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Three Roses

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第二十三話 野心その十二

「しかしだ」
「それでもですね」
「各国は、ですね」
「一つになるべきですね」
「王国に対する為にも」
「その通りだ、各国共新教徒が増えだしているが」 
 この国は特にだ、エヴァンズ家の改宗の後そうなっている。太子はこのことも視野に入れていてそして今語っているのだ。
「そこはな」
「はい、言うまでもなく」
「旧教で、ですね」
 オズワルド公と司教が応えた。
「信仰の基軸を固めるべき」
「そうなのですね」
「そうだ、新教の存在はいい」
 彼等に手工業者や商人が多く諸侯にも増えている、彼等は国家にとって必要だったのでそれでいいとしているのだ。
 しかしだ、それでもというのだ。
「だがな」
「それでもですね」
「軸は、ですね」
「あくまで旧教ですね」
「旧教が国の宗教であるべきですね」
「法皇庁の意のままにはならないが」
 しかしというのだ。
「それでもだ」
「旧教は、ですね」
「国の柱であるべきですね」
「この国においても」
「それは護らねばなりませんね」
「神の御教えは何処にあるのか」
 太子にしても信仰心はある、マイラの様にいささか盲目的なレベルには達していないがそれでも確かに存在している。
 だからこそだ、こう言うのだ。
「正しいもの旧教にこそある」
「新教にはありませんね」
「どうしても」
「それは」
「どう見ましても」
「彼等は間違っている」
 新教徒、彼等はというのだ。
「神の教えを正しく理解していない」
「だからこそです」
「何かとおかしなことも言っています」
「予定説だのと」
「人の運命は全て神が既に定められていると」
「それを言う者達もいるな」
 新教徒の中にはというのだ、こうした主張をする者達が実際に王国から出ていてそれなりの力を持っている。
「これはどうか」
「やはり違います」
 司教がすぐにだ、太子に答えた。
「神はそうしたことはです」
「定められていないな」
「はい、人は生まれてです」
「そこからだな」
「務めてです」
「運命が決まるな」
「運命は決まってはいません」
 司教は確かな声で言い切った。
「何があっても」
「その通りだ、新教徒の考えはだ」
「極端ですね」
「その者達も然りでな」
 そして他の新教徒達もというのだ、程度の違いこそあれ。
「それは違う、だからだ」
「正しい信仰は旧教にある」
「その通りだ、おおむね極端に禁欲的だ」
 旧教も本来はそうであったが実は今では享楽的な要素が強まっている。あれこそと禁じることもしっていないのだ。 
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