エクリプス(機動戦士ガンダムSEED編 )
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第41話 開く扉(後編)
Side キラ・ヤマト
フラガ
「コウキ、全て知っていたのか!?」
光輝
「ここコロニー・メンデルをミスリルが調べた時に報告を受けた。
しかし今は、アークエンジェルに戻る事が最優先だ。
ナスカ級が動くぞ。キラ君も今は、アークエンジェルを守る事だけ考えるんだ。」
キラ
「はい…」
Sideout
Side イザーク・ジュール
クルーゼ
『イザーク、聞こえるか?退くぞ。』
イザーク
「皆、引くぞ!俺に続け。」
ディアッカ
『チィ、あいつら!』
ニコル
『ディアッカ、今は引きましょう。』
Sideout
イザーク達はクルーゼの破損した機体を抱えてナスカ級に戻る。
Side マリュー・ラミアス
ルリ
「トゥアハー・デ・ダナンから連絡。
コウキ達が帰投する模様です。各艦発進準備の要請です。」
マリュー
「アークエンジェル発進準備!」
「「は!」」
ルリ
「発進はトゥアハー・デ・ダナンを先頭にエターナル、クサナギ、
殿はアークエンジェルです。
ビーム兵器を偏光・拡散するガスを、トゥアハー・デ・ダナンから散布するそうです。
トゥアハー・デ・ダナンの進路に追随して欲しいとの事です。」
マリュー
「分かったわ。」
ナタル
「エターナルはミスリル仕様に改修受けていないので、
トゥアハー・デ・ダナンが防衛してくれるのでしょう。
殿は火力の多い、アークエンジェルと言うわけですね。」
Sideout
Side イザーク・ジュール
イザーク
「くっ…隊長!…ぁぁ?」
ヴェサリウスに戻ったイザークは破損した隊長機に駆け寄った。
が、コックピットはもぬけの殻であった。
Sideout
Side ラウ・ル・クルーゼ
クルーゼはいち早く、自分の部屋に戻っていた。
個人端末を確認する。
クルーゼ
「してやられたな。」
クルーゼのメールにクルーゼの逮捕命令、審議中との連絡があった。
クルーゼ
「アデス!」
アデス
『隊長!どうなさ…』
クルーゼ
「ヴェサリウス発進する!モビルスーツ隊出撃用意!ホイジンガーとヘルダーリンにも打電しろ!」
アデス
『しかし…』
クルーゼ
「このまま見物してるわけにもいかんだろ!あの機体、地球軍の手に渡すわけにはいかんのだからな!」
アデス
『ですが…』
クルーゼ
「私も出る!シグーを用意させろ!すぐブリッジへ上がる!」
(最後の賭だ。扉が開くかどうかのね。)
Sideout
Side ムルタ・アズラエル
ドミニオンオペレータ
「アークエンジェル他3隻、接近してきます!」
アズラエル
「チッ、トランスフェイズ装甲はどうなっている!」
ドミニオン艦長
「ログ解析の結果、展開と解除が繰り返されていたそうです。
原因は不明ですが、トランスフェイズ装甲を強制的にオフにすれば問題ないと。」
アズラエル
「フェイズシフトを常時展開させる事は出来ないのか?」
ドミニオン艦長
「センサーと連動させているので、艦内での作業では難しいとの事です。」
ホフマン大佐
「新型、出しませんか?」
アズラエル
「トランスフェイズ装甲が使えなくても、ストライクダガーより火力が上だ。
出させろ!」
ホフマン大佐
「各艦に通達、ストライクダガー発進せよ!」
ドミニオン艦長
「こちらも新型3機発進用意!」
「「は!」」
Sideout
Side マリュー・ラミアス
ルリ
「前方のトゥアハー・デ・ダナン、右90度旋回します。」
マリュー、ナタル
「「え!」」
光輝
「大丈夫だ。アークエンジェルはそのまま、トゥアハー・デ・ダナン追随すればいい。」
マリュー
「でもそれでは、地球軍とザフト軍の真ん中を横切る形になるわよ。」
光輝
「正確には真ん中の下、50mだ。
トゥアハー・デ・ダナンからビーム兵器を偏光・拡散するガスが出ている。
こちらは移動しているので、円筒状にガスは広がり、
側面を攻撃したビームは屈折して、ザフト軍と地球軍に中る。
その混乱の中、悠々と脱出できる。
