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エクリプス(機動戦士ガンダムSEED編 )

作者:cipher
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第25話 さだめの楔(前編)

Side マリュー・ラミアス

キサカ
「目下の情勢の最大の不安材料は、パナマだ。
ザフトに大規模作戦有りという噂のおかげで、カーペンタリアの動きは、かなり慌ただしい。」

ナタル
「どの程度まで分かっているのですか?」

キサカ
「さぁな。オーブも難しい立場にある。
情報は欲しいが、薮蛇はごめんでね。
だが、アラスカに向かおうという君等には、かえって好都合だろう。」

ノイマン
「万一追撃があったとしても、北回帰線を超えれば、すぐにアラスカの防空圏ですからね。
奴等もそこまでは、深追いしてこないでしょう。」

マリュー
「ここまで追ってきた例の部隊の動向は?」

キサカ
「一昨日から、オーブ近海に艦影はない。」

マリュー
「引き揚げたと?」

キサカ
「また外交筋では、かなりのやり取りがあったようだからな。そう思いたいところだが。」

ナタル
「アスハ前代表は当時、この艦とモビルスーツのことはご存知なかったという噂は、…本当ですか?」

マリュー
「バジルール中尉…ぁ…」

キサカ
「確かに、前代表の知らなかったことさ。
一部の閣僚が大西洋連邦の圧力に屈して、独断で行ったことだ。
モルゲンレーテとの癒着も発覚した。
オーブの陣営を明らかにするべき、と言う者達の言い分も分かるのだがな、そうして巻き込まれれば、火の粉を被るのは国民だ。
ヘリオポリスの様にな。」

ナタル
「ぁ…」

キサカ
「それだけはしたくないと、ウズミ様は無茶を承知で今も踏ん張っておられるのさ。
君等の目には、甘く見えるかもしれんがな。」

マリュー
「いえ…。」

キサカ
「点検の状況は?」

マリュー
「明日中には、と連絡を受けております。」

キサカ
「あと少しだな。頑張れよ。」

マリュー
「キサカ一佐!」

キサカ
「ん?」

マリュー
「本当にいろいろと、ありがとうございました。」

キサカ
「いや、こちらも助けてもらった。既に家族はないが、私はタッシルの生まれでね。」

マリュー、ノイマン、ナタル
「ぇ…」

キサカ
「一時の勝利に意味はない。とは分かってはいても、見てしまえば見過ごすことも出来なくてな。
暴れん坊の家出娘を、ようやく連れ帰ることも出来た。こちらこそ、礼を言うよ。」

Sideout



Side イザーク・ジュール

イザーク
「ったく、どういうつもりなんだか。」

ディアッカ
「マジだよねぇ。ほんとに補給まで受けちゃってさぁ。」

イザーク
「くっ!」


~~回想~~

アスラン
「足つきはオーブに居る。間違いない。出てくれば北上するはずだ。ここで網を張る。」

イザーク
「あ?おいちょっと待てよ!何を根拠に言ってる話だそりゃ。」

ニコル
「一度カーペンタリアに戻って、情報を洗い直した方がいいのではありませんか?確証がないのでしたら。」

アスラン
「いや、居るんだ。少なくてもアラスカに向かっている情報は入っていない。」

~~回想終了~~


イザーク
「ぅぅぅ…これでもうここに二日だ!違ってたら足つきはもう遙か彼方だぞ!」

ディアッカ
「ノシちゃう気なら手貸すよぉ?」

イザーク
「う!?」

ディアッカ
「どうする?クーデターやる?うっはっはっは。」

イザーク
「ふん!残念ながら、それほど単純な頭でもないんでね。くっ…」

Sideout



Side アスラン・ザラ


~~回想~~

キラ
「ぁ、昔…、友達に!」

アスラン
「…」

キラ
「大事な友達に貰った、大事な物なんだ…。」

アスラン
(だがお前はフェンスの向こう側だ)

