルがエンジンブレードを構えた。
だが
[[[[Attack Ride---INVISIBLE!]]]]
その四人が同時に消えて逃げていった。
「オイィィィィィィィイイイイイイイイイイイ!?なんでそこだけオリジナルと一緒なん!?」
「覚悟はできてるか?」
天に叫んだ蒔風の前にアクセルがユラリと立つ。
静かに変身を解いて、冷や汗を流しながら蒔風が呟くように聞いた。
「答えは?」
「聞いてないッッ!!!!!」
「それ違うキャラだろ!!?」
「オレに質問をするなァァアァァ!!!!」
こうして蒔風は逮捕された。
その時の心境をこう語っている。
「いや怖かったね。やっぱり人をおちょくるのはよくないね。やめないけど」
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「・・・・・」
「・・・・・」
「カツ丼でないの?」
「出さん」
そして冒頭から今に至る。
なんやかんやでガイアメモリの件はなんとか納得してもらったのだが、他の世界の力など、そちらの方を今は尋問されている。
そこに照井の部下、刃野刑事が三人の人間を連れて入って来た。
「ここだここだ。ほれ翔太郎」
照井がその三人を中に入れる。
どうやら照井の知り合いらしく、軽い挨拶を交わしてから翔太郎と呼ばれた青年が用件を聞いた。
「この男、奇妙な力を使ってな。どうにもならんから、フィリップに検索を依頼したいと思ってな」
「照井竜、君がそこまで言うモノとは一体なんだい?興味が沸いて来たよ・・・・早速検索を始めよう。彼の名前は?」
フィリップと呼ばれた青年が教えられた蒔風の名前を呟いてなにやら模索を始めた。
その姿を見て机にへばり付いている蒔風が翔太郎に聞いた。
「翔太郎だっけか?やっこさんはなにやってんの?」
「あん?ああ、フィリップはな、「地球(ほし)の本棚」っつーデータベースと接続できてな、あいつにかかれば、わからねぇことなんざねぇ。ま、まだすべての「本」を読んだわけじゃねえし、決して万能じゃないけどな・・・・・・・ってか、なんでこんなこと話してんだオレは」
「キーワードは、「蒔風舜」。人名だからかなり絞り込めるはず・・・・・・え?」
検索を始めたフィリップが驚きの声を上げる。
それに鳴海亜希子がどうしたの?と首を傾げた。
「彼に関するデータがない・・・・」
「なんだと?」
「いや、「蒔風舜」と言う人間のデータは確かにある。だが間違いなくこの「彼」ではない。「同一人物の別人」としか言いようがない。こんなことは始めてだよ!」
「なぜ別人だと断言できる?」
「簡単だよ。情報の上では「蒔風舜」はここから遥か海の先、ニューヨークで埴輪売りの屋台をやっているはずだからね。しかも御歳68歳。彼ではないだろう?君は本当に何者だい?」
フィリップがニヤニヤと笑いながら聞いてきた。
フィリップはいわば「情報マニア」だ。
知らない事に関しては猛烈な好奇心を示していく。
「そりゃないさ。オレは別世界から来たからな。この世界に情報はない」
「別世界だと?貴様世迷言を・・・・」
「あぁ~~~~」
「なるほど、わかったぜ」
憤慨する照井をよそに、翔太郎とフィリップが納得する。
そんな二人に疑問を投げかける照井。
「おまえら・・・・納得するのか?」
「いやまあ・・・・」
「ボク達は別世界の存在を知っている。その世界の仮面ライダーと共に戦ったこともあるよ」
「なあ蒔風だっけか?あんた、こんなカード知ってるか?」
翔太郎がカードを取り出す。
そのカードはディケイドが使っているライダーカードと同じものであり、描かれているのは仮面ライダースカルである。
「士を・・・・ディケイドを知っているのか?」
「ああ、やっぱそっち筋の人か」
「ディケイドは知っている。なるほど、君がか」
「どういうことだよ」
「つまり、ディケイドはキミの言葉で自分を見失わなかった、ということさ」
「ふーん。何があったかは分からないけど・・・それはよかった。ってかあいつ話したのか」
「最後に少しだけ話ができてな、その時に」
共通の話題が見つかり、話しが弾む三人。
置いてけぼりの照井と亜希子にも教え、信じてもらうことに。
さらに翔太郎たちの事、そして蒔風の事の説明も始まった。
to be continued
後書き
アリス「来ました平成ライダー11作品目!!!ダブル!!!」
ダブルはかなりいい作品でした。
ア「最初こそ「なんだこの半分こ、気持ち悪っ!!」とか思ってたんですよね?」
そうれはそうです。
ですがなんだろう・・・動くWを見たらね、なんかこうね・・・・・
あらヤダかっこいい
ってなったんですよ。
二人で一人という新境地も若干心配でしたが、それに関しても大成功。
文句なしの作品でした。
ア「次回、メモリ捜索、思わぬ記念と負傷」
ではまた次回
オレに質問をするな
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