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提督はBarにいる。

作者:ごません
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日本のビールの底力!~サッポロ編~

 日本のビール4大メーカー最後の1つはサッポロビール。4大メーカーの中では俺が一番好きなメーカーだ。サッポロがビールの為に独自に育種した『旨さ長持ち麦芽』を用いて、ビールメーカーが畑から作る、原料から情熱を注がれたビールだ。

「最後は俺のお気に入り『サッポロ 黒ラベル』だ。」

 そう言いながらジョッキに注ぐ。ドイツ艦達も楽しみなようで顔が綻んでいる。ビールに限らず美味しい食事ってのは、その場にいる奴等の心を通わせる力がある、と俺は思っている。深海の奴等とも心を通わせる事が出来れば講話はなるのではないか?或いはそれも絵空事なのだろうか……?

「ちょっと提督!私の分のジョッキ早く頂戴よ!」

 いかんいかん、また考え込んでしまっていたらしい。ビス子がむくれてこちらに手を伸ばしている。

「すまんすまん、考え事しててな。ほらよ。」

 ジョッキをてわたしてやると、もう!と言いながらジョッキに口を付けるビス子。途端に膨れっ面が萎んで笑顔になる。

「さっきのプレミアムモルツも美味しかったけど、これも美味しいわ!」

「うん、スーパードライに近いけどこっちの方が旨味が強い気がする。」

「酸味が弱くて甘味が強くなった……そんな印象だな。」

 流石はビールにうるさいドイツ人、違いのわかる舌を持っているようだ。




「ねぇねぇアトミラールさん、このビールに合わせるお料理はなんですか!?」

 期待の眼差しでこちらを見てくるプリンツ。黒ラベルはスーパードライに近い味わいだが、あれほどの爽快感は無いので辛い物よりも濃厚で味の強い物が合うだろう。

「そうさな……グラタンなんてどうだ?」

「やった、ボクとマックスもグラタン大好きなんだ!」

 とは言え、普通のマカロニグラタンじゃ面白味がねぇ。だから今日は里芋を使ったグラタンを作ろう。

《ホクホク里芋グラタン》
・里芋:600g

・玉ねぎ:1/3個

・ベーコン(あればブロック):40g

・ブールマニエ:バター20g+小麦粉大さじ3

・サラダ油:小さじ2

・顆粒コンソメ:小さじ1/2

・クリームチーズ:40g

・牛乳:200cc

・ピザ用チーズ:50g

・塩:小さじ1/3

・胡椒:少々

 まずはグラタンの具材からだ。里芋は皮を剥き、1.5~2cm角に切る。玉ねぎは縦半分に切り、繊維に沿って薄切りにし、ベーコンは2cm幅に切る。耐熱容器にバターと小麦粉を入れて電子レンジ(500w)で10~20秒加熱し、バターを柔らかくして混ぜ、ブールマニエを作る。ブールマニエってのはフランス料理で使われる物でな。バターの風味とコクを加えつつ、簡単にとろみを付ける事が出来る。グラタン以外にもシチューや煮込み料理、ポタージュなんかにも使えるから覚えておくと便利だぞ。

 フライパンでサラダ油を中火で熱し、玉ねぎとベーコンをしんなりするまで炒める。そこに里芋を加え、さらに2~3分じっくりと炒める。

 お湯200ccに顆粒コンソメを加え、フライパンに入れてよく混ぜる。クリームチーズを上に乗せたら、少しずらして隙間を開けて蓋をして弱めの中火で10分ほど煮込む。

 里芋が柔らかくなったら木べらで軽く潰して、熱で柔らかくなったクリームチーズとよく混ぜる。牛乳・塩・胡椒を加えたら牛乳が温まるまで加熱。温まったらブールマニエの容器に煮汁を加えて溶きのばしてフライパンに加える。2~3分混ぜながら煮て、とろみがついたらグラタン皿に移す。ピザ用チーズを散らして220℃のオーブンでチーズに焼き目が付くまで7~8分。

「そういえば、ビスマルクとアトミラールはケッコンしているのだったな。」

 焼き上がりを待つ間、俺も会話に加わる。どうやら話題はケッコンカッコカリの話題らしい。

「まぁ、カッコカリ……仮初めの婚姻関係だけれどね。でも、私は男性として好きよ?提督の事。」

「ぶほっ!げほげほ、おえっ!」

 ビールが変なとこに入った。噎せ返ったせいで鼻にも入った。とてつもなく痛い。そういえば、以前はアトミラールと呼んでいたのにケッコンしてからは呼び方が提督に変わってたっけ。日本馴れしたからだと思ってたが、違ったのか?

「そ、そうなのか……。しかし既にアトミラールには妻がいると聞いたが?」

「あぁ、金剛の事?確かに手強い相手ね。けれど、最初から争わずに敵前逃亡するなんて私はイヤよ。」

「その意気ですビスマルク姉様!」

 おいおい、焚き付けるなプリンツ。

「……けれど、他にもライバルは居るんじゃない?」

 マックスまで乗ってきたぞオイ。どうすんだコレ。

「そうね、彼氏のいる霧島はいいとしても、金剛、比叡、榛名、長門、赤城に加賀、瑞鶴、翔鶴、飛龍はライバルね。」

「あん?何言ってんだビス子。俺は戦力増強の為に指輪を渡してるだけであって……」

「あら、貴方も案外鈍感なのね。少なくとも指輪を貰ってる娘と他にも多数……いえ、鎮守府の艦娘ほとんどは貴方の事男性として好いてるわよ?」

「え゛っ。」

「もし出来る事ならみ~んな貴方とガチの結婚したいと願ってるわよ。私を含め、ね。やったわね、男の夢、ハーレムじゃない。」

 マジかよ……マジかよ。何それ、すんげぇ修羅場じゃんそれ。しかも何人かヤンデレと化してしまいそうなのも居るんだけど?内紛状態なったら戦争どころじゃねぇよソレ。

「あぁ、内輪揉めを気にしてるの?それなら大丈夫よ、愛する男が困るような事にはならないように、皆自制はしてるもの。」

 いやそれ逆に恐いんですけどぉ!?何、俺はこの事実を知っても平然と指揮執らないとダメなワケ?辛すぎないソレ。その時、オーブンがグラタンの焼き上がりを知らせる。

「さ、食べましょ?」

「お、おぅ……。」

 さっきの発言など忘れたかのように平然とグラタンを食べているビス子。……俺も忘れよう、今更悩んだ所でどうにもならんわ。俺はそう吹っ切って、グラタンを口に放り込んでビールを流し込んだ。 
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