こちらを追随しようとしても、地球軍とザフト軍が正面にいて転進できない。」
マリュー
「ミスリルの作戦は…」
光輝
「ミサイルの迎撃だけしていればいい。
対空システムは自動しておけば、ミスリル仕様に改修した艦は偏光データで確実に迎撃できる。
またミスリル艦同士は連携して分散してターゲットを攻撃する。
同じ目標を狙わないので、多くの目標を効率的に破壊する。」
Sideout
Side ムルタ・アズラエル
ドミニオンオペレータ
「アークエンジェルの後方、ナスカ級からの攻撃です。」
ドミニオン艦長
「応戦しろ!」
ドミニオンオペレータ
「アークエンジェルはナスカ級と間を横切る形で脱出します。」
アズラエル
「アークエンジェルを追いかけろ。」
ホフマン大佐
「だめです、こちらはナスカ級の正面です。
先に動いた方が不利となります。」
ドミニオン艦長
「最初からこの乱戦を目的とした罠です。」
アズラエル
「モビルスーツ隊に追わせろ。」
ホフマン大佐
「いけません。新型はフェイズシフトを切ってあります。
迂闊にこの戦闘宙域から離れることは危険です。」
アズラエル
「チィッ!」
Sideout
Side ラウ・ル・クルーゼ
アデス
「アークエンジェルが加速しこの宙域より、離脱するものと思われます。」
クルーゼ
「ミスリルに、してやられたな。
私も出る、このままだと消耗戦だ。
アデスが指揮を取れ、この戦域から離脱せよ!」
アデス
「は!」
Sideout
Side ムルタ・アズラエル
ドミニオンオペレータ
「シグーが1機、接近してきます。」
ドミニオン艦長
「なに!」
ドミニオンオペレータ
「敵シグーからの通信です。」
クルーゼ
『こちらフォックス。アライグマ、気象データを送る。』
ドミニオン艦長
「何だ。」
アズラエル
「おや、気象データ?…艦長、その気象データを受け取ってください。」
ホフマン大佐
「アズラエル理事…」
アズラエル
「もしかすると、あれは味方かもしれません。」
ドミニオン艦長
「え?」
アズラエル
「受け取った気象データを僕に下さい。」
アズラエルは気象データを自分の携帯端末で処理している。
アズラエル
「あははは…、あれは僕の仲間です。
この艦に迎え入れて下さい。」
ホフマン大佐
「宜しいので、罠かもしれません。」
アズラエル
「僕が保証しますよ。」
Sideout
Side マリュー・ラミアス
ルリ
「ミスリルからの情報です。
フォックスとアライグマが接触。気象データを受け渡しを行ったとの事です。」
マリュー、ナタル
「え?」
光輝
「フォックスとアライグマは符丁で予め決めてあったと思われる。
気象データはザフト軍と地球軍で文書を交換する時の暗号電文だ。
露骨に暗号を使うと逆に怪しまれる。
気象データに紛れ込ませる方が怪しまれない。」
ナタル
「しかし、内容が改ざんされていたのでは、実際の気象データと比べて見つかるのでは?」
光輝
「それは心配ない。気象データは15分ごとにデータベースに保存されている。
フライトや降下作戦においてしか、リアルタイムのデータを使用しない。
そのリアルタイムデータも1日措きに削除される。
後になって検証されることはない。
それに暗号は気象データの小数点以下の値だけ改ざんされていて、見た目は本物と区別出来ない。
また気象データはザフト軍の地球基地で管理されているので、地球とプラント側でやり取りしても怪しまれない。
誰も通常やり取りしているデータに暗号が隠されているとは思わない。
実に巧妙な手口だ。」
ルリ
「気象データの暗号解読が終わりました。」
光輝
「モニターに出してくれ。」
ルリ
「はい。」
モニターに、『Nジャマー・キャンセラーのデータ入手。シグーを収容のこと。』と
表示された。
光輝
「作戦通りにNジャマー・キャンセラーのデータがクルーゼに渡ったようだ。
シグーに乗っているのはラウ・ル・クルーゼだな。」
マリュー
「ラウ・ル・クルーゼ自ら?」
光輝
「ああ。ラウ・ル・クルーゼには逮捕命令が出る様に画策してあった。
プラントに戻れば、逮捕される。
