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オズのビリーナ

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第二幕その九

「だから寄る?」
「ジンジャーさんがいいっていうのなら」
「僕達もです」
「あの人とも馴染みになりましたし」
「最近お会いしてないですし」
「立ち寄れるなら」
「あの人はお客さん大好きだから」
 トロットはジンジャーのそのことからお話します。
「何時でも誰が来てもね」
「歓迎してくれるんですね」
「僕達でも」
「結構な人数ですけれど」
「それでもですか」
「笑顔で」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「行ってもいいのよ」
「それじゃあ」
 五人は一斉にです、トロットに応えました。そしてでした。
 トロットはあらためてです、皆に言いました。
「じゃあ途中ジンジャーさんのお家に寄りましょう」
「ええ、わかったわ」
 先導役のビリーナも答えます。
「それじゃあね」
「あの人にもお会いしましょう」
「さて、あの人は相変わらずかしら」
 ビリーナは前に向きなおって言いました。
「ご主人と一緒かしら」
「相変わらずのかかあ天下でしょうね」
 エリカの言葉はここでは少しシニカルでした。
「旦那さんを尻に敷いていて」
「うちとは違うみたいね」 
 ビリーナはエリカの言葉を聞いてこう言いました。
「うちは亭主関白だから」
「それ嘘でしょ」
「絶対に嘘でしょ」 
 エリカだけでなくガラスの猫もビリーナに言います。
「あんたの性格だとよ」
「絶対に旦那さん尻に敷いてるわよ」
「それだけ気が強いから」
「間違いないわよ」
「あら、そう言うのね」
「どう考えてもそうだから」
「あんたにしてもね」
 ジンジャー将軍、今はジンジャー夫人と同じくかそれ以上にというのです。
「まさに国の絶対者でしょ」
「旦那さんが逆らえない位の」
「それが違うのよ」
 まだ言うビリーナでした。
「私は夫を立てているのよ」
「そうかしら」
 トロットもビリーナの言葉に首を傾げさせます。
「ビリーナがそんな性格かしら」
「絶対に違うわよね」
「そうよね」
「ええ、私もビリーナとは長い付き合いだけれど」
 そのことからです、二匹の猫に言うのです。
「あまりというか全然ね」
「ご主人を立てるとかね」
「そうした性格じゃないわよね」
「どう考えてもかかあ天下」
「ご主人が可哀想な位に」
「そうとしか思えないわ」
 とてもというのです。
「私にしてみれば」
「そう言ってもお国に来ればわかるわ」
 ビリーナはこのことについても自信満々です。
「私がどれだけ夫を立てているのかをね」
「何かよく聞く言葉ね」
 ナターシャはビリーナの今の言葉に首を傾げさせました、そのうえで言うのでした。 
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