FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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前書き
もう少しで・・・もう少しでお正月休みだぁ!!
シリル「言うほど働いてるの?」
それは言っちゃいけない。
ウェンディside
「みんな!!早くこっちに!!」
「ここは私たちに任せてください!!」
山火事にいち早く気が付いた私たちは、山に避難していた村の人たちを火事から避難させるべく誘導しています。
「これでどうだ!!」
「サクラ!!そっちも!!」
魔法陣を書き周辺の木々をなぎ倒していくサクラ。シャルルも村の人から借りた斧を使って木を切り倒し、燃えるものをなくそうと奮闘しています。
「シリルがいればよかったのに・・・」
私とシェリアの魔法では誤って他の木に火が移って燃え広がりかねず、むやみに魔法を放つことができない。サクラも少量しか水を生み出すことができないので、私たちは偵察に行っているシリルが来るまで燃え広がらないようにすることしかできません。
「無い物ねだりはよそう。あたしたちもあっちに――――」
「「キャアアアアア!!」」
「「!!」」
村の人たちの避難もほぼ終了したので私たちも木を倒すことに参加しようとした時、その方角から仲間の悲鳴が聞こえてきました。
「シャルル!!」
「サクラ!!どうしたの!?」
何事かと二人の元へと向かうと、そこには額から血を出し倒れているサクラとシャルルの姿がありました。さらに・・・
「まず二人っと」
二人の前に立ち笑みを浮かべている坊主頭の男と振り回していたであろう斧を担ぎ直している大柄な男がいました。
「うぅ・・・」
「あれ?まだ生きてやがる」
ダメージが大きく動けないシャルルたち。その二人に坊主頭の男は、指先に付けた爪のような武器で斬りかかりに来ます。
「しぶといやつ・・・だな!!」
サクラ目掛けて降り下ろされる右腕。今から走っても距離があってとても間に合わない。
「天神の・・・北風!!」
「!!」
どうすればいいのかわからず動けずにいた私に対し、隣にいた少女は真っ先に走り出し坊主の男に黒い風をぶつけ押し飛ばします。
「うおっとっと」
飛ばされたにも関わらずバランスを崩して倒れることはなく、ケンケンしながら着地をする男性。その間に、二人の前にシェリアが割って入り、私も急いでその場所へと走り出します。
「ウェンディ!!治癒の魔法を!!」
「うん!!任せて!!」
膝をついて少女たちの傷を癒そうと魔法をかけます。幸い攻撃が当たったのが頭だったから倒れていただけで、傷も深くはなくすぐに回復させることができました。
「大丈夫?二人とも」
「えぇ」
「ありがとうございます」
傷が癒えたことでゆっくりとその場に立ち上がるシャルルとサクラ。それを見た男性たちは驚愕の表情を浮かべています。
「へぇ、こいつら魔導士か」
「道理で仕留められなかったわけだ」
それと同時に、彼らは納得したようにうなずく。よほど自分たちの力に自信を持っているのでしょう。そうでなければ、こんな感想を持つはずがありません。
「森に火をつけたのはあなたたちですか?」
「そうだけど?それが?」
悪びれる様子もなく淡々と答える彼らに怒りを覚えます。村を乗っ取っただけでは飽き足らず、命を奪いに来るなんて・・・
「許せません!!」
「あたしたちがあんたたちを倒す!!」
相手は二人。他の三人がどこにいるのかわかりませんが、たぶんここは彼らしかいないはず。今戦えば十分勝機はあります!!
