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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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逆ギレかよ

 
前書き
なぜか突然思い付いたことをただストーリーっぽくしてみただけです。意味?そんなものない!! 

 
ウェンディside

「レオン、シリル、起きてる?」

シリルにサクラが弟子入りした次の日、今は家で朝食を食べようとしているんだけど、シリルたちが起きてこなくて部屋に様子を見に行っています。

「おはよ、二人とも」
「私たちもいるんだけど」
「そうだぞ~」

扉をノックすると中からすでに着替えを終え、準備が整っているレオンと眠そうに目を擦っている猫型ラウルが出てきました。

「悪ぃ、気付かなかった」
「シャルル、セシリー、おはよぉ」

家の中では猫の姿でいることが多いため、シャルルたちのことを見つけられなかったんだろうね。ラウルはレオンの足元から二人の姿を見つけると、飛んでくるように目覚めて来たけど。

「シリルは?」
「ご覧の通り」

ベッドの方を指さすレオン。そちらを向くと、そこには布団にくるまり未だに夢の中に入っている少年の姿があった。

「まだ寝てるんだね」
「昨日遅かったもんね」

昨日シリルに後輩が出来たんだけど、その子がシリルに質問をいっぱいぶつけていて、帰ってきたのは日を跨いでから・・・私たちは先に上がったんだけど、彼はサクラがなかなか言うことを聞いてくれなくてずっと付き合ってたんだもん。それは起きれないよね。

「いいのか?今日なんか依頼に行くって言ってたよな?」

サクラに経験を積んでもらうために、私たちと一緒に今日は依頼に行くことになってたんだけど・・・

「大丈夫だよ、きっとサクラも起きてないって」
「それは言えてるわね」

シェリアとシャルルの言う通り、シリルが起きていないってことはサクラも起きていないような気がしてならない。二人が起きてこないなら、後で簡単な依頼をこなしてみればいいと思うし、無理に起こさなくても大丈夫じゃないかな?

「シリルゥ、先に行ってるからねぇ」
「むぅ・・・」

念のために彼に一声かけてから食事をし、家から出ていく。住んでいる家から降りていき、ギルドに向かって歩き出す。

「しかし、シリルもなかなか大変だな」

頭の後ろで手を組み、昨日のことを思い出しているレオン。確かに、あんな台風みたいな子が弟子になっちゃうなんて、シリルも大変かもね。

「ウェンディは不安じゃないの?シリルにあんな可愛い弟子ができちゃって」

イヤらしい笑みを浮かべながらこちらを見ているシェリア。彼女はたぶん、サクラっていう妹みたいな存在が出来たことで、シリルが心変わりしちゃうんじゃないかって思ってるみたい。

「ううん。全然」
「えぇ~!?」
「なんでなんで!?」

最初はあんなに彼氏にベタベタくっついてくる子が現れてどうしようかどうしようかと思ったけど、今はそんなことを考える必要がないことに気が付いた。

「だってあの子、シリルを男扱いしてないんだもん」
「「「「あぁ~・・・」」」」

最初、シリルに挨拶した時から思っていたけど、サクラはシリルを“女の子”の先輩として見ているところがあり、男性を見ている目ではない。彼女はソフィアみたいに特殊なタイプじゃないだろうし、心配するだけ無駄なんじゃないかな?

「オッハヨーございま~す!!」
(((((ビクッ)))))

噂をすればなんとやらという奴なんでしょうか、後ろから聞き覚えのある声がします。不意を突かれた私たちは体をビクッとされた後そちらを見ると、そこには見覚えのある薄い桃色の髪の少女がいました。

「皆さん早いですね!!」
「え!?サクラ!?」

そこにいたのは昨日シリルに弟子入りしたサクラ。でも、彼女はシリルとずっと一緒にいて日付が変わるまでいたはずだから、まだ眠たいはずなのに・・・

「お前も早いんだな」
「はい!!いつもこのくらいには起きてます!!」

聞いた話によると彼女は4、5時間くらい眠れれば十分なくらい疲労の回復が早いんだとか。なんとも羨ましい体質ですね。

「あれ?シリル先輩はどこですか?」

背伸びしたりして私たちの後ろまでくまなく探している彼女が自身の師匠の姿を探す。

「あら、シリルならまだ眠ってるわよ」
「昨日遅かったからね~」
「誰かのせいでね」

人の姿になっているシャルル、セシリー、ラウルがサクラの方をジロジロと見ながらそう言います。それで彼女は何をどう思ったのか、いきなり私の手を握りました。

「ウェンディさん!!」
「は!!はい!?」
「シリル先輩に無理させちゃダメですよ!!」

その瞬間ズルッとずっこけそうになっている音が聞こえたような気がしました。その音を発したのはたぶんシェリアたちなんだけど、彼女たちはなんとか踏み留まりサクラちゃんの肩に手を置きます。

「待って。なんで今ウェンディのせいにしたの?」
「え!?違うんですか!?」

不思議そうに首を傾げる本当の原因。シャルルたちから凝視されていたのに気付かないなんて・・・鈍感な子なのかな?

