エクリプス(機動戦士ガンダムSEED編 )
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第35話 暁の宇宙(そら)へ
Side エクリプス放送
エクリプス放送ニュースキャスター
「引き続き緊急特別番組を放送します。この放送はオーブより全世界及び地球圏の宇宙コロニーに放送されています。
ゲストはミスリルのコウキ・イチジョウさんとお送りします。
現在、ご覧頂いてる様に地球連合軍はオーブで惨敗となりました。
この結果をどう見ていますか?」
光輝
「当然の結果ですね。まず、補給線が伸びきっています。
補給がなければ現代の戦争は続けられません。
また、モビルスーツは地上では陸戦兵器です。
同じ土俵で勝負する事は愚かな行為と言えます。
海上で勝負すれば、潜水艦や戦闘機に利があります。」
エクリプス放送ニュースキャスター
「ところで途中、落下物がありましたが、あれは何でしょうか?」
光輝
「ミスリルが確認したところでは、木星で減速スイングバイにて地球に落下した物だと判明しています。
初期調査で生命反応はありませんでした。
SDF-1(Super Dimension Fortress=超時空要塞)マクロスと呼称を付けました。
武器を搭載していることからも、戦闘の為に作られているのは間違いないですが、
武器はシンプルで既存兵器に転用しても問題ないと判断しています。
不明なのは、装甲素材と動力です。現在の地球の物とかけ離れています。
現在はオーブ所有ですが、オーブ政府と交渉した結果、一般に公開したいと考えています。
残念ながら、歴史の上で戦争が科学の発展に寄与してきました。
その為に一国が独占するのでなく、プラントを含め、全世界に公開することで、
地球全体の利益を考えて、公開することを決定しました。
SDF-1マクロスで得られた特許は、SDF-1マクロス財団を作り、研究資金とします。
ただ戦時中である事から戦争当事国の参加は認められませんが、
マスコミには全面的に公開します。」
エクリプス放送ニュースキャスター
「予想外の発言でしたが、人類の発展への足掛かりが見えました。」
光輝
「刃物も使い方によっては、武器となります。
全ての情報をオープンにした方が安全です。
もし独占を企むような国があれば、残念ながら爆破せざる負えません。
その為にも大学が主体となって研究を行うべきです。
研究結果はオーブへの報告義務はありませんが、必ずSDF-1マクロス財団に報告を義務付けます。あくまでも人類全体の資産である事が前提です。」
有識者A
「これは朗報ですね。」
有識者B
「確かに全ての情報をオープンにすれば、問題ないのかもしれません。
ただ、武器に関しては各国に自粛させる必要がありますね。」
光輝
「その意見には賛同します。大量破壊兵器は多くのそれも民間人の犠牲を出して来た経緯があります。
ユニウス7から発展したこの戦争も、24万3721名の民間人が亡くなっています。
大量破壊兵器自体を禁止すべきと考えます。
力による支配そのものが人類の過ちです。」
エクリプス放送ニュースキャスター
「ここで次の映像を見てみましょう。」
~~録画映像~~
ホムラ
「現在の世界情勢を鑑みず、地球の一国家としての責務を放棄し、頑なに自国の安寧のみを追求し、
あまつさえ、再三の協力要請にも拒否の姿勢を崩さぬオーブ連合首長国に対し、
地球連合軍はその構成国を代表して、以下の要求を通告する。
一、オーブ首長国現政権の即時退陣、二、国軍の武装解除、並びに解体、
48時間以内に以上の要求が実行されない場合、地球連合はオーブ首長国をザフト支援国家と見なし、
武力を以て対峙するものである。」
アズラエル
「要求は不当なものであり従うことは出来ない。
オーブ連合首長国は今後も中立を貫く意志に変わりはない。
っは、いやぁ流石、アスハ前代表。期待を裏切らない人ですねぇ。
ほんとのところ、要求飲まれちゃったらどうしようかなぁと思っていたのですよ。
あれのテスト、是非とも最後まで頑張り通していただきたいものですがね。」
…
アズラエル
「あー、君達?」
オルガ
「あぁっ?」
シャニ
「へ?」
クロト
「はい。」
アズラエル
「マスドライバーとモルゲンレーテの工場は壊してはいけません。分かってるね?」
シャニ
「他はいくらやってもいいんだろ?」
クロト
「ですね。」
オルガ
「うっせーよ!お前ら!」
~~映像終了~~
エクリプス放送ニュースキャスター
「ミスリルからの情報提供です。」
有識者A
「これは戦争と呼べませんね。」
有識者B
「私的な理由です。」