それを知ったクルーゼが亡命するしか手はない。
これでクルーゼを大西洋連邦に押し付ける事が出来た。」
Sideout
Side イザーク・ジュール
アデス
「隊長…?」
イザーク
「艦長、隊長はどこに?」
アデス
「地球軍の艦隊に向かったが交戦した形跡がない。」
ヴェサリウスオペレーター
「ミスリルからの通信です。」
アデス
「何だ?」
ヴェサリウスオペレーター
「クルーゼ隊長はNジャマー・キャンセラーのデータを持って、地球軍に亡命。」
「「え?」」
ヴェサリウスオペレーター
「詳細は本国に問い合わせ願いたい。との事です。」
イザーク
「隊長が…」
アデス
「至急、本国に問い合わせろ!」
ヴェサリウスオペレーター
「は!」
Sideout
Side ムルタ・アズラエル
クルーゼ
「ミスリルにしてやられたよ。
これがNジャマー・キャンセラーのデータだ。」
アズラエル
「ほお、まさかフォックスの正体がクルーゼ隊長とはね。」
アズラエルはクルーゼからデータディスクを受け取り情報端末で閲覧する。
そこにはフリーダムとジャスティスの設計図と共にNジャマー・キャンセラーの設計図が収められていた。
アズラエル
「あっ!?
ふふふ…ははははっ…!やったぁー!」
クルーゼ
(ふ、最後の扉は開いた)
Sideout
Side マリュー・ラミアス
マリュー達は航路がばれない様に迂回して移動基地に戻っていた。
フラガ
「それでどうなっている。」
光輝
「順を追って説明する。
まず、オペレーション・スピットブレイクで作戦内容が漏れていた。
地球軍とザフト軍に内通者がいたわけだが、ザフト軍の内通者がラウ・ル・クルーゼというのは状況証拠でしかなく、確証がなかった。
そこでザラ派とクライン派の対立を様相を呈して、エターナルを奪取してクルーゼをメンデルへ誘い込む事が今回の作戦であった。
メンデルはラウ・ル・クルーゼの生まれた場所である。
そこで自分の憎しみを暴露させ、言葉質を取る。」
フラガ
「それであれか…」
光輝はラウ・ル・クルーゼのやり取りを映像で見せた。
「「…」」
マリュー
「なっ!」
ナタル
「これは本当なのですか?」
光輝
「事実だ。
クルーゼはアル・ダ・フラガのクローンだ。
人工子宮を使って生まれた為、テロメアがリセットされる事なく短いままだった。
そして父親を憎み、フラガ家を放火して行方を眩ませている。
実際、放火事件の警察の証拠には外部からの放火の可能性が低く、内部からの放火の疑いが高いとの報告があった。
それに本人が失踪している。
法律的には未成年者の犯行で今更、裁けない。
心理学者として、彼が放火しているのは間違いない。」
フラガ
「クルーゼが…」
光輝
「クローンは違法であり、勿論の事、財産分与は行われないし、
正式に家督を譲り受ける事も出来ない。
彼もそれを喜ばないだろうがな。」
マリュー
「当時の情勢では仕方のない出来事だ。とコウキは言っていましたが…」
光輝
「当時はコーディネイターを生み出す事が一大産業となっていた。
ジョージ・グレンがネットワークに送った、詳細な技術マニュアルの所為で、
基礎研究が遅れて技術は研究者から離れて、現場の医者に渡った。
この為、研究者は予算確保の為に基礎研究から離れ、応用の為の研究に進まざるおえなかった。
当時はコーディネイターの真偽のため、国から研究費は下りないので、パトロンの言うなりの研究しか出来ない情勢でもあった。
それでクローンが生まれてしまった。不完全な研究を元に…」
ナタル
「不老の薬は出来るのですか?」
光輝
「今の基礎技術では完全な物は出来ない。
そこは遺伝子治療の技術が必要となる。
そこでエクリプス社で技術提供を行う。
アンチエイジングやコーディネイターらの有能な部分の遺伝子改変には医療費を莫大に取り、その他の疾患の医療費を無料とする。
積算で医療費を負担して貰う。
1歳若返らせるのを100万アースダラーとした時に10歳では10倍でなく100倍の1億アースダラーとなる。」
「「1億アースダラー!」」
光輝
「資産家は払うさ、そしてその収益で一般の治療費が無料と出来る。
