世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
真剣で私に恋しなさい ~いきなり宣戦布告!?~
朝
太陽がその角度を上げて頂点へと昇っていこうとする午前7時50分。
河川敷を多くの学生が登校している。
その中に一際騒がしい集団がいた。
それは、投稿している生徒がやかましい―――のではなく。
「ふははははははははははは!!何だ人数だけか!?ぬるい!温いぞ!!」
一人の女子高生が五十人単位のチンピラを薙ぎ倒していたからだ。
「モモ先輩も朝からやるなーー」
「昨日暇だ暇だ言っていたから、ウサ晴らししてんだろ」
「少し眠そうな大和も超ステキ」
そして、モモ先輩なる人物ケンカ無双を眺める8人の男女。
朝ご飯を食べてたり、ケンカの様子を眺めていたり、携帯で何かを見ていたりとやることはまちまちだが、彼らが連れ立っている仲間であることは誰が見ても明らかだった。
そんなこの集団のメンバーは以下の通り。
まず、集団のリーダー。キャップこと、風間翔一。
50人をなぎ倒しているのが、最強の武を誇る戦闘狂美少女、モモ先輩こと川神百代。
百代の義理の妹。犬っ子という言葉がしっくりくる少女・川神 一子。通称ワン子
携帯をいじって何かを見ながら、よくやるなとぼやく気の弱そうな少年、師岡卓也。通称モロ。
そんなモロの携帯を一緒に眺めているのが、ガタイのいいタンクトップ男、島津 岳人。
このメンバーの新顔その一、金髪お嬢様のクリスティーナ・フリードリヒ。通称クリス。
メンバー新顔その二、大和撫子を作ってみましたと言わんばかりの、黛 由紀江。
後述する大和に、大胆な愛情表現をしながらもあしらわれる少女、椎名 京。
そしてチームの自称軍師で百代の弟分、直江 大和だ。
周りの皆は彼らを総称して、「風間ファミリー」と呼んでいる。
「にしても後を絶たないね。モモ先輩の挑戦者」
「しょーがないだろ?姉さんは世界に名を馳せる最強なんだから」
「でも早く行かないと学校遅れるぜ?」
「今日は何気にチンピラさんも頑張ってんなぁ・・・・」
「弟ーーー!先に行ってていいぞー。私も後から追いつくからーーーー」
ちなみに姉、弟というのはあくまでも「姉貴分」「弟分」の意味合いである。
ともかく、チンピラをまた五人くらい吹っ飛ばしながら軽快に百代が大和にそう言ったので、皆が学校に向かう。
百代は嬉々としてチンピラを倒していった。
いつもの光景だ。
この学園には変人が多い。
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「転校生の蒔風舜です。よろしく!」
さて、時は流れて朝のホームルーム。
蒔風がこの高校の転校生としてやって来た。
最主要人物が学生ならば、そこの学校の転校生としてぶちこまれるのが定番になってきた。
蒔風の転校生も板についてきたというところか。
(フムフム・・・・・最主要、主要ともにこのクラスにいるみたいだな)
蒔風がそう思いながら教室を見渡す。
すると、教室の扉が勢いよく開いた。
「ここに転校生が来たらしいな!!貸せ!!」
「えぅ!?お、あ!?」
突如として教室に乱入してきたのは川神百代。
入って来るなり蒔風の襟首を掴んで窓に向かって投げ放った。
窓は元々空いていたが、どちらにしろ大変なことだ。
だが蒔風は窓の桟に捕まって勢いにストップをかけ、フチに着地して教室から飛び出すのを防ぐ。
「ほう!やるな、お前!!」
百代は心底嬉しそうに笑って言うが、この教室の担任、小島梅子は怒鳴り声を上げる。
「こらぁ!川神ぃ!!いきなりやって来てなにをしとるかぁ!!」
「そうだ先生!言ってやれ!!」
「今はホームルームだ!それに、キチンと申込みしてから決闘をしろ!!」
「そうだそう・・・・・決闘?」
「転校したての蒔風は知らなかったな。この学園には決闘システムがあってな。決闘を申し込み、相手が了承したら、立会人の教師のもと、決闘が行われる、というものだ」
「はあ・・・・」
「そこの転校生!!私と決闘しろ!!」
「オレと?オレと決闘?」
蒔風が窓枠から降りて、パンパンと服を払いながら訊き返す。
それに対して決闘決闘騒ぎ立てる百代に、ついに小島教諭がキレた。
「一旦席に付けぇ!!!!川神も!!!自分の教室に帰れ!!!三年生だろうが!!!」
「・・・・・ち、しょうがない。あとでだ!!!あとでまた来るからなぁ!!!」
百代が教室から出て行き、そんなことはどーでもいいと蒔風がかばんを拾ってそそくさと席に着く。
「なぁ・・・・・あの人なんなんだ?」
「川神百代、最強の人だよ」
「へぇ・・・最強・・・・・」
蒔風が席について隣のモロにそれを聞き、ニヤリと笑う。
「どーでもいいや♪」
