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Three Roses

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第二十二話 大学その四

「信者達からはさらに搾り取りだ」
「神への捧げものとして」
「あらゆるものをですね」
「そしてそのうえで」
「質素であることを強要しますね」
「彼等は口で神を言うがだ」
 露骨な嫌悪さえ見せて語る太子だった。
「わかるな」
「私も旧教は正しいと思っていますが」
 司教が太子に答えた。
「ですが法皇庁は」
「間違っているな」
「はい、あちらはです」
「自分達のことしか考えていない」
「本来の信仰を持っているとは思えないです」
「そうだ、国そして民が豊かになればだ」
 それならばとだ、太子は現実から話した。
「異教のものであろうともだ」
「いいですね」
「構うことはないですね」
「取り入れる」
「そうあるべきですね」
「その通りだ」
 太子はコーヒーを飲みつつまた二人に答えた。
「だからだ、妃には私が話しておこう」
「そして、ですね」
 今度はオズワルド公が太子に話した。
「大学には」
「様々な学問を置こう」
「法皇庁の意に沿ったものだけでなく」
「むしろそうした学問はだ」
「避ける」
「そうあるべきですね」
「さもなければだ」
 法皇庁の意に沿った学問ばかり学べばというのだ。
「この国はかつての帝国と同じになってしまう」
「教会の雌牛ですね」
「そうなってしまいますね」
「そうだ、私はこの国をそうさせるつもりはない」
 ここでは純粋な正義感で語った様に見せた、しかしそれが仮面でその実はどうかは太子もわかっていたし二人も読んでいた。
 だがそれはあえて三人共語らないでだ、太子はさらに言った。
「民の為にもな」
「この国の民はこの国のもの」
「教会のものではないですね」
「だからこそですね」
「それは」
「許しはしない」
 法皇庁の意に沿った学問を置くことはというのだ。
「様々な学問を学ばせよう、そしてだ」
「そして?」
「そしてとは」
「この国は錬金術に厳しいな」
 このことについても言う太子だった。
「そうだな」
「はい、実は」
 オズワルド公が答えた。
「伝統的にです」
「この国は錬金術に不寛容だな」
「そうです」
「錬金術もだ」
「そちらもですか」
「大目に見ることだ」
その錬金術についてもというのだ。
「見て見ぬふりとも言っていい」
「あえてですか」
「法皇庁が嫌っていようとも」
「それでも」
「魔術とも言われていますが」
「魔術でも結構なことだ」
 教会が徹底的に忌み嫌っているこれであろうとというのだ。 
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