これにはマイクロマシーンの技術が必要で、その特許技術は公開しない。
ただ不老化には欠点があり、人間は必ず堕落する。
寿命がある方が精一杯、人は生きようとする。
また、精神が200~300歳で破綻する。
生物が多様性を重んじるので、進化しない事には解決できない。
その為、不老化には何十の足枷を付ける。
その上で人間の欲望を巧みに利用して、人類の未来に貢献する。
欲望を取り除く事が不可能であれば、それをコントロールして、
人類の発展に役立て方がいい。」
マリュー
「また壮大な計画ね。」
光輝
「コーディネイターが生まれたのも、元は富裕層の欲望であり、
ブルーコスモスが生まれたのも、コーディネイターに座を奪われないとした、
一部の資産家の市場の独占を企むエゴだ。
生まれたコーディネイターには責任がないと思う。
私は富の蓄積には否定しない。
その上で医療や教育は公平に行い、就業の機会を平等にする。
資本主義経済が間違っていて、政治体制はそれによって、歪められている。
エクリプスが望むのは経済と政治体制の分離である。
歴史において、歩んできた道は一方が一方を支配する歴史である。
その中で優位を得た者が資産家で富を独占してきた。
プラント理事国が望んでいた物はプラントから得られる資源や技術等であり、
プラント理事国の国民が望んでいた物ではない。
結局、資金を出している資本家や税金を充てた政治家や官僚達である。
国民は裕福になればいいとは思うが、真に利益を得ていたのは権力を独占していた者達である。
この戦争の根っこもそこにある。
その一方で遺伝子操作が是非が問われている状況は非常に危険である。
それを解決するのに遺伝子治療をへて、価値観を変えていくしかない。
本来であれば通る道筋であった。」
マリュー
「遺伝子操作には反対じゃないの?」
光輝
「時間の問題であって、必ず通る道だと思う。
その中で気付くのが優性遺伝と劣勢遺伝だと考えている。
なぜ、肌や髪、目の色が違うか深く考えていないし、混血児に引き継がれる優性遺伝の仕組みにまで、考えが及んでいない。
もし家畜を無重力状態で飼っていたなら、数世代で足は退化していき、羽や尾ひれに進化していくだろう。
プラントで生活するコーディネイターも別な進化を遂げて、最後には地球で暮らせない生物となる。
環境に適用してこその進化であって、その謎を解き明かさないで進化はあり得ない。
新たな地球を見つけるまでは、地球に根差して進化した方が賢明である。
できれば、ナチュラルとコーディネイターとの間で婚姻を薦めるね。
その方が出生率の問題も解決できるし、優性遺伝の謎にも近付ける。」
マリュー
「ハァ…」
光輝
「カガリに言っておくことがある。」
カガリ
「私に?」
光輝
「ヤマト夫妻がカガリを引き取らなかった理由だ。
君はナチュラルとして生まれた。
それで髪の色が違うとなれば、いつかは気付くだろ。
本当の両親ではないと。」
カガリ
「え?」
光輝
「君の髪の色はユーレン・ヒビキ博士の髪色だ。
ヤマト夫妻はブルーコスモスからキラ君を守るので手一杯だった。
それでウズミ殿が引き取った。
ウズミ殿なら周りから指摘されても、有無を言わせない実力があった。
ヤマト夫妻は君の幸せを願って、託したものだと思う。
それに推測だが、ユーレン・ヒビキ博士はコーディネイターの可能性がある。
ヒビキの名前は、西洋で少ないし遺伝子研究で注目される程の実績がある。
ハーフの可能性もあるが、コーディネイターの血が混じっていても不思議ではない。
その点も含めて、オーブで育ったのは良かったと思う。
オーブは唯一ナチュラルとコーディネイターを排斥しない。
金髪も珍しくない。
そしてウズミ殿が望んで、自分の子供とした。
キラ君もカガリも望まれて存在している。
そして周りから愛されている。
それを伝えたいと思い、この情報を隠さずに伝えている。
いつか直面する問題なら、隠されているより真実を伝えた方が良いと考えた。
その上でもう一つ伝える事がある。
カガリはキラ君やアスラン君と同じSEED因子を持っている。」