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「姉さん、今日はどうしたのさ。急に乱入してきてさ」
「んん?ああ・・・元はと言えばジジイがな・・・・・」
昼
屋上で昼食を取っているメンバー。
そこで朝の事の話題になり、百代が一枚の紙を出した。
「なにこれ?」
「これはな、あの転校生の書類だ」
「いいのかよ!?」
「ジジイが見せてきたんだ。かまやしないさ」
さっきから百代がジジイジジイ言っているのは百代の祖父で川神学園の学長でもある、川神鉄心の事だ。
それなら蒔風の書類を持っていても不思議ではない。
それを見た大和や他のメンバーが、また不思議そうな顔をする。
「ねえこれ・・・・・」
「名前、年齢・・・・・だけ?」
「確かなことが一つもかいてないではないか!!」
「どういうことなんでしょうか・・・・・」
そう、そこには大したことは書いてなかった。
名前と年齢だけ。
だけど確かに学長の印は押されている。
こんな書類、本来なら通らないが・・・・・
「まあそれはいい。見てみろ、この補足欄」
「補足欄?何があるんだ・・・・・って、え?」
「お?」
「ああ・・・・・」
百代が指差すそこには、小さく「世界最強」と書かれていた。
「これを見て黙っていられる私ではないだろう?」
「にしても姉さん、朝から突撃はやり過ぎだ。あと、この書類、貸してもらえるか?」
「お?どうした?」
「調べてみる。何かわかるかもしれない」
「弟はマメだなぁ・・・・だが、私はそんな弟のために動いてやったぞ」
「は?」
ギィ・・・・・
その言葉に合わせたかのように屋上の扉が開く。
「呼び出されてきてみれば・・・おいおい・・・書類にこんなん書いたの誰だよ」
「!?」
そこにいたのは蒔風だ。
あちゃ~、みたいな顔をしてその書類をパッ、と取り上げる。
世界のお膳立てかよ・・・とかなんとかぶつぶつ言いながら、書類を丸めてポイする蒔風。
「あ、あんたいつの間に来た!?」
そんな蒔風に驚いた勢いで聞く大和。
彼だけではない。
むしろ、ぶつぶつと怪しげな単語をいくつも並べる蒔風に、皆が訝しげな目をする。
「ん?いやだなぁ!!そんな変な目で見るなよ!!ほら、全部教えてやるから!!な?」
「へ?全部?」
「そ、オレがここに来た理由。その書類。そして世界最強。教えてやるから、まあ聞きなさい」
~~~~説明!!説明!!~~~~
「―――てなわけでしてね」
「お前頭おかしいんじゃねぇの?」
「おい・・・・傷つくぞ?」
「んな話はいそうですかと聞けるかってんだよバカ!!」
「バ・・・・かなり響いた・・・もう立ち直れない・・・・」
「よわっ!?」
「そんな話はどうでもいい!!決闘、受けるのか!?」
「・・・・・条件がある」
蒔風が指を立てて百代に言う。
「一つ、立ち合うのはここにいるメンバー「風間ファミリー」のみ。
二つ、誰にも見られないところで。
三つ、勝負の間にオレの話の証明をするから、それで信じてくれる?」
「三つ目のはお願いだぞ?」
「だって信じるかどうかはお前次第だろ?直江大和」
「・・・・・・」
「それでいいぞ。じゃあ場所はうちの川神院でいいか?」
「あのおっきな道場か・・・・いいぞ。存分にやろう。放課後を楽しみにしている」
「じゃあな。オレはこれで失礼する。ああ、オレと戦いたいって奴は、誰でもいいぞ?」
「え?じゃあ・・・・」
「私たちもか!?」
「全然余裕だから。ど~~んとこ~い」
蒔風がじゃ!!と言いながらビシッ、と腕を上げ、その場から立ち去る。
「ふふふ・・・・腕が鳴る・・・あの男、世界最強を名乗るならまず誰に礼を言わねばならんか、教えてやる!!」
その場の武士娘、五人ともがやる気を見せている。
普段は好戦的ではない有紀江ですらも「が、がんばりますっ!!」とか言っている。
「オレたち・・・どうする?」
「オレはやるぜ!!!」
「ガクトもやるんだ」
「おうよ!!普段はモモ先輩に隠れて目立たねぇけど、オレだって結構やるんだぜ?」
「そうだよね。かなり凄い筋肉してるもんね」
「やってやらぁ!!」
男連中もやる気である(一人だけだが)
「はぁ・・・なんなんだあいつ一体。ただの電波か、それとも・・・・・」
軍師、直江大和は思考する。
だが、今この段階では答えなど出なかった。
to be continued
後書き
今回は一応リュウゼツランのルート後ですね。
百代にある程度まだ戦闘狂の毛があり、あの事件を解決した後です。
アリス
「事件については?」
この小説の中では関与しないので、基本キャラがわかれば問題なしですね。
アリス
「次回、さあ、戦闘だぁ!!」
ではまた次回
逃げ場の無い人生(みち)で
己を信じて come on! Hey! Hey! Hey!
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