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とある科学の裏側世界(リバースワールド)

作者:偏食者X
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second contact
  ep.027 student

的場との接触を果たした仁はそのままの流れで、佳奈にも隠していたことを伝えることになった。
仁は申し訳なさそうに佳奈に誤っていたが、佳奈は怒るわけでもなく、悲しむわけでもなく、ただ「仕方ないわね」と言って許してくれた。

その後、的場の提案から1つの組織を頼ることになる。
というのも、これは的場の事情などではなく根本的な戦力差の問題から来ていた。

「ここが.....第0学区。」

地下(した)に降りた途端に空気の変化を感じる。
ごく平凡な地上(うえ)に対して、地下は平凡などという言葉は一切存在しない。
当たり前のように人が死んでいたりするし、殺し合いに近い騒ぎが起きていたりする。

「2人とも俺から離れないように。」

仁は不安そうな佳奈の手を握り引っ張る。
そのお陰か佳奈も少し安心しているようだった。

「他の組織の力を借りるって言ってましたけど宛があるんですか?」

仁はこの前に襲撃されたばかりのため、第0学区の組織がどのようなものなのかに不安を感じていた。

「studentを頼るんだ。 安心して良い、こないだの襲撃者のような人はいないさ。」

少し歩き続けて仁たちはstudentのアジトに到着した。
そのアジトは外観こそ所々ヒビが入ったボロボロの建物だが、中には入るとそこはソファーやテレビなどをはじめ、いかにも生活感のある物がたくさん置いてあった。

すると、1人の女性がやって来た。
第0学区の空気とは正反対でとても上品な雰囲気だ。

「ようこそ。 皆さんは奥で待ってますよ。」

「ありがとうございます、箱部さん。」

的場は箱部という女性に一声かけると中に入った。
建物の中はしつこいほどのコーヒーの香りがする。

「やぁ、そろそろ来ると思っていたよ....的場くん。」

まるで的場たちが来ることが分かっていたかのような口ぶりで話し始める。
的場は少しばかり表情が強張った。

「ホントはアナタを頼りたくはないが、状況が状況ですから今回は助力を頼みに来ました。」

「歓迎するよ。 君はトップクラスの客人(あいて)だからね。 もちろん助力するし、メンバー総動員で君を手伝おう。」

的場自身はあまりstudentを好いてはいないようだ。
だがそれも以前起こった7月19日事件の真相を知っていれば当然のことだった。
しかし、事件の全貌が分かっている訳ではない仁にとってそれは分かるはずもないことだ。


それから仁たちはstudentによって今回の事件の内容を再確認され、その上で何が起ころうとしてるのかを聞かされた。

「今回、敵対することになったobjectの目的は『学園都市崩壊計画(DEAD END PROJECT)』。」

学園都市崩壊計画(DEAD END PROJECT)!?」

その計画とは軍から奪ったミサイルに殺人用のバクテリア等の細菌を乗せ、学園都市上空にて爆破し、殺人バクテリアを散布する。

「殺人バクテリアの威力は0.1秒に極少の量を吸うだけで死に至る。」

「そんなのが散布されたら!?」

「恐らく学園都市の4分の1は死ぬだろうね。」

仁はその言葉を聞いて正気ではいられなかった。
学園都市の4分の1が死ぬなんて誰が想像できる光景だろうか。
それに......

「そんな計画、実行する本人たちも巻き込まれて死んでしまうかも知れない。」

"策士策に溺れる"自分たちの計画で自滅してしまうなら元も子もない。
それでも実行する意味が仁には分からない。

「objectの目的は"学園都市の支配"じゃない。」

野口はこれまで緩ませていた表情を固くし、低めの口調で仁に話した。

「彼らの目的は"学園都市への復讐"だよ。」

第0学区の人間は、そのほとんどが地上で生きる権利を剥奪された人間。
奪わねば生きられず、奪うことが相手を殺す事にだって十分成り得る。
そんな劣悪な環境で怨みばかりを募らせた連中が今さら人間味のある計画などを実行に移す筈がない。

「彼らは"死"を恐れていないのではない。」

「彼らは"復讐"を欲しているんだよ。」

野口が語り終える頃には場の空気は静まり返っていた。
そして一度目を瞑り、次に見開いた時には出会ってすぐの表情に戻っていた。

「けど生憎、僕らはobjectと仲が悪くてね。 嫌いな奴に学園都市を任せるのは不服も良い所だ。」

「故に.............邪魔させてもらうよ。」

その言葉は、その日1番の鼓舞になった。

こうして、studentとanswerと的場の連合が結成されることとなった。 
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