「だってシリル先輩とウェンディさんはレズップルなんですよね?付き合ってる人は夜眠らないって・・・」

それを聞いた途端、レオンとシャルル、サクラ以外のこの場にいる全員の顔が赤くなりました。この子はなんてことを言うんでしょうか・・・

「さ・・・サクラ?そういうのはまだあなたには早いと思うんだけど・・・」

彼女は私よりも2つも年下なんだから、この手の話に触れるのは早すぎます。それを伝えると、彼女はさらに不思議そうな顔をしていました。

「ん?何が早いんですか?」

純粋な目で私を見つめるサクラ。もしかしてこの子は意味を知らないで言ってたってこと?そう考えると罪悪感が・・・

「ねぇねぇ!!どういうことなんですか!?」
「まだ知らなくていいから!!」

腕を引っ張り言葉の意味を聞こうとする彼女の手をなんとか振り払います。こんな無垢な子に教えるなんて、絶対にできません。

「シリルは当分来そうにないけど・・・どうする?」

話題を反らそうとシェリアが助け船を出してくれます。おかげで彼女の注意が私から離れます。

「はい!!師匠を起こしに行ってくるであります!!」
「待て」

敬礼してすぐさま私たちの自宅へと走り出そうとしたサクラの首根っこを掴むレオン。彼女はそれに気付いていないのか、足をバタバタと動かしており、全然進んでないことにしばらくしてから気付いて動きを止めます。

「どうしたんですか?レオンさん」
「もう少し寝かしておいてやれ。後ですぐに起きてくるだろうし」

さすがに気の毒だと思ったレオンが起こしに行こうとしたサクラを引き止めます。それを聞いた彼女は・・・

「はい!!了解であります!!」

楽しそうに敬礼をし、私たちと一緒にギルドに向かうことになりました。でも、彼女はギルドに付いた後も中には入らず、シリルのことを外で待っていることにしたようで、大丈夫かな?と心配してしまいました。



















シリルside

「んん・・・」

部屋に入ってくる太陽の光で目を覚ます。どうやらレオンが先に起き、カーテンを開けていたらしい。

「レオン・・・今何時?」

眠たい目を擦りながら隣に寝ていた少年に時間を訊ねる。昨日はサクラにずっと付き合わされて日を跨ぐまでギルドにいたからなぁ・・・ずいぶんと眠ってしまっていた気がするよ。

「ねぇ、レオンってば」

ようやくボヤけていた視界が戻ってきたかと思うと、いつまでもレオンが質問に答えてくれないのでもう一度聞き直してみる。しかし、それでも彼は返事をしてくれないので、おかしいと思って顔を上げると・・・

「あれ?」

部屋の中には誰もいなかったのである。

「レオン?ウェンディ?」

部屋から出ていって家の中を見回ってみるが、共に住んでいるはずの少女たちの姿がどこにもない。最後にリビングへと向かってみると、そこにはラップに包まれた朝食と一枚の紙が置いてあった。

《昨日は遅くまでお疲れ様。眠そうだったから私たちは先に行ってるね♪後からゆっくりでいいからギルドには来てね》

その手紙を見た後、まさかと思い時計に目をやる。その時計が信じられないような時間を差しており、一瞬で眠気が覚めた。

「ウソ!?もうこんな時間!?」

慌てて部屋へと戻って服を脱ぎ捨てる。昨日遅くまでギルドにいたから寝るのが遅くなり、完全に寝坊してしまった。

「ヤバい!!今日は依頼に行くって言ってたのに!!」

サクラに経験を積ませることも兼ねてみんなで依頼を何かしてみようと話していたんだけど、その当日に言い出した人物が遅刻するなんて笑えない。パジャマを脱いだ後、タンスから急いで今日着る服を取り出してそれを身に纏っていく。

「ご飯はいいや」

朝食なんて食べている時間はない。なので、パンを一切れ口に食わえて家を出る。

「ウェンディたち起こしてくれてもよかったのにぃ!!」

起こされたことなんて全然知らない俺は文句を言いながらギルドに向かって走っていく。人が多い時間帯なのか、街にはたくさん人がいてその間を縫って走っていく。だけど、その際あることを疑問に思った。

(なんでみんなこっちを見てるんだ?)