カガリ
「え?」
アスラン
「僕も…?」
光輝
「アスラン君もニコル君が死んだと思った時に、感情とは別に冷静な行動が取れていたはずだ。
あの時、君の反応速度はコーディネイターの枠から外れていた。
明らかに脳のリミッターを解除していた。
SEEDが『優れた種への進化の要素であることを運命付けられた因子』かは分からないが、
優性遺伝の可能性はある。私も受け継いでいるのだから。」
カガリ
「コウキと同じ?」
光輝
「キラ君は私の元で、ある程度コントロール出来るようになった。」
アスラン
「キラ?」
キラ
「少しは…」
光輝
「地球軍が核で攻めて来るまで、もう少し時間が掛かる。
その間にエターナルの改修と合わせて、二人には訓練を付けて揚げよう。」
マリュー
「核攻撃?」
光輝
「大丈夫だ。渡ったNジャマー・キャンセラーは核爆発しない方だと確認取れている。
ユニウス7の悲劇は繰り返させない。」
「「ホッ。」」
バルトフェルド
「エターナルの改修はいいが、戦後にザフト軍へ引渡さなくていいのか?」
光輝
「ああ、ザラ議長にはミスリルに貰い受ける内諾を取ってあるし、
それに見合う対価は余分に資源で支払う予定だ。
それにクライン派とバルトフェルド隊長は今回のクルーゼ亡命で汚名は回復される。」
フラガ
「裏切り者は俺達だけか。」
光輝
「その心配はない。オーブ戦での賠償請求でアークエンジェルとそのクルーは、
オーブに帰属している。
ただ大西洋連邦に家族を人質にされないように、手配していたのでクルーに心配させないように配慮していただけで、希望者はオーブに移住している。
預金も勝手ながら、オーブのエクリプス銀行に移している。
賠償金からアラスカの時点での退職金とそれ以降はミスリルの待遇での給料が支払われる。」
フラガ
「それって多いのか?」
キラ
「役職によりますが、最低でも地球軍の5倍以上だと思います。」
マリュー、ナタル、フラガ
「え?」
フラガ
「キラ、お前の階級だと俺よりも多かったのか?」
光輝
「キラ君の場合はM1アストレイのOS開発分もミスリルで買い取りしてあるから、
ムーが地球軍で貰う一生分より多いぞ。」
フラガ
「げっ、キラ今度何か奢れ。」
マリュー
「ムウ、相手は年下よ。」
光輝
「軍人は手に職を持っていないからなぁ。
マリューさんなら戦争が終わっても技術があるから大丈夫だ。」
フラガ
「俺には再就職の先は?」
光輝
「S.M.Sでテストパイロットか、エクリプス社の輸送船の船長ぐらいかな。
軍人は潰しが効かないからな。」
フラガ
「くっ。」
光輝
「割のいい仕事ならあるぞ。火星や木星の資源輸送だ。」
フラガ
「火星や木星?往復何年掛かるんだ。」
光輝
「1日も掛からない。」
「「え?」」
光輝
「ワープ航法、フォールドと呼んでいるが今は一部の者にしか公開していないから、
割がいいぞ。」
フラガ
「ワープ?」
光輝
「私のバルキリーでも可能だし、ミスリル仕様に改修したアークエンジェルとクサナギも出来る。重力制御や慣性制御はその副産物でしかない。」
フラガ
「本当か?」
光輝
「私は嘘をつかない。ミスリル待遇になった時に、ここにいるメンバーは学習システムのセキュリティーが解禁になっている。」
フラガ
「キラ達は知っていたのか?」
光輝
「階級の制限で知っているのはキラ君だけだ。」
キラ
「はい、一度だけ火星上空へ連れって行って貰いました。」
光輝
「魔法だけが私の全てではない。」
ラクス、アスラン、バルトフェルド
「「魔法?」」
光輝
「そう魔法。」
光輝は手の先から火や水の玉を出して見せた。
光輝
「ラクスはデブリベルトで会った時にステージを覚えているかな。
あれはデブリベルトの戦艦の廃材を魔法で錬金して作ったんだ。」
ラクス
「まあ。」
フラガ
「こいつを見ていると、コーディネイターが新たな種だと信じられないくらい、
非常識な奴だ。」
「「うん。」」
Sideout
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