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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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68部分:第八話 罠その二


第八話 罠その二

「かつてアルバフィカも出撃し全てをかけてミーノスを倒した」
「ミーノス。確か」
 ムウがその名に反応を示した。
「冥界三巨頭の一人」
「冥闘士の中でも随一の実力者の一人」
 カミュも言う。
「伝説にある名前です」
「そのミーノスと相打ちになった。先の聖戦においてな」
「左様ですか。ではアフロディーテもまた」
「出撃の覚悟はしておけ」
 あらためてこう告げる。
「わかったな」
「御意」
 そのアフロディーテがシオンの言葉に頷く。教皇であるシオンに対して。
「さて。それでデスマスクだが」
「はい」
「安心していい」
「安心して宜しいのですか」
「実力は御前達が最もよくわかっている筈だ」
 今度の言葉は黄金聖闘士達全員に告げた言葉だった。
「他ならぬ黄金聖闘士である御前達自身がな」
「確かに」
「それは」
 今のシオンの言葉には誰もが納得した顔で頷く。獅子のことを知る者は獅子である、そういうことであった。
「口では言っていてもな。だからこそ私は御前達を安心して出撃させることにしたのだ」
「そうだったのですか」
 鏡の間での話は今はしなかった。あえてである。
「では話は終わりとする」
「はっ、それでは」
「これで」
「デスマスクの帰還後にあらためてまた作戦を伝える」
 既にデスマスクが帰って来ると確信していた。彼は。
「出撃する者もな」
「御意」
 こうして黄金聖闘士達とシオンの話は終わった。話が終わると彼等はそれぞれの宮殿に下がる。その途中でムウがシャカに対して声をかけてきた。
「シャカ」
「ムウか」
「はい。貴方に一つ御聞きしたいことがあります」
 こう前置きしてから彼に声をかけてきたのである。
「私に?何を」
「貴方は今何を感じておられますか」
 シャカに尋ねたのはこのことだった。今黄金聖闘士達は教皇の間から階段を下りつつそれぞれの宮殿に戻っている。双魚宮から教皇の間にある紅薔薇は今はない。アフロディーテがその薔薇をどけさせたのである。薔薇は全て彼の術中にあるのである。
「この戦いに関して」
「激しい戦いになるのは間違いないでしょう」
「そうですか。やはり」
「ですが」
「ですが?」
 またシャカの言葉を聞く。
「この戦いは私達にとってはこれからの重要な戦いの一つに過ぎません」
「一つの戦いに過ぎない」
 この言葉はムウにとっては心外のものだった。女性的ですらあるその流麗な顔に懐疑を浮かび上がらせたのが何よりの証拠であった。
「戦皇との戦いでさえも」
「私達の敵は彼等だけではないのです」
 シャカはまたムウに言ってきた。
「かつて聖闘士達が地上を巡って戦ってきた神々」
「海皇ポセイドンに」
「そう。冥界ハーデス」
 彼等の名を出すのだった。かつてアテナと戦った大いなる力を持つ神々である。彼等のことは最早伝説になっていた。とりわけハーデスとの数多くの戦いは。
「他にも古の神々との戦いもあるでしょう」
「私達の戦いは数多いのですね」
「黄金聖闘士は何の為に存在しているか」
 シャカは言う。
 
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