「君たちが・・・俺たちを倒す?」
「はい!!」
敵を睨みそう言うと、彼らは顔を見合わせた後大口を開けて笑い始めました。
「何がおかしいのよ!!」
「だってよぉ・・・お前らみたいなガキが俺らに勝つなんて・・・」
笑いすぎて流れている涙を拭いながらそう言う坊主の人。それを聞いて私たちはさらに怒りが沸き上がってきます。
「そんなふざけたこと・・・言えないようにしてあげる!!」
空気を吸い込み一気に吐き出す天空の神。それは怒りにより威力が増しており、周囲に広がっていた炎の一部を消し去るほどに強力でした。
「おっ!!すげぇパワー」
しかし、その攻撃をものともせず突進してくる敵。彼は指先に付けた武器で彼女に引っ掻くように攻撃を仕掛けようとします。
「させない!!」
「おっ?」
しかし、その寸前でシェリアを持ち上げて飛び上がる白髪の少女。おかげで彼女は攻撃から逃れることができました。
「こいつは私たちに任せなさい!!」
「ウェンディとサクラはそいつを!!」
「わかった!!」
「よろしくお願いします!!」
シャルルに連れられてこの場から離れていくシェリア。二人を追い掛けて坊主頭の男性も離れていきます。
「イネス!!そいつらは任せるぞ!!」
「わかった」
一言そう告げてから離れていく男性。私たちと向き合っているイネスと呼ばれた彼は、小さくうなずいてこちらを見据えます。
「サクラ、戦える?」
「はい!!もちろんです!!」
サクラもやる気満々で大きくうなずきます。シリルたちが戻ってきてくれればいいけど、ここまで遅いということは彼も何かトラブルに巻き込まれているのかも。だとしたら、ここは私たちで戦うしかありませんね。
(私たちがやられたら、村の人たちが危険な目にあっちゃう。何としてもここで止めないと)
シリルside
セシリーの姿が完全に見えなくなったのを確認し、ホッと一息つく。二対一から一対一になったのは苦しいと思うかもしれないけど、元々一人で戦うことが多かったからこの方が逆に戦いやすいかもしれない。
(それに、こっちはまだまだ取って置きがあるしね)
身体能力を向上させるアクアドライブ、さらには天空の滅悪魔法だって残している。どちらも消耗が増すからまだ未知数の敵がいるこの時点で使うときは、タイミングが大きな問題になってくるけど。
「水竜の翼撃!!」
今はまだ使う時ではないと判断して攻めに入る。それに対しカラスは武器を体の前で振り回し、水の翼を分散させる。
「水竜の・・・」
「遅ぇ!!」
続けざまに魔法を繰り出そうと飛び掛かる。しかし、それを予測していたらしくカラスは武器を素早く投じてくる。
「邪魔!!」
空中にいたこともあり避けることができない。なので本来なら打ち込むはずだった右手でそれを払い、足に魔力を移して蹴りを放つことにする。
「鉤爪!!」
「くっ!!」
やりたかったこととは違ったため勢いが全然足りない。それでも距離が詰まっていたことがあり敵は反応するので精一杯。持っている武器で防ぎ、投げた方を引き戻しながら後ろへと下がって間合いを取る。
(いい動きするなぁ)
一つ一つの動きが早く、キレもある。パワーもそれなりにあるけど、一撃でやられるような必殺技はないようなので、手数を出させなければこちらの方が有利かもしれない。
(でも、これと同等の人が他に四人もいるのか)
互いに仲間として活動しているのならば、実力もほぼ同レベルと考えられる。誰が一番強いとかはあるかもしれないけど、抜きん出て強いということはないはず。
(これくらい強いとなると、ちょっと厳しいな・・・)
ウェンディとシェリアはともかく、サクラやシャルル、セシリーでは相手にならないかもしれない。よくて三人で一人と互角かどうかというところか。
(俺たちで一人ずつ、サクラたちで一人と考えるとどうしても一人余ってしまう)
つまり、この中で一番強いであろう俺が大きく消耗するのは痛手になるということだ。いかに体力を残しつつ、この強敵を打破するか・・・か。
第三者side
シリルが状況を整理している頃、目の前の男も同様に状勢を考えていた。
(たぶんこの前いたガキどもが全員来ているはず。確かこいつを除いて他に六人)
レオンは別行動でシリルたちとは行動を共にしていないため彼を除くと五人しかいないのだが、それは彼の知るところではない。なので、前回遭遇した時のことを思い出しながら今後のことを考える。
(もし全員がこいつと同等なら、エーメたちじゃ厳しい展開になるかもな)
自分が五人の中で一番強いと認識している彼は、自身と五分に渡り合っている敵から彼の味方の能力値を推測、そう考えていた。
(つまり、俺が負けると一気にやられる可能性が出てきてしまう)
互いを今回の戦闘のキーマンと捉えた両者。よってこの戦闘が今後の動きに大きく影響を及ぼすことになると理解した。
((さて、どうやって倒すべきか))
ほぼ同じ結論へと至ったシリルとカラス。いかにして敵を討つか、力だけでなく駆け引きをも交えなければならないことに、彼らは頭を悩ませることとなった。
レオンside
雪が吹き荒れる山頂付近。その場所で空を見上げ、自分たちの大きさを優に越える存在を前にただ立ち尽くしている二人の少年。
「ドラゴンは400年前に帰ったはずじゃ・・・」
「あんなドラゴンあのときいた?」
以前エクリプスの扉を通ってやってきたドラゴンのことを思い出し、自分たちの記憶を辿っている俺たち。それを知ってか知らずか、上空を飛行していた黒き竜はその前に、山頂へと続く道を遮るように着陸する。
「おぉ、デカイな」
「今更!?」