カガリ
「何を今更!どう言おうがコロニーを攻撃したのは事実だろうが。」

アスラン
「…」

光輝
「キラ君はオーブで降ろす。
彼がどの様な選択をしようとな。
今度、会う時は戦場だ。生き延びろよ少年。」

~~回想終了~~


ニコル
「アスラーン!ハァハァハァ…。補給、終わったんですね。」

アスラン
「ああ。」

ニコル
「向こうのデッキから、飛び魚の群れが見えますよ。行きませんか?」

アスラン
「いや。」

ニコル
「あー、不安なんですか?」

アスラン
「え?」

ニコル
「大丈夫ですよ。僕はアスラン…じゃない、隊長を信じてます。」

アスラン
「ニコルはどうして軍に志願したんだ?」

ニコル
「え?」

アスラン
「あー、いやすまない。余計なことだな。」

ニコル
「いえ。戦わなきゃいけないな僕もって思ったんです。ユニウス7のニュースを見て。」

アスラン
「アスランは?」

ニコル
「…ニコルと同じだよ。」

Sideout



Side カガリ・ユラ・アスハ

ウズミ
「カガリ。」

カガリ
「ぁ…」

ウズミ
「あの(ふね)と共に行くつもりか?」

カガリ
「はい。」

ウズミ
「では、地球軍の兵としてプラントと戦うのか?お前はそれほどまでに戦いたいか。」

カガリ
「違います!戦いたいわけではない!」

ウズミ
「では、なんだ。」

カガリ
「彼らを助けたいのです!そして、早く終わらせたい!こんな戦争は!」

ウズミ
「お前が戦えば終わるのか?」

カガリ
「え!?」


~~回想~~

キラ
「でも…、戦っても終わらないよ…。戦争は。」

光輝
「ならどうやって勝ち負けを決める?敵である者を、全て滅ぼして!…かね?」

~~回想終了~~


カガリ
「しかし…」

ウズミ
「お前が誰かの夫を討てば、その妻はお前を恨むだろう。
お前が誰かの息子を討てば、その母はお前を憎むだろう。
そしてお前が誰かに討たれれば、私はそいつを憎むだろう。
こんな簡単な連鎖が何故解らん!」

カガリ
「解っています!しかし…、この国で自分だけのうのうと…」

ウズミ
「そんな安っぽい、独り善がりな正義感で何が出来るか!」

カガリ
「ぅ…」

ウズミ
「銃を執るばかりが戦いではない。戦争の根を学べ、カガリ。」

カガリ
「お父様…」

ウズミ
「討ち合っていては、何も終わらん。」

カガリ
「…」

Sideout



Side キラ・ヤマト

キラ
「僕はミスリルに入りたいです。」

キラ母
「キラ…」

キラ父
「一時の感情ではないんだな。」

キラ
「はい。」

光輝
「キラ君は悩んでいました。
両親がナチュラルで、自分はコーディネイター。
ザフト軍に幼年学校の友達もいました。
アークエンジェルの仲間も戦っている。
それに自分には能力がある。」

キラ両親
「…」

キラ
「自分達の手で平和を…、掴み取りたいんです。」

光輝
「キラ君はナチュラルとコーディネイターに偏見を持っていません。
きっとナチュラルとコーディネイターの架け橋になってくれるでしょう。
それにキラ君にはミスリルのバックアップがあります。
私はオーブ軍に入るより、ミスリルの方が良いと思っています。」

