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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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472部分:第六十六話 獅子出陣その四


第六十六話 獅子出陣その四

「だからこそだ。勝たなければならないのだ」
「そうだな。だからこそ」
「御前の言葉が正しいのはそれが為だ」
 あらためてそうだと告げたのであった。
「だからこそだ」
「わかった」
 兄のその言葉に頷く弟であった。
「それではだ。どんな存在が出て来てもだ」
「御前ならばできる。いや」
「いや?」
「御前達ならばだ」
 彼に対してだけ告げた言葉ではないのだった。
「御前達ならばな。それができるのだ」
「俺達ならばか」
「御前達あらたに黄金聖闘士になった者達はだ」
 具体的には今聖域に集っている黄金聖闘士達の中でサガとこのアイオロスを除いた全ての黄金聖闘士達のことだ。まだ若い彼等のことである。
「誰もがそれができる」
「この戦いに勝つことがか」
「そして」
 それだけではないという。アイオロスの言葉はさらに続くのだった。
「その先にある勝利も手に入れることができるだろう」
「この先というと」
「そこまでは私にもわかりはしないがだ」
 つまり勘で感じているというのである。
「だが。御前達ならば確実にできる」
「その勝利の先にあるものも手に入れることができると」
「あるいは与えるか」
「与える?」
「いや」
 今の自分自身の言葉に戸惑いを覚えてしまったアイオロスだった。言ったそのすぐ側から戸惑いを感じてしまわざるを得ないものであった。
 しかしそれを自覚したうえで。さらに言うのであった。
「誰に与えるかというと」
「アテナか」
「そうだろうな」
 こう答えはする。しかしだった。
 確かにアテナだ。だがそれだけではないような気もするのだ。何故か少年達を思い浮かべてしまう彼だった。それがどうしてなのか自分にもわかりはしないが。
 そんな話をしていた。アイオロスは人馬宮に入った。
「ではな。またな」
「兄さんは何時聖域を出る?」
「まだだ」
 今ではないというのだった。
「御前が出てからになるな。それを追ってだ」
「そうか。ではオーストラリアでな」
「うむ、また会おう」
 こう話をして別れる兄弟だった。次の日にアイオリアのいる獅子宮に教皇からの伝令が来た。伝令は彼の前に来ると一礼してからこう述べてきたのであった。
「アイオリア様と共に出陣する白銀及び青銅の聖闘士達が決まりました」
「その者達はもう出陣の準備は整っているのだな」
「はい」
 すぐに答えてきた伝令であった。
「聖域の出口でもう待っています」
「そうか。それではだ」
 その話を聞いてすぐに頷くアイオリアだった。
「すぐに行こう。オーストラリアにな」
「では。私はこれで」
「うむ。御苦労だった」
 伝令に労いの言葉をかけてそのうえで聖域から出陣しに向かう。そしてその出口に待っていたのは。
「アイオリア様」
「それでは」
「御前達か」
 アイオリアはまずは出迎えてきた二人を見て言った。
 一人はがっしりとした身体つきの青年でありもう一人は賢者然とした落ち着いた雰囲気の男であった。アイオリアはその二人を見てそれぞれの名を呼んだ。
「ケルベロスのダンテ」
「はい」
「ケフェウスのダイダロス」
「はい」
 二人はそれぞれアイオリアに恭しく一礼してきた。
 
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