Three Roses
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第二十四話 やつれていく身体その十
「王子にしたい」
「あの方ですか」
「あの方を次の王に」
「そうされますか」
「そう考えている、当家から見て傍系だが」
しかしというのだ。
「父王も王妃もだ」
「お二人共ですね」
「エヴァンズ家の血を受け継いでおられますね」
「特にあちらの王妃様は」
「我が妹だ」
つまり王子は王にとっては甥になる、そうした血縁なのだ。
「それならばな」
「血筋的にもですね」
「問題はないですし」
「しかも男子であられる」
「だからこそ」
「王子にすべきか」
こう言うのだった。
「ここは」
「では」
「その様にですか」
「されますか」
「王子を次の王に」
「その様に」
「太子に立ててだ」
そのうえでというのだ。
「定めておくか」
「わかりました、では」
「その様にしましょう」
「今のうちにな」
王はここまで話してだった、側近達に言った。
「では今日はな」
「これで、ですね」
「お休みになられますか」
「薬は飲んだが」
だがそれでもというのだ。
「疲れた、ではな」
「お疲れ様です」
「それでは」
側近達は王を送った、王は侍従達に付き添われて玉座から立った後で部屋を後にした。この時はこれで終わったが。
側近達は彼等だけになるとだ、眉を顰めて話をした。
「王は前にも増してな」
「うむ、お身体が優れぬご様子」
「前王、先々王もそうであられたが」
「お顔の色が悪い」
「やつれていっておられる」
「まさかと思うが」
ここで危惧が出された
「現王もまた」
「そうであって欲しくはないが」
「二代続いてそうであられた」
「では今上も」
「そうなられても」
「では余計にだ」
「うむ、王には長生きして頂きたいが」
側近達の偽らざる本音だ、王への忠誠心と国を想う気持ちがそうさせている。無論自分達の側近としての地位のことも頭にあるが。
「しかしな」
「次の王は確かにすべきだ」
「王の言われる通り」
「マリー様をと考えていたが」
「ここはだ」
「王が王子を太子にとお考えなら」
「王子を太子に」
こう口々に話す、そしてだった。
彼等も急ぐことにした、王の考えを実現させるべく。そして王も迅速だった。
マリーとマイラ、二人の周りの者達を王の間に集めてだ、玉座から厳かな声で言った。
「次の王、太子を決めたい」
「どなたでしょうか」
ロドネイ公は宰相の場から王に問うた。
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