光輝
「今回の戦闘で明らかな国際法違反があります。
・ムルタ・アズラエルは外交権を持っていません。
・同様に軍への指揮権もありません。国防産業連合理事の職ではありますが、軍の指揮権は大統領にあります。委任を受けてない以上、殺人罪が適用されます。
・またマスドライバーとモルゲンレーテの工場は壊してはいけませんと言っている通り、民間施設の破壊を容認しています。
・強化人間への関与は明白で、刑事裁判が妥当でしょう。
決して軍事裁判でうやむやにしないことを大西洋連邦に求めます。
可能なら国際司法裁判所に訴えるべきですが、今は機能していません。」
有識者A
「これは大統領と地球連合軍の統制が取れていない証です。
大統領や地球連合軍の幹部にも責任があります。」
有識者B
「国防委員会も同様ですな。」
光輝
「それにしても、オーブの執った政策を褒めるべきですね。
200万人分の食糧支援から始まり、大西洋連邦に歯向かってまで、
理念を通すそんな政府は他にありません。
また民間軍事プロバイダーを利用して、政軍分離を着実に進めています。」
有識者A
「ええ、ある意味、戦争するより難しいと思います。」
有識者B
「大西洋連邦はオーブと一緒に200万人を殺す事になったかもしれません。」
エクリプス放送ニュースキャスター
「それでは各国の国民の声を紹介していきます。」
Sideout
Side マリュー・ラミアス
マリュー
「離脱命令!?」
ルリ
「はい。アスハ代表よりアークエンジェルは直ちに戦線を離脱し、カグヤへ降りろと連絡を受け取りました。」
ノイマン
「カグヤ?」
ナタル
「オーブの、マスドライバー施設ですね。」
Sideout
Side カガリ・ユラ・アスハ
マリュー
「オーブを離脱!?我々に脱出せよと、そう仰るのですか、ウズミ様?」
ウズミ
「あなた方にももうお解りであろう。オーブは既に問題はない。」
フラガ、マリュー、ノイマン
「…」
カガリ
「お、お父様、何を!?」
ウズミ
「あとの外交は我等が負う。」
カガリ
「ぁぁ…」
ウズミ
「が、地球軍の背後には、ブルーコスモスの盟主、ムルタ・アズラエルの姿がある。」
アスラン
「ぁ…」
ウズミ
「そしてプラントも今や、コーディネイターこそが、新たな種とする、パトリック・ザラの手の内だ。」
アスラン
「…」
キラ
「…」
ウズミ
「このまま進めば、世界はやがて、認めぬ者同士が際限なく争うばかりのものとなろう。
そんなもので良いか!?君達の未来は。
別の未来を知る者なら、今ここにある小さな灯を抱いて、そこへ向かえ。
またも過酷な道だが、解ってもらえような?マリュー・ラミアス。」
マリュー
「小さくとも強い灯は消えぬと、私達も信じております。」
ウズミ
「では、急ぎ準備を。」
マリュー
「は!」
キラ
「…」
カガリ
「…」
オーブ整備員A
「ブースター取付作業急げ!」
オーブ整備員B
「ジャンクション結合。カタパルト接続確認しました。」
オーブ整備員C
「投射質量のデータに変更がある。」
マユラ
「宇宙へ出ることになるなんて…」
ジュリ
「望むところよ…。」
アサギ
「ブルーコスモスめ!」
オーブ整備員D
「各機、速やかに乗艦せよ。」
首長
「クサナギの予備ブースターを流用したものだが、パワーは十分だ。
ローエングリン斉射と同時に全開に、ポジトロニックインターフェアランスを引き起こし、それで更に加速する。」
ウズミ
「アークエンジェルの方はどうか?」
オーブオペレータ
「現在、ブースターの最終チェック中です。」
カガリ
「お父様。」
Sideout
Side アスラン・ザラ
アスラン
「…ザフトのアスラン・ザラか。彼女には解ってたんだな。」
キラ
「アスラン?」
アスラン
「国、軍の命令に従って敵を討つ。それでいいんだと思っていた、仕方ないと。
それで、こんな戦争が一日でも早く終わるならと。
でも、俺達は本当は、何と、どう戦わなくちゃいけなかったんだ?」
キラ
「…一緒に行こう、アスラン。」
アスラン
「え?」
キラ
「みんなで一緒に探せばいいよ。それもさ。」
アスラン
「…うん。」
Sideout
Side カガリ・ユラ・アスハ
オーブオペレータ
「カグヤ周辺の気象データは全て許容範囲内。」
ウズミ
「ラミアス殿、発進を!」
マリュー
「解りました。キラ君?」
キラ
「発進を援護します。アークエンジェルは行ってください。クサナギは!?」
ウズミ
「すぐに出す、すまん!」
マリュー
「艦首上げ20。ローエングリンスタンバイ。」
カガリ
「お父様!」
ウズミ
「お前はいつまでグズグズしておる、早く行かぬか!
