Three Roses
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二十二話 大学その九
「そのうえで」
「善悪、正邪をだな」
「確かめることがです」
「大事か」
「私はそう考えます」
太子はここまで聞いていて目を光らせた、しかし何も言わずマリーの言葉を聞いていた。マリーはその中でさらに言っていった。
「どうしても入れられない書はありますが」
「そうでもないのならだな」
「悪書、異教異端の書であろうとも」
「図書の中に入れるべきか」
「善を知るには悪を知ることなので」
「悪をもか」
王はここまで聞いてまた述べた。
「知ることか」
「そうではないかと考えます」
「神を知るにはだな」
「悪魔を知ることなので」
「わかった、では国の益になれば」
「如何なる学問でもです」
それが法皇庁が異端としてもとだ、マリーは言葉の行間の中に入れてそのうえで周りにも話す形で王に話した。
「それは善となるのではないでしょうか」
「国、そして民のだな」
「はい、益になれば」
それでというのだ。
「そうなるのではないでしょうか」
「そうか、ではな」
「それでは」
「余は決めた」
王としての決定だとだ、王は言い切った。
「マイラ王女、太子、そしてマリー王女の言葉を正しいとする」
「では」
「その様に」
周りも応えた、そしてだった。
大学が増やされ王都にはこれまでにない規模の図書館を築くことになった、その為の予算も組まれることになった。
この話の後でだ、ロドネイ公はマリーに話した。
「先程のことですが」
「王にお話したことは」
「非常に素晴らしかったです」
「私もそう思います」
「私もです」
「私もまた」
司教にデューダー卿、キャスリング卿も言ってきた。
「非常に素晴らしかったです」
「王も内心感嘆しておられました」
「まさに国の主のお考えです」
「それならいいのですが」
彼等の言葉を聞いてだ、マリーは微笑んで応えた。
「私としても」
「それでなのですが」
司教はマリーにここでこう言った。
「太子ですが」
「あの方が」
「マリー様を見ておられました」
「あの時に」
「はい、強い目の光で」
「そうですか」
「どうもです」
太子のその目の光からだ、司教はマリーに彼の考えを話した。
「マリー様を切れる方だとです」
「思われたのですか」
「はい、そして」
「お姉様を女王にするにあたって」
「驚異と思われたかも知れません」
「そうなのですね」
「それならばです」
司教の言葉を聞いてすぐにだった、デューダー卿がマリーに進言した。
「お気をつけ下さい」
「太子が私をご自身の政敵と思われたから」
「あの方はロートリンゲン家の方です」
「ロートリンゲン家といえば」
「そうです、常にです」
声に剣呑なものさえ帯させてだ、デューダー卿はマリーに話した。
ページ上へ戻る