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歌集「春雪花」

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 暮れなずむ

  泥に塗れし

    わが恋の

 悲しみの何ぞ

   言葉なかりき



 冬の夕暮れ時は、なんとも寂しく…太陽さえ山の向こうへその最後の光を隠してもなお、後ろ髪を引かれるかのように薄日を残して…。

 私の恋も…きっとそのような黄昏…。
 諦め切れず…故に前にも進めず…。

 会いたくとも会えず…告げたくとも告げられない淋しさと哀しみ…。


 その辛さに…もはや言葉さえない…。



 真木の葉に

  墨ぞなびくは

   雪影の

 君そなかりき

    冬景色かな



 雪も降り始め、ふと山波を眺めれば…淡く積もった雪が、木々を覆っている…。

 まるで水墨画のような山波…墨で描いたかのように浮かぶ木々の陰影…。

 美しいと思う反面…この景色の中には彼がいないと寂しく思え、溜め息が出るばかり…。



 
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