世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
恋姫†無双 ~突然の襲撃、怪我の功名?~
ひと通りの闘いが終わった。
が、蒔風と恋の二人はこれから広い演習場で決着をつけると言っている。
そこで「じゃあみんなでいこうか」という一刀の発言に早速居残り組と観戦組に別れることになったのだが・・・・・・
さすがに城から武官文官がそろっていなくなるわけにもいかないだろう。
その組み分けに少々揉めている。
「鈴々は絶対に行くのだ!!」
「待てよ!あたしだって見に行きたいぞ!それに鈴々は紫苑となにか食うもん取りにいってたんじゃないのかよ!?」
「こっちの方が面白そうなのだ!璃々の面倒も翠に任せるのだ!!」
鈴々と馬超(真名・翠)がどっちが残るかケンカをしているし、ほかのところでも同じようなことが起こっていた。
名目上は捕虜扱いの魏、呉のメンバーは全員が出るようだが。
「星、おぬし休んでいたらどうだ?」
「いやいや大丈夫だ愛紗よ。私は見に行くぞ?こんなに面白そうなもの、見逃したくはないからな」
「私は恋が大丈夫が心配で心配でな。怪我はしないか?とかだな・・・」
「はいはいわかりましたよ母さんが」
「誰が母さんか!!」
その光景を蒔風、一刀、恋の三人はのんびりと眺めていた。
「北郷、オレとしては早めに行きたいんだぜ?」
「待ってやろうぜ・・・・」
「ご主人様。恋もそろそろお腹が空いてきた・・・・・」
「みんな~~~~あまり時間かけないでね~~~~」
だがそんな一言で解決するものでもない。
だがまあそれもそうである。
ここにいるのは一騎当千の武将だ。
誰も譲らないのは仕方がないのかもしれない。
「よし!じゃあくじ引きにする!!それなら文句はないな!?」
ついに一刀が提案し、主がそう言うならとしぶしぶ従う。
そうとなればくじの材料でも探そうと庭園を出ようと踵を返す一刀。
だがそれに蒔風が待ったをかけた。
「北郷、動くな」
「な、なんだ?」
「複数の木偶人形。あと火薬の臭い」
「は?」
「全員伏せろ!!爆弾だ!!!」
バッ!バババババッ!!
「北郷一刀の死で世界の浄化を!!」
「なっ!?」
蒔風が全員に警告を飛ばすと同時に白装束に身を包んだ何者かが複数人、城壁の上などといった高い位置に現れ、細い筒状の物に火のついた紐が繋がっているものを山なりに放り投げてきた。
「ダッ、ダイナマイト!?」
「そんなものまで引っ張り出してきやがるかよ!?」
そこからの蒔風の行動は早かった。
ダイナマイトは庭園すべてを三回は吹き飛ばすくらいの量がある。
それに対し蒔風は高く高くジャンプして蹴り飛ばし、落下しながらも蹴り、又は投げ飛ばした。
総数にして79個ものダイナマイトはすべて打ち上げられ、花火となって大爆発を起こした。
最後のに至っては地面スレスレでキャッチし、上空にブン投げるほどにギリギリだった。
ゴオォォォォォォォォォォォォォォォォンンン・・・・・・・
大気が振るえ、木々が振動し、みんなの鼓膜がビリビリと鳴る。
この時代には爆弾はない。
突如として起こったこの状況に、皆驚くばかりだ。
「う、うわぁ!」
「きゃあ!?」
「うおぉ!?」
「たーーまやーーーー・・・・っと、お前逃げんな」
「うぐっ!?」
蒔風が顔に付いた土をこすりながら白装束のうちの一人をふん捕まえる。
すぐに壁際に放り投げられ、武将たちに取り囲まれる。
「ほかの奴らはもう逃げたか。まあ?お前から話を聞こう。誰の差し金だ?」
「ほ、北郷一刀はこの世の歪み・・・・・それを正すは我らの正義・・・・・・!!!!」
蒔風が睨みを効かせて問いかけるも、白装束はぶつぶつとうわ言を繰り返して聞いてもいない。
「どうやら「奴」ではなさそうだな。「奴」はこんな粗末な人形は作らない」
「どうやら左慈ちゃん達が送った刺客でしょうね。よぉっぽどご主人さまを殺したいんだわ」
「お前も大変だよなぁ?」
「あ、あはは」
「こいつは呪術で形作られた人形。ここで消さないと何をするかわからないわよん?」
「ま、そこらへんの処理は任せるよ」
そう蒔風、貂蝉、一刀が話し、周りの武将が白装束をたたっ切ろうとする。
だがその瞬間
「北郷一刀・・・・・その周りの者の一人でも多く消すべし!!!!」
そう叫んでから何かを投げつけ、そして黒い霧となって消滅した。
バサリ、と白い布がその場に落ちる。
だが蒔風をはじめ一刀、貂蝉はその男が何を投げたのかしっかりと見ていた。
そしてそれが飛んでいく方向には恋の飼い犬、赤兎、そしてそれとじゃれている璃々がいる・・・・!!!!!
「や!!め!!!!ろぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!」
璃々たちに投げられたダイナマイトの導火線はもうすでに残り一センチもない。
もはや一刻の猶予もない。蒔風は全速で駆けだした。
(加速開翼!!!!!)
バッ!!!!!ゴォウ!!!!!
一筋の銀白の光となった蒔風が璃々の元に到達する。
そして・・・・・・
ドッゴォォォォォオオオオオン!!!!!!!!!
