提督はBarにいる。
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やっぱそっちが目的か。
さてと、いよいよ焼酎と合わせてみよう。採点は五つ星を満点として五段階評価。まずはミモレットを一切れ口に放り込む。咀嚼して細かくした所に焼酎を一口。
「おっ?これは……」
「口の中で混じり合って、心地好いハーモニーですね。」
二人の言う通りだな。ミモレットと焼酎が上手く混じり合ってお互いがお互いの長所を引き出していて且つ、邪魔していない。この組み合わせは良いなぁ。
評価:★★★★★
お次はベルエトワール。カマンベールの豊潤な白カビの薫りが、吉と出るか凶とでるか……。
「んぅ、これは、さっきのより……」
真っ先に顔を歪めたのは霧島。続いて武蔵も顔をしかめる。
「どうにも、合わんようだ。」
匂いを消すかのように焼酎を流し込む武蔵。そんなに酷いか。ならば、と俺も一口。
「うーむ、確かに……。」
二人同様、俺も顔をしかめる。チーズの香りと芋の薫りが喧嘩して、ぶつかり合ってマッチしそうもない。やはり赤ワインに合わせたくなる味だ。
評価:★★★
「んじゃ次は、味を変えてペコリーノロマーノを、と。」
ん~しょっぱ。この塩っ辛さが芋に合うのか?
「う~ん、塩が強すぎるか。」
「そうですねぇ、せっかくの芋の甘味が負けちゃってますよ、コレ。」
確かに、と味わいながら俺も思う。塩辛さが立ち過ぎて芋焼酎その物の良さを感じられない。どちらかといえばジンとかウォッカ系のスッキリした味のカクテルに合わせたい。
評価:★★☆
次はパルミジャーノ・レッジャーノか。これ普通にチーズ単品だけでも美味いんだよな。ただ、焼酎と合うかはまた別の話。
「ふむ、不味くはない。だが……」
「最初に食べたミモレットの方が、相性よかった気がします。」
だよなぁ、やっぱり。パルミジャーノの旨味が強すぎて、芋焼酎の味も引き立ててはいるんだけど、どっちもガツガツに主張してきてマッチしてるとは言い辛いな、コレ。
評価:★★★★
「さて、残るは2種類か。」
「ブルーチーズと提督手製のスモークチーズか。しかし私はどうもブルーチーズのキツい香りが苦手でな……」
「あ、武蔵さんもですか?実は私も……。」
ブルーチーズの青カビ臭さは苦手な人は本当に苦手だからなぁ。吐きそうになるくらい。まぁ、対応策が無い事も無いが。
「まぁ、取り敢えず味見しようぜ。」
結果的には、芋焼酎にブルーチーズはあまり合わないと判明した。青カビの香りが芋の香りを完全に邪魔してしまっている。味は合っていると思うんだがなぁ。
「て、提督……すまんっ‼」
「飲み込めそうに……無いですぅ。」
二人とも青い顔をしてプルプル小刻みに震えている。ありゃりゃ、こりゃ重症だわ。仕方無い、秘密兵器を出すか。
「二人とも、口の中身は吐き出しちゃっていいからさ。今度はコレかけて食べてみな。」
俺が差し出したガラス瓶。それは……
「これは……ハチミツ?」
そう、ハチミツだ。コレをブルーチーズにかけてから再び口に入れる。
「ん‼美味い、臭くない‼」
「寧ろ絶妙なアクセントですよ、コレは!」
うん、思った通り。ブルーチーズ+ハチミツは青カビ臭さを抑えて味を引き立ててくれる。そして芋焼酎とのマッチングもバッチリ。
評価:★★★★★+α※但し、ハチミツ追加の場合。
最後はスモークチーズか。う~ん、しかしこれは……
「スモークがあんまり合いませんね、芋の香りに。」
「……だよなぁ。やっぱり合わせるならビールかウィスキーだわ。」
う~ん、こうなって来るとやはりミモレットとブルーチーズ(ハチミツ掛け)か?
「なぁ、どう思う?」
「うむ。私も最初はミモレットが良いと思ったんだがな……?」
武蔵は頬をポリポリと掻いて、申し訳なさそうにこう言った。
「こう……したたかに酔って来たら、パルミジャーノ位に自己主張が激しいチーズの方が合う気がしてきた。」
「あ、それ私も思ってました。酔いが回ってくると強烈な味の方が良いですね。」
そうか、なら決まったな。
「ありがとよ。チーズの盛り合わせはミモレットとパルミジャーノにするよ。」
「いやいや、決まってよかった。それに美味いチーズと焼酎もご馳走になったしな。」
あ、よく見たら一升瓶空じゃねぇか‼
「テメェら呑みすぎだこの野郎!折角の貴重な酒がぁ……」
俺の涙などなんのその。二人は更に酒とツマミを注文してきた。こうなりゃヤケだ。
「お前ら、朝まで寝かさんからなっ‼」
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