提督はBarにいる。
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EX回16 鎮守府の秋祭り~会食編③~
祥高さんからリクエスト頂いた揚げ出し豆腐、作っていきましょうかねぇ。
まずはメインの豆腐から。重要なのは豆腐の水切り。ここでしっかりと水気を切っておかないと、豆腐を揚げた後にベチャッとして美味くないからね。キッチンペーパーか布巾で全体を包んで、ザルの上に置いたら、上に皿などで重石を乗せて水を抜く。大体30分~1時間位置いておけば十分だろう。時間が無いときには豆腐は包んだままで電子レンジへ。500wで1~2分もチンすれば、綺麗に水気を切ることができる。いやぁ、文明の利器って便利な。
豆腐は大きめにカットしたら、全体に片栗粉をまぶして180℃の油に投入。その間に、上にかける餡を作ろうか。用意する具材は、椎茸、しめじ、木耳、にんじん、細切りの筍、アサツキ。秋が旬の茸類をメインにしてみた。舞茸も考えたが、舞茸は香りが強すぎるので今回はパス。
椎茸は石附を取り除いて笠だけにしたら、半分に割ってスライス。しめじも石附を除いたら小房に分ける。木耳は乾燥した物を使う場合、水に浸けてもどしたらこれも石附を取り除いて細千切りに。木耳は業務用スーパー等に行くと細千切りで乾燥させたタイプがあるので使いやすい。にんじんも細千切り、アサツキは小口切りに細切りの筍はスーパーなんかで売ってる水煮を、水切りして使用。
鍋に鰹だしを煮立たせたら、そこに先程刻んだアサツキ以外の具材をいれる。そして醤油・酒で味付け。ここで1度味見をし、塩気が足りないと感じたら塩で調整しよう。味付けが済んだら水溶き片栗粉でとろみを付ける。軽くとろみが付けばOKだ。そろそろ豆腐も良い感じだろう。
豆腐を油から上げたら、油を切り、皿に盛り付けて上から餡をかける。
「はい、『秋の餡掛け揚げ出し豆腐』。祥高さんも味見してみて。」
サクサクとした衣の中にはホロホロと崩れる豆腐。そこに絡むアツアツの餡。そして口に含むと香ってくる茸の香りが良くマッチする。
「良い香り……。秋を感じますね。」
「豆腐のサクサク、筍と木耳のコリコリとした食感の差が面白いです。」
うん、中々好評。ウチの艦娘達も美味い美味い、とグラスを次々と空けている。
お、そろそろご飯が炊き上がるね。なら、お次は汁物を一品作ろうか。カボチャとベーコンのおかず炊き込みにも負けない汁物……確か、イワシがあったな?それでつみれ汁といこう。
《具材ゴロゴロ!イワシのつみれ汁》(1~2人分)
イワシ(三枚下ろし):3尾分
おろし生姜1/2片分
卵黄:1/2個分
粉山椒:適量
塩:少々
煮干し出し汁:1と1/2カップ
牛蒡:5cm位
人参:2cm位
大根:2cm位
味噌:大さじ1~1.5
黒胡椒:適量
さて、まずはつみれ作りから。フードプロセッサーに水気を拭き取ったイワシ、卵黄、塩、粉山椒を入れ、粗いミンチ状になるまで回す。終わったらボウルに移し、おろし生姜を入れて更に混ぜる。
「そういえば、つくねとつみれはどう違うのでしょうか?」
そう尋ねてきたのは、ウチの鎮守府の青葉だった。普段料理に興味が無さそうな青葉も、やはり女子なんだな。
「つみれは練り上げた生地を煮汁にそのまま入れて煮るのがつみれだ。摘み入れる、というのが語源らしい。つくねは手でこねて丸く成形して揚げたり焼いたりする料理の総称だな。“こねる、丸める”といったのと同じ意味の言葉捏(つく)ねるが語源だな、確か。」
「へー!博学ですねぇ!」
まぁ、俺は気になると調べてその疑問を解決しないと気が済まない質だからな。まぁ、今一番気になっているのは目の前にいるこの新米を名乗る提督。どうにも何かを隠しているような気がしてならない。恐らく青葉も、その辺を嗅ぎ付けてついてきたのだろう。やはりそういう嗅覚は侮れない。まぁ、無理に聞き出そうとしてもそこは軍人、口は割らないだろう。
「提督さん?どうされました?」
祥高さんがいぶかしむような声をかけてきた。どうやら手が止まっていたらしい。ごめんごめんと謝りつつ、調理を再開する。つみれはできたから次は野菜の準備。牛蒡はピーラーでささがきにしてアク抜きに酢水にさらす。大根は3mmの厚さで銀杏切り、人参も3mmの厚さで半月切りで。
鍋に煮干し出汁を煮立たせて、そこに2本のスプーンを使ってつみれ生地を団子状にして鍋に加えていく。ポイントは、つみれの表面が滑らかになるまでしっかりと成形する事。表面が毛羽立った状態で煮ると煮崩れやすくなってしまうので、繰り返しスプーンで成形してから鍋に入れる事。つみれ生地を入れて再び煮立ってきたら、先程刻んだ野菜類を入れて7~8分、アクを取りながら煮ていく。
野菜にも火が通ったら一旦火を止め、味噌を溶き入れる。味が決まったら器によそい、仕上げに黒胡椒をガリガリと振っていく。
「お味噌汁に黒胡椒ですか?」
「青ネギ散らしたり刻み生姜でも良いんだけどね。ちょっと飲み比べてみてよ。」
まずは胡椒なしの汁。次に胡椒を振った汁を、それぞれ祥高さんに味見してもらう。
「やはり胡椒独特の辛味がアクセントになるから、あった方が美味しいですね。」
「でしょう?だから、仕上げに黒胡椒。」
その時、炊飯器が炊き上がった事を知らせるアラームを鳴らす。ちょうどいい、つみれ汁と逸書に出そうか。
「お待たせしました、『カボチャとベーコンのおかず炊き込み』と、『イワシのつみれ汁』です。」
いただきま~す、と一斉に声が上がる。新米君のトコの赤城は炊飯釜から直接食べている。……てか、熱くない?それ。
「う~ん、美味しいですねぇ。」
「お酒にも合いますネー。」
よしよし、満足してるっぽいな。……ん?新米君のトコの夕立がコッチをみてるな。
「提督さん、お肉食べたい。」
あ、ガッツリ系のおかずが欲しかったのね。なら、揚げ油が熱い内にもう一品、作りましょうか。
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