いつ見ても・・・一度しか見たことなかったけど、何度見ても大きい。俺たちなんか一瞬で踏み潰せるほどに巨大な体をした存在を見上げて感心している。でも、あの時戦った連中は見た目ほど強くもなかったし、こいつも本気出せば何とでもできる気がするけどな。
スゥゥゥ
背を向けてその場で動きを止めていたドラゴンをどう対処しようか考えていると、目の前の黒いモンスターが少しずつ小さくなっていく。
「あれ?」
「縮んでる!?」
一々リアクションの大きいラウルを放っておいて、徐々に小さくなり、姿を変えていくドラゴンを観察している。やがてそいつはよく見慣れた・・・俺たちと同じような人の姿へと変貌した。
「人?」
「え!?変身魔法!?」
ドラゴンが人になったのか、はたまた人がドラゴンに変化して俺たちをからかっていたのかはわからない。けど、目の前にいるのは確かに人の形をした生き物でしかない。
「ドラゴンの匂いがする」
いまだに背を向けたままの相手を無視して先に行くべきか考えていると、突然長髪の彼はそんなことを呟きこちらを振り向く。いや、その匂い自分じゃね?なんて思っていると・・・
ザッ
その男は俺の目の前に踏み込んできて、拳を振るってきた。
「っお!!」
不意を突かれたが反射的に体が動きなんとか逃げることができた。しかし、そいつは諦めが悪いらしく一度引いた手をもう一度突き出し攻撃してこようとしたので、ギリギリのところでそれを受け止める。
「おい、いきなり失礼じゃないのか?」
互いに鍔競ったままの膠着状態になっており、動くに動けない。
「お前のそばにドラゴンがいるな?」
「は?」
何を言っているのかわからず眉間にシワを寄せ考えてみる。しばらく考えた後、滅竜魔導士が二人いることに気付き、そのことを言っているのだと理解することができた。
「いるけど・・・それが?」
「我はすべてのドラゴンを滅する」
意味不明な発言に訝しげな表情を浮かべる。ドラゴンを滅する?こいつも滅竜魔導士なのか?いや、でもさっきドラゴンに自分自身がなっていたような・・・
「レオン!!大丈夫!?」
「うん。ラウルは下がってて」
狂気に満ち満ちている目の前の相手に戦力にあまりならないラウルを前に出す気はさらさらない。帰るときの手段としても彼は残しておきたい存在だし、バトルをさせるわけにはいかないだろう。
「そのドラゴンはどこにいる?」
「さぁ?どこだろう」
家で寝てるのか、ギルドで屯っているのか、はたまた依頼に行っているのか、それは俺の知るところではない。だが、仮に知っていようともこんなに殺意を放っている相手に教えるようなアホはいるはずないだろう。
「そうか。ならそれでもいい」
なんだ、ずいぶんあっさりと引き下がってくれるなと思った時期が俺にもありました。その男は片足を引くと、ローキックのような形で膝へと攻撃を放ってきたのだ。
「ほっと」
それには普通に反応できたし、彼の手を掴んでいたこともありそのまま男の頭上を飛び越えるようにして回避する。
「何?見逃してくれるんじゃないの?」
「それはない」
立ち位置が逆転した俺たちは互いに体を反転させて敵を見据える。すると、男はこちらを指さし一言いい放つ。
「貴様をここで殺せば、そのドラゴンは心配してここに来るだろ」
「ずいぶんな極論だな」
あながち間違っていないだけに余計面倒くさい。しかし、この困難なクエストをするに当たり時間がかかることは彼らも承知なので何年後になるかは保証できないが。
「逃げられそうにもないしな」
ドラゴンに変身できるのであれば、こちらがどれだけ頑張って逃げようとも意味がない。どこに行こうとも先回りされて戦わなければならないのがオチだ。
「ラウル、かまくらでも作って休んでてくれ」
「うん!!そうする!!」
体温を逃がさないようにするにはここにたくさんある雪を使ってかまくらを作るのが理想だ。ラウルもそれをわかってくれたみたいで一人でせっせと雪を集めていたりする。
「かまくらとはこれまた面白い発想だな」
「想像は自由だからね」
背負っていたかばんをラウルの方へと投げて身を軽くする。ここら辺には食料もないだろうし、時間はかけたくない。こいつを倒したら、ラウルが完成させたかまくらで野宿でもして体を休めよう。それに、もしかしたらこいつがこのクエストが完了できない要因なのかもしれないし、それの調査も踏まえて戦ってみるか。
シェリアside
(ここで大丈夫かな?)
ウェンディたちからも距離が取れ、村の人たちが逃げた方角とも違う方向。ここなら安心して戦うことができそうだね。
「シャルル、下ろして」
「わかったわ」
あたしを掴んで飛んでいたシャルルに下ろしてもらって、付いてきていた坊主の男と向き合う。
「ずいぶんと場所に拘っているんだな。もしかして・・・俺たちに負けても村の奴等の安全を、とか考えてるのか?」
イヤらしい笑みを浮かべて図星をついてくる男。確かにそれもある。負けないようにとは思っているけど、念には念を押しておかないとね。
「大丈夫。あなたはここで倒してあげるから」
「面白い。やってみろよ」
手を閉じたり開いたりを繰り返し体を慣らしておく坊主頭。相手も自分の実力に自信を持っているようだけど、あたしだって負けられない理由がある。こいつを倒して、レオンに負けないようにしないとね!!
後書き
いかがだったでしょうか。
主人公でも準主人公でもヒロインでもなく最後の締めがシェリアになるという不思議な形。同時に多数のバトルすると文章進みやすいな。バトル自体は進行していないが。
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