世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
恋姫†無双 ~戦闘・呉&董卓~
星が退場し、蒔風がさあ次は、と首を鳴らす。
と、そこで三回目の銅鑼が鳴り、変身を解いた蒔風に一閃が迫る。
のんびりとした動作で振り返りざまに腕を出してそれを受ける蒔風。
その腕には天地陰陽が現れており、その鞘で呉代表、思春の攻撃を防いでいた。
「暗殺者か・・・・・・」
「甘興覇!参る!!」
「思春!頑張って!!」
「はい!蓮華様!!」
蒔風から離れ、剣を構えてビタリと止まる。
蒔風もついに「天」を抜き、構えた。
そして二人が動かなくなる。
「む?なぜ二人は動かんのだ?秋蘭」
「姉者・・・・なにも姉者みたいにぶつかるだけが戦いではないのだぞ?」
「そうか?私にはさっぱりだ!!あっはっはっは!!!」
「この脳筋が・・・・・・」
春蘭、秋蘭、桂花の三人が言葉を漏らす。
他の陣営でも同じような会話がされている。
二人は互いの一瞬のすきを見つけようとしている。
そのために一切動かず、ただ剣をソッ、と構えて相手を見据える。
サァァァァァァ・・・・・・・
静かな空気
スゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・
静かな時間
滑らかに時間が過ぎて行く・・・・・・・
~~数十分後~~
「おかーさん、おなかへった~~~~」
「そうねえ・・・・まだ時間かかりそうですし、何か持ってきますわね」
黄忠(真名・紫苑)の愛娘、璃々が母に抱き付き、ご飯をねだる。
「そういえばそんな時間かぁ」
「おなか減ったのだ!!!鈴々も何か取ってくるのだ!!!」
「それにしても一体いつまでやっているんだ?」
「さぁ・・・・・・」
いまだにこの二人は動いていない。
さっきから微動だにしていないのだ。
思春は隠密機動のプロだ。スパイ、諜報、お手の物。暗殺者としては一級品だ。
それを前にして構え、一切の隙を見せない蒔風。
一瞬の油断や隙が命取りになる、そんな場面が目の前に広がっていた。
その光景に皆三分ほどは驚愕していたものだが、ここまで長引くとさすがに飽きが来る。
皆で茶をしたり寝そべったりと思い思いの行動をとってり始めてしまっていた。
だが当の思春はそんなのほほんとした心境ではない。
心を無にし、目の前の男だけを見る。
もしその身体に少しでも変化があれば即座に斬るつもりだ。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
故に無心。
だが深層ではこう考えてもいた。
(この男・・・・一体どれだけの・・・・・っ、いかん、やられる・・・・・長時間、それこそ何日でも粘って好機をうかがう暗殺者(われら)だが、この男の前に立つだけでかなりの疲労だ・・・・・本当に何者だ?)
そんな思春の推測。
冷や汗が垂れるが拭くことなどできない。
それほどまでに思春を追い詰める当の蒔風はと言うと・・・・・・
(やべーーーこの均衡どーにかしないとなぁ・・・・ちょっと脅かすか?)
彼もまた、動きのないこの状況をどうにかしようと考えていた。
そして蒔風が少し動く。
だがその動きに思春は隙を見いだせない。
(こ、この男・・・・構えのまま近づいてくる!?)
ジリジリと
本当に少しずつだが
蒔風が距離を詰める。
最初は五メートルほど離れていた。
だが今は四メートル五十センチ・・・・・四メートル三十・・・・四メートル・・・・・三メートル七十・・・・・・
そしてさらに数十分の時間をかけて思春と蒔風が超至近距離にまで近づいた。
もう一メートルも離れていない。
(ッ~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!)
(まだ耐えるのか。まあ・・・・・)
シュカン!!!!!
「これでおわりでね、悪いな」
トスッ
ここで初めて周りの者が気付いた。
蒔風が倒れる思春を支え、地面に寝かせる。
この静かな攻防を最初から最後まで見ていたのはこの中でも数名だ。
ほとんどの物は見てもいなかった。
まさに、暗殺者としての戦いであった。
「オレさんの超得意分野でここまで張りあうとはこの子もやるなぁ」
「思春、よくやったわ」
「う・・・・蓮華様・・・・申し訳ございません・・・・」
「いいのよ。彼の実力は知ったわ。十分にね。あなたの戦い、確かに見届けたわよ」
「あ、ありがとうございます!!」
(い、言えないわ・・・・途中で飽きてて見てなかったなんて言えない・・・・・・)
呉メンバーも下がり、観戦モードに入る。なぜなら次は・・・・・・
「さあ~~この武芸会もついに最終戦!!!ことごとく勝利していくこの男を止められるのはもうこいつしかいない!!!!
董卓軍!!!!!呂布、奉先~~~~~~!!!!!」
「星、おぬしノリノリだな」
「うむ、あの男、なかなかに楽しいな。嫌いではない」
「星、まさか・・・・・」
「む?何を早とちりしておるのだ。まだそうとは決まっておらんよ」
「そ、そうか?」
「そんな簡単に決めるような女に見えるのか?愛紗よ」
「い、いや・・・・」
そんな二人の言葉と共に、呂布(真名・恋)が前に出る。
「さて・・・・・・・史実では関羽、張飛、劉備の三人相手にきったはったをやってのけたという実力。見せてもらおう」
「・・・・・・・行く」
そして二人が構える。
三国最強と世界最強。
超規格外がここでぶつかる。
皆が固唾を飲んでその光景にくぎ付けになる。
恋が武器、方天画戟を肩に乗せて立つ。
蒔風も獅子天麟を組み頭上で回し、地面に突き立てて腕を乗せる。
数秒睨み合う二人。
ここからどう動くのか、とみなが見守る中、恋が方天画戟を下ろす。
蒔風もまた、獅子天麟をバラして背中の鞘にしまった。
「ど、どうしたのだ恋よ。調子でも悪いのか?」
「蒔風もどうしたよ。なんで戦わないんだ?」
愛紗と一刀が恋と蒔風にどうしたのかと聞く。
二人はすぐに答えた。
「ダメ。・・・・たたかったら、なくなる」
「なにがだ?」
「この城がだ。この庭園じゃ狭いってこった」
「「はい?」」
「このまま戦ったら・・・・この城、壊れる」
「だからここではやれないよ。にしても二回も仕留められそうになった時は焦った」
「そっちこそ、三回も仕留めかけておいてよく言う・・・・・」
「な、何を言ってるんだ?二人は」
「多分ですがお互いの目の先などを見て動きを予見し、その中で何回か戦ったのではないでしょうか?
達人にもなると実際に拳をたがえずとも想像のうちで相手と戦える者がいるそうですから」
「で、その想像の中で城はどうなったって?」
「ボロボロの」「グシャグシャだ」
「は・・・・ははは・・・・・」
「どうするよ」
「場外の荒野なら、思い切りやれる」
「よし、じゃあ行こう」
「え!?まさかそこまでやるのか!?」
「そりゃあ・・・・強者として戦ってみたいし」
「恋も。こんなに強い奴、初めて」
そう言って話し合う二人に、一刀と愛紗、さらにはその場の全員も唖然とし、思った。
『こ、こいつら規格外すぎ・・・・・』
to be continued
後書き
アリス
「次回、蒔風、認められるのこと」
ではまた次回
北方常山の趙子龍、主の求めに応え、いざ参らん!!!
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