IS 輝き続ける光
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室内の状況
閃輝と咲夜がセシリアと別れ自分達の部屋とされた1038号室へと入った、一見すると綺麗で上質な部屋。前もって送っておいた自分達の荷物がダンボールに詰められた状態で置かれていた。それを見るや否や中から荷物を出しチェックする。
「問題なし」
「こっちも、次は……」
咲夜は意識を集中しながら目を瞑って部屋に意識を浸透させていく、部屋の隅々までに広がっていく感覚は部屋全てにある全てが感じ取れる。今床に落ちた髪の一本から既にある埃の細かい位置まで全てが。だが目的はそれらではなく、この部屋に仕掛けられている何か。
「お願いね閃輝君」
「お任せを、咲夜さん」
アイコンタクトを受けて即座に行動を開始する閃輝、能力を使用して速度を高めて僅か4秒後には目的を達成した。その掌の上には大量の機材がごっそりと置かれていた、どれも小さい物だがマイクやカメラなどが確認できる。盗聴器にカメラ、全て合計して35個と言った所だろうか。
「良く仕掛けやがりますね」
「想定内の事よ、全て破棄」
「うっす」
両手で包みこみつつ一気に霊力を流し込んで機材その物を完全にショートさせ内部のデータ含めて完全に破壊してそれらをビニール袋に包む。後で教師陣に見せ付けてやるつもりだがその前に閃輝は荷物の中から粉が入った小瓶などを取り出してそれをすり鉢に入れて擦って行く。
「本数はどの位要ります?」
「そうね。大体10本お願いできるかしら」
「了解っす」
追加で白い粉を鉢に打ち込んで擦り直していく。閃輝はこの作業をするのが一番好きだ。自分で使う薬品などを調合し形にしていく作業、初めて兄と姉に習った魔法の初歩であり手取り足取り指導されて今では二人以上の技術を得ている。それに自信を持っているし他人に自前の物を提供できる、嬉しいことだ。擦り終わった粉を紫色の液体を加えてこねて行く、そして煙草の形に変えて後は乾くのを待つだけとなった時二人がしている指輪が光った。懐に入れている携帯を開く。
『バディメールだ。ファンタジスタ本社からだ』
「本社から?緊急か?」
携帯から聞こえてくる声は明らかに人間の物では無い電子音交じりの物だが何処か人のような感情を込められている。二人が持っている携帯、閃輝の物はシルバーで咲夜はブルー。その画面には顔のような模様が表示されている。
『どうやら本社のデータベースに不正アクセスがされた模様です』
「不正アクセス?侵入されたの?」
『いえ、居合わせた闇夜様によって撃退された模様です。しかしあるデータが閲覧された記録が御座います』
「一体何のデータが閲覧されたんだ?」
『どうやら君の情報らしい、バディ』
閃輝ら幻想郷から来た者が外の世界での活動を補助する為の会社である『ファンタジスタ』、そこへ何者かがハッキングを掛けたが闇夜によって阻止された。だが閃輝によるデータは見られてしまった。だがそのデータは所謂外の世界における戸籍的なデータ、霧雨 閃輝という人間は外の世界には居ない為、偽造された物。見られても何の問題は無いが何故それを見たのかというのが疑問に残る。
「俺のデータって能力とかの事は無いよな。所謂戸籍しか無い筈だぞ」
『うむ。幻想郷におけるデータは最重要機密として八雲 紫によって厳重に管理されている、それを突破する術は無い。しかし、何故閃輝のデータを見たのか、気になるな』
『閃輝様にご興味があるのでしょうか』
「それは今世界中の人間がそうだと思うわ。突如現れたISを動かせる男なんだから」
咲夜の意見は尤も。今までISは女にしか動かせないというのは最早常識となっていた、故に男を見下す者は多く社会問題にもなっている。産まれてきた子供が男だから、というだけで親が子供を捨てる事も世界中で起きている大問題の一つだ。そこに現れたイレギュラー『霧雨 閃輝』。それに興味を持つのは至極当然の事といえる。そう思っていると閃輝は持っている携帯に"507"と入力し机の上に置いた。
すると持ち手部分として変形している一部分が手足のように変形し携帯が立ち上がった。
「セブン、如何思う?」
『現状では判断材料が少なすぎるとしか言いようが無い。君を狙っている国は世界中にいる』
「まっ捕まらない自信はあるけどな」
『寧ろ閃輝様やバディを捕らえようとした場合、外の世界の国では対処不能ですゆえ』
「貴方も最初に比べて大分口が達者になったわね、サード」
咲夜も同じようにコードを入力した、閃輝とは違い"503"と。そして机の上へと投げるようにするが空中で手足を展開した携帯は見事に着地し咲夜に向けて恐れ入りますとお辞儀をした。彼らはにとりと闇夜が開発したPEの管理AIの外部活動ユニット、通称フォンブレイバー。セブンは閃輝の相棒、サードは咲夜の相棒となっている。
「どっちかというと本社の方に敵が乗り込むって事の方が考えられるような気がするよ」
『極めて同感だ。本社に乗りこまれる可能性89.3、±2.3%だ』
「撃退される可能性は?」
『99.89%。±は0だ』
「「ですよねー」」
納得の数値である。にとり特製のAIだが何処か人間臭くある意味人間より人間らしい存在である彼らはバディである閃輝と協力して様々な出来事に挑んでいる。本社には幻想郷出身者が数人いる、闇夜もいるし魔理沙もいる、この時点で撃退できるのは決定しているような物。加えて今は紫の式神である八雲 藍までいる。撃退どころか殲滅も楽勝なレベルである。それを踏まえた計算結果に納得しているとセブンにメールが入る。
「誰からだ?」
『初めての着信だ、ウィルスは無し。開くぞ』
画面がメールの本文に切り替わり本文が表示される。送り主は、織斑 千冬となっている。
『突然のメール申し訳ない。二人で話がしたい、出来る事ならば私の部屋まで来てもらいたい』
「おいおいなんで知ってんだ?教えた覚えないぞ」
『僭越ながら、IS学園の教師人のごく一部には緊急時用として閃輝様のメールアドレスが配布されております』
「まあウィルスチェックとかはセブンがやってくれるからいいけどさ……」
『それで如何するのだバディ、呼び出されているが』
呼び出しと言われて自分としては行く気は一切無い。閃輝自身としては千冬に対して良い感情は抱いていない、記憶が消えているのだからしょうがないと言えばしょうがないが。
「返信してくれ。"応じる気無し。緊急時用のアドレスを私的に使用するのは如何かと思う"で」
『了解した』
この後、適当に過ごした閃輝と咲夜はそのまま眠りに付いた。メールの返信を受けた千冬は人知れずショックを受けて凍り付いていた。
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