男子高校生、職業【美少女】
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少女は夢を見ていたので
前書き
4話目
男子高校生、職業[美少女]4
・・・夢を見ていた。
かなり昔の夢だ。
俺は両親に挟まれて無邪気に笑っている。その様子を見て両親は微笑ましそうに目を細める。
もう二度と戻ってこない風景。
両親と一緒に過ごした時間。
景色が変わる。
父親が必死に横たわる母親に呼び掛ける。
しかし母親は父親の呼び掛けに首をふりナニかを伝える。
母親は俺をだきよせ涙を流しながら呟く。
「ーー、ーーーーーー、だ、ーー、き」
内容は忘れてしまった。
次の日から母親は居なくなった。
父親は俺を殴るようになった。
再び景色が変わる。
俺は鏡の前に立っていた。
以前と欠片もにてない容姿。
現在と変わらない容姿。
オンナノコノカラダ。
絶望する自分の顔。
移り変わる景色。
変わっていく日常。
変わらない自分の容姿。
親友の笑顔。
父親の視線、態度。
血走った目、荒い息、憤怒の形相。
父親の言葉。
「二度と俺の前に現れるな」
引きこもる。
自分が、
ワカラナイ、ワカラナイ、ワカラナイ、ワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイ。
解らない。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
俺は暗い部屋で飛び起きる。
体にはじっとりと汗をかいていた。
「うえぇ、気持ちわりぃ・・・」
立ち上がり手であおぐ、春の生暖かい空気が俺の手であおがれて顔を撫でる。
汗でぴったりとくっついた服の気持ち悪い感覚に不快感を覚えながら自室の扉を開け、風呂場に向かう。
汗とは違う水分の存在に今更ながらきずく。
「・・・・・・・・・涙?」
俺は涙を流していた。
「何でだろ、あくびでもしたかな?」
そう解釈し、足早に風呂場に向かった。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
風呂場に着くと、先客がいた。じいちゃんだ。機嫌よく鼻唄を歌っているのが扉越しに聞こえてくる。
「どうしよう」
今俺は汗の不快感に耐えてここにいる。
しかしだからといって風呂場に突撃するわけにもいかない。・・・嗚呼、俺がまだ男だったら、普通に突撃したのにな。
女の子って、・・・とてつもなく、不便だ。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
現在、俺は着替えて近所にある温泉に向かっている、この温泉は料金が少し高めだが、24時間営業の、優れた温泉だ。
特に俺みたいな元男からしたらありがたい。まぁ元男が他にもいたら凄いけどな。
とにかく、女の子の体でも、男の心を持っている俺も、明朝の時を狙えば温泉に入れるってことだ。
・・・・・・・しかし、俺は気付くべきだった。
明朝に温泉に来ることがある人間は、俺一人ではないことを。
そしてそれが、俺の親友であることに。
後書き
後3話。
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