「!!!!!!璃々っ!!!!」
「そ、そんな・・・・・・」
「璃々・・・・璃々ぃ!!!!!」
「璃々ッ!!赤兎ッ!!!!」
皆が反応できたのは爆発が起こってからだった。
食堂から食べ物を持ってきた紫苑がそちらの方に駆けだす。
恋もまた、そちらの方を見やり、そして残った装束を踏みつぶした。
「許さない・・・・・・」
皆がうつむく。
だが、すぐに声が聞こえてきた。
「うぉ~~~~~。あぶなかった~~~~~」
「かった~~~~~」
「ワン!!!」
「先の世界で身に付けといて正解だったわ~~~~~」
「たわ~~~~~~」
「ワンワン!!!!」
爆心地の煙が晴れ、その場が徐々に見えてくる。
蒔風がひっくり返っており、その頭の上に赤兎が乗り、腕の中では璃々が傷一つ無くボーゼンとしていた。
「り、璃々っ!!!あぁ、ありがとうございます!!!!」
「ガキに死なれちゃ寝覚めが悪いんだ。特に礼はいらんよ」
ビッ!!と蒔風が立ち上がってから左腕の血を払って答えた。
その手の傷は爆弾から璃々たちを守った時の負傷である。
「呂布!!!邪魔が入ったみたいだから、仕切り直そうぜ!!!」
そう言っていまだに戦う気満々の蒔風に、恋が首を振り、こう言った。
「赤兎、助けてくれた。恋、お前の強さは凄くわかった」
「んあ?こんなんじゃだめさな。まだ強くないよ」
そういう蒔風に華琳が訊いた。
「あなたは璃々の命を救った。それでなぜだめなの?」
「そりゃ駄目さ。「命を救う」ってことは「その命が危険に晒された」ってことだ。そんな状況を作り出した時点で、オレの力量不足さ。そもそも、オレがあの男がまだ爆弾持ってたのに気付けりゃこんな事にゃなってなかったし、そんな失敗で評価を得ようとは思ってない」
「だがそんなことを言ってはキリがないのではないのか?」
そう反論する星の言葉に、蒔風が少し残念そうな顔をする。
「そう、確かにキリがない。だがいかんせん、これがオレの正義だからね。無理だとわかっていても・・・・いや、無理だとわかっているからこそ、オレはそれを成し遂げたい。できないって言われることができたら、すげぇじゃん?」
「・・・・・・・・蒔風、いや、舜。ありがとう」
「どうした北郷。急に下の名前で呼んで」
「今の一件で、お前の人となりは十分に分かった。お前にも、オレの事は一刀と呼んでもらいたいんだ。これがオレの、この世界での真名みたいなものだから」
「そいつぁ・・・・・受け取らないわけにはいかないなぁ。よろしくな、一刀!!」
「ああ!!!」
そう言って硬い握手をかわす二人に、他の武将達も集まっていく。
「ご主人様があそこまで言うからには我々も真名を預けるほかありませんね」
「い、いや、別にそこまでしなくても」
「そうでなくても先ほどの行動には皆感心し、認める者がありました」
「は、はぁ・・・・・」
「皆も、依存はないだろう!!!」
「とーぜんなのだ!!!あれだけすごいの見せられたら認めるしかないのだ!!」
「私は娘を助けられています。本当にありがとうございます。そんな人に真名を教えないのは失礼ですわ」
「それにしても、どんな速さだ。私の目をもってしても見えなっかったぞ」
「そうか?あたしには見えたぞ?こう、バーーッ、と走って行って腕を突き出してあれを止めたの」
「よ、よりょしきゅおねぎゃいしましゅ!!!」
「朱里、噛んでおるぞ?」
「は、はわわ!!!」
そう言って蒔風に真名を教えた北郷軍。
と、そこに華琳と蓮華が話しかけた。
「我々としてもあなたを認めざるをえないようね。華琳よ。覚えておきなさい」
「あの武、あの心、どれをとっても劣ることのないものだった。我々の真名も預けようと思う。これは我々全員の意志だ」
「あ、ありがとう・・・・・(やべぇ・・・覚えきれるかなぁ・・・・・心配になってきた・・・・)」
そんな小さな心配をしている蒔風。
それはともかく、無事に皆に受け入れてもらい、蒔風はほっと安心した。
だが
「ぬぐぉおお!!!???」
急にそんな大声をだし、皆がびっくりする。
その背中には短刀が三本ほど刺さっており、城壁にはさっきの白装束が踵を返して逃げ出していた。
「しゅ、舜!!!背中背中!!!!」
「刺さってる!!!!」
「大変だ!!!急いで手当を!!左腕だって・・・・・・」
「・・・・のやろ・・・・・」
「舜殿?」
「ど、どうしたんだ舜?」
星と一刀が蒔風におそるおそる声をかけると、蒔風が爆発した。
「てめえらいい度胸じゃねえか!!!地の果てまで追っかけてブッ飛ばす!!!!ってかこれ一本も急所に刺さってねえじゃねえか!!!!!やるならちゃんとやれや!!!!」
おもっクソ元気だった。
そのまま走りだして白装束を追いかけるほどに。
その姿は妙にシュールだった。
「・・・・・・・嵐のような者だな・・・・」
「なあ貂蝉、翼人ってあんな奴ばっかなのかな?」
「わからないわん・・・・・でも変な人ねぇ」
「お前に言われちゃおしまいだな」
その日、蒔風が帰ってきた頃には日はとうに沈んでおり、自分の部屋がわからなかった蒔風はとりあえずどこかの蔵で一晩を過ごした。
「あれ?どうしてこうなった?」
to be continued
後書き
アリス
「次回、ザ・翌日・・・・・・まんまかッ!!」
そうだッ!!!ではまた次回ッ!!
この錦馬超!倒せるものなら倒してみな!!
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