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手間のかからないパーティ料理
さぁて、今回のメインイベント。望月に教えるのはパーティ料理だが、簡単に出来る物だ。と、思ったのだが……。
「ね、寝てる……。」
待ち時間が長かったのか、それとも何もすることがなくて暇だったのか、望月は丸まってスゥスゥと寝息を立てていた。その姿を見てイラッとしたらしい長月が、思いっきり息を吸い込む。
「望月ぃっ‼起きないかっ!」
「んぁ~、何ぃ?朝ぁ?」
相変わらずのユルさだなぁ望月は。まぁ、このマイペースな所が望月の良さでもあるのだが。
「ホラ起きろ、今度はお前が料理をする番だぞ?望月。」
だりぃ~、ねみぃ~と言いつつもちゃんと起き上がる望月。
「で、何作るのさぁ。」
「今回望月に作ってもらうのは……『チーズフォンデュ』だ。」
「え~、チーズフォンデュってめんどくさいって如月姉さんが言ってたよ~?」
文月が横から口を挟んできたが、確かにチーズフォンデュは手間がかかる料理だ。焦がさないようにチーズを管理したり、チーズソースを作るのもなかなかに手間だ。だが、最近流行りの作り方があるのだ。その作り方は普通に作る事に比べれば遥かに楽で、しかもパーティ料理向き。
「まぁまぁ、俺が教えるチーズフォンデュにはコレを使うんだ。」
そう言って俺が取り出したのは、ホットプレートとココットと呼ばれる陶器製の耐熱容器だ。
「名付けて……《ココットカマンのチーズフォンデュプレート》だ!」
《ココットカマンのチーズフォンデュプレート》
・明治十勝カマンベールチーズ:1個
・とろけるミックスチーズ:200g
・豆乳:150cc
・すりおろしにんにく:少々
・コンソメ:1/2または小さじ1弱
・白ワイン(もしくは酒):大さじ1と1/2
・お好みの具材:食べたいだけ
「まずはフォンデュソースを作るぞ。フォンデュ用の鍋でなくてもいいから、耐熱性の鍋に豆乳、白ワイン、コンソメ、おろしにんにくを入れて弱火で暖める。」
へーい、と言いつつ全ての材料を鍋に入れ、弱火にして暖める。焦がさないように注意な。
「よーし、暖まってきたらここにチーズを少しずつ加えて溶かしていくぞ。あぁ、長月と文月は食べたい具材を串に刺して準備してくれ。」
そう聞いて嬉々として準備を始める二人。ウインナーやブロッコリー、プチトマトにアスパラベーコン等々、様々に準備しているようだ。ん?その白いのはなんだ?
「お餅だ。チーズを絡めたら美味しそうだと思ってな。」
なるほど、確かにチーズと餅は合うだろうな。お好み焼きとかもんじゃ焼きでも餅とチーズの組み合わせは鉄板だからなぁ。
「司令官、ソースがトロトロになってきたよ~。」
よし、ソースがクリーミーになってきたな。そうなったら火を止めて、ココットにフォンデュソースを移す。そうしたらホットプレートにココットを置いて、温度は鉄板焼位の温度まで上げてから保温に。周りに具材を並べたら完成だ。
「さぁ、試食してくれ。《ココットカマンのチーズフォンデュプレート》だ。」
熱々のホットプレートで焼けて香ばしさが出た野菜を、トロトロのチーズに絡めてパクリ。ハフハフ言いながら噛むと、途端に顔が緩んでくる。
「ん~、美味しいぃ♪」
「うん……これはいいな!」
「餅チーズうまー。」
うんうん、好評で何より。……ってあら?俺のジンジャーハイボールは!?
「あぁ、司令官のジュースだったのか?これは。」
見ると、長月が俺のジョッキをもってグビグビと喉を鳴らしている。あっちゃあ、飲んじまったか。結構濃い目に作ってたんだが……
「はれ?何だか目の前が…グルグルとぉ~……うにゃあ。」
一気に酔いが回ったか。その場でぶっ倒れたぞ長月。
「あっちゃ~…、長月弱いからなぁ。」
やれやれ、と言った感じでジョッキの中身を嘗める望月。
「あ、確かにこれじゃあ長月KOされるわ。しかし、司令官てホントに酒強いんだね~。」
「ってか、お前飲めるのか望月!」
「当たり前でしょぉ?アタシこれでも『九州艦娘の会』のメンバーだからね?武蔵さんや霧島さんに付き合ってたら、自然と飲めるようにもなるよ。」
ん~。確かにその二人に付き合わされれば飲めるようにもなるか。
「んな事言ったら、文月も飲めるよ?なぁ?」
「何ぃ!?」
「うん、毎日如月姉さんや睦月姉さん達に付き合ってるからね。えっへん!」
いや、それ全然自慢にならねぇからな?お前ら見た目は幼女なんだから、街では飲むなよ?頼むから。そんな事を考えつつ、俺はチーズフォンデュを口に放り込んだ。
「熱っ!」
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