カガリ
「キラー!」

キラ
「あぁ、カガリ!どうして?」

カガリ
「お前の…御両親!ここに!
お前…どうして会って、あげないんだよ?
おい、キラ!…あっ?」

光輝
「早合点するなよ。」

カガリ
「えぇ?」

キラ
「今は…僕…ぅ…」

カガリ
「…。」

キラ
「カガリも元気で。その…いろいろありがと。」

カガリ
「ぁ…キラ!」

キラ
「うわ!」

キラ夫妻、ウズミ
「!!」

カガリ
「お前…死ぬなよ?」

キラ
「ん…大丈夫。もう大丈夫だから。」

Sideout



Side マリュー・ラミアス

パル
「オーブ軍より通達。周辺に艦影なし。発進は定刻通り。」

マリュー
「了解したと伝えて。」

クルー補充員B
「護衛艦が出てくれるんですか?」

トノムラ
「隠れ蓑になってくれようってんだろ?
艦数が多い方が特定しにくいし、データなら後でいくらでも誤魔化しが効くからな。」

Sideout



Side アスラン・ザラ

アスラン
「演習ですか?」

ザラ隊旗艦艦長
「スケジュールにはないがな。南東へ向かっている。艦の特定まだか!」

アスラン
「戦闘準備入ります。特定、急いで下さい。」

Sideout



Side マリュー・ラミアス

トノムラ
「間もなくオーブの経済水域の外です。」

チャンドラ二世
「周辺に敵影なし。」

マリュー
「警戒は厳に!艦隊離脱後、離水、最大戦速。」

クルー補充員C
「艦隊旗艦より入電。我是ヨリ帰投セリ。貴官ノ健闘ヲ祈ル。」

マリュー
「陽動を感謝する、と返信を。」

フラガ
「しかしやるね。オーブ艦隊を南東へ向かわせて、こちらは浮遊ドッグで北東へ脱出する。
戦場をこの離れ小島にするか。」

ナタル
「敵潜水艦は浅瀬に誘導されます。
敵はグゥルを使用して来ます。グゥルの弱点は真下です。
真下に入られると敵には攻撃オプションがありません。」

Sideout



Side アスラン・ザラ

ザラ隊旗艦オペレータ
「敵艦隊より、離脱艦あり。艦特定、足つきではありません!」

「「え?」」

ザラ隊旗艦オペレータ
「いえ、北東へ、離脱艦あり。艦特定、足つきです。」

ザラ隊旗艦艦長
「やられましたな、オーブ艦隊は陽動ですな。」

イザーク
「え?」

ディアッカ
「ひゅーー♪」

ニコル
「やられましたね、アスラン。」

アスラン
「出撃する!今日こそ足つきを落とすぞ!」

ザラ隊旗艦オペレータ
吃水(きっすい)確認よろし!ハッチ開放!進路クリア、射出始め!」

Sideout



Side マリュー・ラミアス

パル
「レーダーに反応!数3、いや4!」

マリュー、ナタル
「え?」

トノムラ
「機種特定、イージス、バスター、ブリッツ、デュエル!」

ナタル
「やはり潜んでいたか。」

マリュー
「んっ!
対船、対モビルスーツ戦闘用意!」

マリュー
「逃げ切れればいい。厳しいとは思うが、各員健闘を!」

ナタル
「ECM最大強度!スモークディスチャージャー投射!両舷、煙幕放出!」

Sideout



Side ムウ・ラ・フラガ

パイロット補充員A
「…ぅ…」

フラガ
「そう緊張するな。」

パイロット補充員A
「…ぁ!」

フラガ
「上空からアークエンジェルの護衛だけやればいい。」

パイロット補充員A
「ぁ…はい!」

フラガ
「行くぞ、落ちるなよ!」

クルー補充員D
『進路クリアー。スカイグラスパー、補充員A機、発進!』

パイロット補充員A
「うぅわぁ!」
(やっぱり、補充員Aのままなのか)

フラガ
「おっと!」

パイロット補充員A
「うぅわあぁ!」

フラガ
「よし、悪くないぞ!アークエンジェルの護衛、任せる!」

パイロット補充員A
「はい!」

Sideout



Side アスラン・ザラ

ディアッカ
「煙幕?」

イザーク
「チェッ、姑息な真似を!
2機?」

ザラ隊
「「うっ!」」
「「くっ!」」

アスラン
「散開!」

ニコル
「ストライクが真下の島に。」

アスラン
「くっ!足つきは陽動だ。島にストライクが待ち伏せていた。」

ディアッカ
「なぁ!」

イザーク
「くっ、ストライク!」

ニコル
「ストライクのPS装甲が!」

イザーク
「舐めやがって!」

アスラン
「落ち着け、イザーク。
敵の作戦だ!」

ニコル
「PS装甲をオフにすることで、エネルギーを攻撃に集中するつもりですね。」

ディアッカ
「小癪なマネを!」

イザーク
「くぉのぉ!!
うわー!」

アスラン
「イザーク、チィ!」

ニコル
「こいつ!」

アスラン
「ええい、うっ!」

Sideout



Side マリュー・ラミアス

トノムラ
「ストライクは灰色のままです。」

「「え?」」

ナタル
「バリアント、てぇ!」

マリュー
「コウキはさんは作戦通りにPS装甲を使わないつもりね。」

ナタル
「理にかなった作戦です。
同一機体4機を相手にPS装甲を使うと先にエネルギー切れになります。
アークエンジェルを囮に島に潜伏して、敵が直上を通る時を狙ってグゥルを攻撃すれば、
敵モビルスーツを足止めできます。」

マリュー
「それだけではないみたいね。
ストライクがグゥルを奪ったわ!」

ナタル
「ベクトルデータをナブコムにリンク!ノイマン少尉、操艦そのまま!」

ノイマン
「了解!」

クルー補充員B
「フラガ機、来ます!」

クルー補充員D
「ストライク、ソードへの換装、スタンバイです!」

フラガ
『プレゼントを落とすなよ!』

光輝
『ムー!いつでもいいぞ!』

Sideout



Side アスラン・ザラ

ニコル
「あいつ、空中で換装を?」

アスラン
「くぅぅ…」

ニコル
「へはぁぁぁ!」

Sideout

 
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