聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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649部分:第九十三話 襲撃者その四
第九十三話 襲撃者その四
「教皇もアテナの僕」
「ですがそれでも」
「教皇が前線に立たれるというのは」
「そうです」
これが彼等の論理だった。彼等にしては教皇であるシオン自らが前線に立つなどということは全く考えられないことであったのだ。
それで口々に言う。しかしシオンはそれでも言うのであった。
「私もまた黄金聖闘士だった」
「はい、それは存じております」
「無論です」
これについてはだった。彼等もよく知っていた。教皇は黄金聖闘士の中から最も優れた者が選ばれる、それは聖域の絶対の掟であるからだ。
しかしそれでもであった。彼等は今のシオンの言葉に驚きを隠せずさらに言うのである。
「ですがそれでも」
「それをされては」
「前線に立たれるのは」
「先の教皇もこれまでの教皇も」
そのシオンの言葉は続く。
「全ていざという時には自ら前線に立たれた」
「だからなのですか」
「それで」
「そうだ」
言葉はここでも断言であった。
「わかったな。それではだ」
「エリスの相手をですか」
「教皇御自身で」
「あの女神の相手は私がする」
シオンも引くところはなかった。
「これでよいな」
「そこまで言われるのですか」
「そしてあの女神を」
「私もまたアテナの僕」
このことも言ったのである。
「ならば必要とあれば自ら闘う。それだけのことだ」
「わかりました」
「それでは」
「そしてだ」
シオンの言葉はさらに続く。
「当面の方針だが」
「はい、それは」
「どうされるのですか?」
「トラキアへの出陣でしょうか」
「それとも」
一斉に問う黄金聖闘士達にだ。こう答えるのだった。
「ここに留まる」
「聖域にですか」
「今は」
「そうだ、今はここに留まる」
あらためて彼等に告げた。
「わかったな」
「左様ですか」
「それでは」
「今は出陣することはない」
言葉が繰り返される。
「いいな。各自それぞれの宮の守護に就け」
「それでは」
「我等は」
「また敵が来る」
シオンは既に読んでもいた。トラキアのその動きをだ。
「それに備えておくのだ」
「畏まりました」
こうして当面の方針も決まった。こうして黄金聖闘士達はシオンの前から下がるとそれぞれの宮の守護に就いた。その次の日であった。
十二宮白羊宮の前、まさに十二宮の入り口にだ。恐ろしいまでの小宇宙が二つあがったのだった。
「!?これは」
「この凄まじい小宇宙は」
「間違いない!」
黄金聖闘士達はすぐにその小宇宙の主が何者なのかを察した。
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