英雄伝説 絆の軌跡
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第4話 招待状
前書き
今回会話が多めです。
翌朝、メルト達はシード大佐に脅迫状事件の中間報告をするためエルベ離宮にいた。
「ふむ…帝国、共和国とも犯人の可能性は低いか」
「まぁそれ以上の事は分からなかったんだけど…」
「いや、この時点で犯人が見付かるとは思っていないさ」
「ま、この程度で見つけられるんならわざわざ軍も俺達に依頼はしないだろうな」
「それもそっか」
「ああ。では引き続き調査を頼みたい」
「うん。分かったわ」
シード大佐への報告を終えると中庭で鬼ごっこをしていたメルトとレンとティータを連れて遊撃士協会へ向かった。
遊撃士協会ではボースに特務兵の残党が表れたという件について話をしておりそれに飽きたレンが1人で遊撃士協会を出て行ってしまい、エステルとティータとメルトで探しに行きながらメルトの兄について調査を始めた。
「うーん…メルトさんのお兄さんの手掛かり、なかなか見つからないわね」
「最後にいたのがリベールだから誰か知ってると思ったのですが…」
「レンちゃんも見つからないし何処行っちゃったんだろう」
両方とも行き詰まっていた。
そんな矢先、ティータがレンと昨日遊び回った場所を思い出し足取りを追ってみるとエーデル百貨店で姿を見つけたので後を追いかけた。
最終的にグランセル発着場で捕まえエステルとメルトで再び兄捜しを再会した。
「全く…レンったらさんざん振り回して困った娘ね」
「まぁレンちゃんも反省しているのであまり怒らないで下さいね?」
「あたしもレンちゃんの事忘れて話し込んじゃったのが原因だしね」
「はい。ところで先ほど話に出ていた特務兵というのは…?」
「うーん。簡単に説明するとね…」
エステルの話を簡単に纏めるとリベールでクーデター事件をおこした連中である。
当時、軍には新設部対の情報部がありトップのリシャール元大佐がアリシア陛下の甥、デュナン公爵を傀儡に軍事国家にするために動いていた。
それをエステルを始めとする遊撃士が阻止した。
「そんなことがあったんですか…」
「あたしだけじゃ絶対解決出来なかったけどね。ヨシュアやアガット達が協力してくれたおかげよ。最後は父さんに助けられたしね」
「エステルさんのお父様も遊撃士なのですか?」
「うん。カシウス・ブライトって言って今は軍に所属してるけど」
「エステルさんってカシウスさんのお子様だったのですか…それでしたらクーデター事件の解決というのも納得です」
カシウス・ブライト。
元S級遊撃士でかの百日戦役では反攻作戦の立役者である。卓越した頭脳と研ぎ澄まされた戦闘の腕、更には常人には辿り着けないとされる理に至った猛者である。
彼が軍に所属したあとも結社では最大級の警戒対象である。
「でもまだまだよ。ゆくゆくは父さんを超える遊撃士になってやるんだから」
「それは大きくでましたね。ですがエステルさんならいつかなれる気がします」
「ありがと。ところで小腹すいたからそこでアイス食べていかない?」
「いいですね。行きましょう♪」
小休憩をするため百貨店の近くにあるベンチでアイスを食べながら休むエステル達。
そんな中、エステルはあることを切り出した。
「メルトさんって時々思い詰めた様な顔をしてるんだけど何か悩みでもあるの?」
「え…?」
それは図星だった。
エステルの予期せぬ言葉に言葉が詰まり何も返せなかった。
「あたしはメルトさんの事、あまり知らないけどたまーに思い詰めた顔をするから気になっちゃって」
「…実はレンちゃんと同い年で心配な娘がいるんです」
「心配な娘?」
「はい。とある事情で親と上手く行ってなくて…決して親が嫌いとかその逆ではないのですが」
「反抗期って訳でもないのよね?」
「はい。なので余計に心配で…」
「うーん。あたしは今の話ししか聞いてないからはっきりとは言えないけどお互いに嫌い合ってるんじゃないならきっと大丈夫よ」
「大丈夫ですか?」
「うん。親って言うのは子供の為なら何でも出来ちゃうのよ。百日戦役の時にあたしを救ってくれたお母さんや何だかんだいいながらあたしに危害が及ばないように軍を動かしている父さんのように。
今はぎくしゃくしちゃって変な感じなのかもしれないけどちょっとしたきっかけがあれば仲直りするわよ」
「エステルさん…ありがとうございます」
エステルはとにかく明るく「太陽の娘」という言葉が当てはまる。
高い所で地上を照らし人々を導く太陽のように、皆の進む道を明るく、希望となり得る存在だ。
「さてと…遅くなっちゃったし1回遊撃士協会に戻りましょ」
「あ、その前にエステルさんに手紙があります」
「あたしに手紙?」
「はい。ヨシュアさんという方からです」
「……………え?」
エステルはヨシュアからの手紙を受け取り、セントハイム門に急いで向かっていた。
気を利かせたメルトによって遊撃士協会にいる皆には事情を話しておくので向かうように言われたからだ。
セントハイム門の長城の上には七曜協会の巡回神父、ケビン・グラハムがいた。
ケビンによるとメルトが手紙を受け取った男性と同じような人に手紙をもらい、ここに来たらしい。
このことについて考察を始めた矢先、結社の人形兵器が表れた。
これを難なく退けたがエステルが自分たちを始末する為の罠だと気付き、ケビンと共に遊撃士協会へ向かう。
遊撃士協会ではアガットを始めとする全員が睡眠薬で眠らされており、カウンターの上には「娘2人と公爵は預かった。返して欲しくばお茶会に参加せよ」と書かれた手紙が残っていた。
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