我等には我等の役目。お前にはお前の役目があるのだ!」
カガリ
「でも!」
ウズミ
「想いを継ぐ者なくば、全て終わりぞ!何故それが解らん!」
カガリ
「うぅ…」
マリュー
「てぇ!」
アークエンジェルはローエングリン斉射を行い、ポジトロニックインターフェアランスを引き起こし、それで更に加速して行く。
光輝
「この家出娘が、自分で飛び出す時にはめそめそしなかった癖に、
永遠の別れじゃないぞ。シャキッとしろ。」
カガリ
「コウキ…」
キサカ
「ウズミ様!」
ウズミ
「カガリ!急げキサカ、このバカ娘を頼むぞ!」
キサカ
「は!」
カガリ
「お父様!」
ウズミ
「そんな顔をするな、オーブの獅子の娘が。」
カガリ
「でも!」
ウズミ
「今は父とは別れるが、お前は一人ではない。」
カガリ
「…」
ウズミ
「兄妹もおる。」
カガリは1枚の写真を受け取る。
カガリ
「は?…う…はぁ!?ぁ…」
ウズミ
「うん。」
ウズミ
「そなたの父で、幸せであったよ。」
カガリ
「あぁ…」
ウズミ
「行け!コウキ殿、キサカ頼んだぞ!」
オーブオペレータ
「ディビジョンC以外の全要員退去を確認。オールシステムズゴー。
クサナギ、ファイナルローチシークエンススタート。
ハウメアの護りがあらんことを。」
キラ
「アスラン!」
アスラン
「ああ!」
カガリ
「うぅ…お父様ぁぁ…」
キラとアスランはクサナギの外壁に取りついた。
ウズミ
「種は飛んだ、これでよい。オーブも、世界も。奴等のいいようにはさせん!」
光輝
「よく見て置け。これがオーブの意志だ。」
カガリ
「ぁぁ…お父様ぁ。」
光輝
「マスドライバー施設の破壊は必要だ。
決して強者に屈しない姿勢を世界に見せなければならない。
そしてまた攻め込んでもモルゲンレーテを破壊する覚悟がある証明だ。
オーブは二度とマスドライバー施設を作らない。」
カガリ
「え?」
光輝
「次は軌道エレベーター、『アメノミハシラ』を作成するのさ。
このクサナギの発進で加速Gは掛かってないだろう。」
カガリ
「あ!」
光輝
「クサナギもアークエンジェルと同様にミスリル仕様に変更してある。
慣性制御と重力制御が組み込まれている。
実はマスドライバーを使わなくても、大気圏内から脱出出来る。
マスドライバーを使ったのは技術秘匿の為だ。
地球に戻りたければ、バルキリー VF-25 メサイアを使えば、簡単に往復出来る。」
カガリ
「それを先に言え、コノヤロー!」
光輝
「ついでに言うと、学習システムで何時でも連絡取れるからな。
それとアークエンジェルには天使の湯という温泉設備も増設しておいた。」
カガリ
「お前バカだろう。
モビルスーツの装甲の釣り針の次は、温泉設備か。」
光輝
「重力制御の恩恵だな。宇宙を見上げて温泉、最高だろ。」
カガリ
「確かに…。」
キサカ
「カガリ様。」
カガリ
「キサカ、宇宙で温泉入りたくないのか?」
キサカ
「…」
キサカは先程まで父親と別れを悲しんでいた、カガリの変わり身の早さに唖然としていた。
Sideout
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