通り過ぎていく人の大半が俺の方を見ている。特に男の人がこっちをずっとガン見しており、お母さんたちは子供の目を抑えている人までいる。

(気にしなくていいか)

なぜ俺の方をじっと見ているのか原因を突き止めたいところではあるが、気にしているほどの余裕はない。もう完全に遅刻なのは確定なんだけど、それでも少しでも早くギルドに着いておきたい気持ちがある。

足取り軽く、視線を掻い潜りながら走っていると、ようやくギルドが見えてくる。予想よりも早く着いたことに頬を緩ませると、ギルドの前に一人の人物を見つけて顔が強張る。

「オハヨーございます!!シリル先輩!!」

屈託のない笑顔で出迎えくれたのは俺の弟子になることになったサクラ。今日の寝坊の原因を前にド突きたい衝動に刈られるもなんとか堪える。

「おはよ、サクラ」

無理矢理に作った笑顔で返事をすると彼女は嬉しそうな笑顔を見せる。ただ、純粋であるがゆえに人の気持ちを汲み取れないところもあるの笑顔は、悪魔の微笑みのようにも感じられる。

「遅かったですね」
「お前のせいでな」

乱れた呼吸を両膝に手をつきながら整える。ずっと全力疾走で来たから本当にキツかった。今度からはもう少し早く帰らせてもらうことにしよう。

「今日からはあんな遅くまで付き合わないからな」
「そんなことよりシリル先輩」

食い付いてくるかと思ったら何事もなかったかのようにスルーされちょっと驚く。サクラも以外と物分かりがいいのかな?なんて思っていた時期が俺にもありました。

「ズボン履き忘れてますよ?」
「・・・え?」

視線を下げると下にパンツ以外何も履いていなかったことに気付き、恥ずかしさで震える。もしかして・・・街の人たちが俺のことをずっと見てたのって・・・

「パンツ黒なんですね!!てっきり白とか穿いてるんだと思ってました!!それでどうします?今から街の人に見られながら家まで戻ってズボン取って来ます?それとも私が取って来ましょうか?」

上はちゃんと着てたのに、下はパンツしか履いてないなんていくらなんでもアホ過ぎる・・・それも、街の中を堂々と駆けていたことを考えると、もう恥ずかしすぎて悶え死にそうである。

「・・・死ぬわ、俺」
「えぇ!?」

また来た道を戻っていくのもこの場でこんな格好で待っているのもどっちも恥ずかしすぎる。これならもう消えてなくなってしまいたいと、踞り膝を抱える。

「ちょっ!!ドンマイですシリル先輩!!スカートならともかくズボン忘れる人は初めて見ましたけどきっとよくあることですよ!!気にしないで!!」

肩を掴みなんとか元気付けようとしてくれるけど、これはもう本当にキツイ・・・何がキツイって、精神的に、ね・・・


















「お前アホだろ」
「う・・・うるさいなぁ!!」

なんとか立ち直った俺はレオンから持ってきてもらったズボンを履いてギルドの席でちょっと遅めの朝食を食べている。どちらかというと昼食だけど、そこは気にしなくてOK!!

「普通ズボンを履き忘れるなんてありえないわよ」
「パンツだけでも履いててよかったね」
「忘れてたら大惨事だよ」

エクシードトリオからは呆れた視線で見下ろされ、かなり気分が悪い。急いでいただけなんだ、あんなに焦っていたら誰だってズボンの一つや二つ履き忘れることもあるだろう。

「大丈夫です!!シリル先輩のパンツ姿ならいくらでも見てられます!!」
「お前のせいで忘れたんだろうが!!」
「逆ギレかよ」

人の気も知らないで嫌なことを思い出させてくる少女に叫ばずにはいられなかった。でも、今のは逆ギレに入るのか?俺が悪いのか?

「シリルってばドジだね」
「あれは単なる不注意って言うの」

なぜかすごい笑顔のウェンディとあきれ顔のシェリアが正面の席でそんな話をしている。やっぱり俺が悪いのかな?納得できないけど。

「そ!!そんなことより!!今日の依頼はどこに行くの!?」

これ以上恥ずかしい話を引っ張ってほしくないので強引に話を変えていく。それに、今日はどんな依頼をするのかを気にして急いでやって来たわけだし、全く関係ない訳じゃないないからね。

「フフッ。な・い・しょ」

すると、小悪魔のような笑みを浮かべてそう答えたのは天空の竜。今回の依頼は彼女が決めたのか、それにしてもなんでこんなに楽しそうなんだろう・・・

「なら早く行こうぜ、俺はそんなに長く滞在できないし」

彼女の言葉を聞いて席から立ち上がるのは氷の神。近々大きな依頼を控えている彼は参加しないかと思っていたけど、そんなに難しい依頼でもないし、体慣らしも兼ねて参加するらしい。
楽しみにしているウェンディを先頭に全員が席から立ち上がり列車へと向かおうとする。そこで、俺の真後ろにくっついている少女があることに気付いた。

「シェリアさん!!」
「どうした?」
「スカート、パンツに巻き込んでますよ?」

俺のことを不注意呼ばわりしていたシェリアが下着にスカートを巻き込んでおり、後ろからパンツが丸見え状態になっていた。その姿に、さっきバカにされた俺は含み笑いをし、レオンは苦笑い、ウェンディたちも失笑していた。

「も!!もう!!そんな大声で言わないでよ!!」

慌ててスカートを正す顔面真っ赤の天空の神。なんか・・・今日はすごい平和だな・・・





 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか?
シェリアとウェンディのドジっ子姿があまりFAIRYTAILでは出てこなくなった気がしたので、こっちでネタにして行こうと思った今回の話。どこかでウェンディのドジっ子要素もちゃんと発揮したい・・・ 
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