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Three Roses

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第二十一話 地位と力その四

「宰相、そして内外の大臣の席を」
「三つの大臣の席をですか」
「狙っているのですか」
「その様に」
「そうだ、そういえばだ」
 王はさらに言った。
「宰相も内外の大臣もな」
「どちらもですね」
「どの方もですね」
「ご高齢です」
「そろそろですね」
「引退だな」 
 その時期だというのだ。
「近いうちに」
「では」
「三つの大臣の席はですか」
「あの方々にお渡ししますか」
「そうしますか」
「その様に」
「それがいい」
 こう言ったのだった。
「ここはな」
「軍の大臣はオズワルド公になりました」
「あの方は旧教徒の諸侯の領袖です」
「それならば」
「軍は大きい」 
 その力はというのだ。
「武力はな」
「それだけで、ですね」
「大きな力で」
「権力にもなる」
「そうですね」
「そうだ、それでだ」
 さらに話した王だった。
「ここで旧教徒達がさらに大臣の座を得るとだ」
「宰相や内外の大臣」
「そうしたものまで手に入れれば」
「力が強くなり過ぎる」
「そうなりますね」
「この国の旧教徒達は法皇派ではない」
 このことも指摘した王だった。
「帝国派だ」
「太子の影響で」
「そうなっていますね」
「近頃は」
「法皇庁は非常に厄介だ」
 宗教的権威から富も権力も集めその集めたものをさらに使いより力を求めていく、法皇庁はそうした組織だ。
「その国の全てを奪いかねない」
「富も権限も」
「全てですね」
「だから旧教徒であっても法皇派はです」
「困ったことですが」
「まだ帝国派であるだけましか」
 こう言った法皇だった。
「程度の問題だが」
「帝国は法皇庁とは違い」
「何もかもを手に入れようとはしない」
「新教徒に対してもある程度の権利は認めますし」
「法皇庁は徹底的に弾圧しますが」
 旧教しかも法皇派しか認めない、つまり自分達の意のままになる者達しか認めず他者への弾圧に手段を選ばないのだ。だから異端審問も使うのだ。
「帝国はそこが違います」
「遥かにましです」
「柔軟に政治を行います」
「その国を婚姻で乗っ取ることはしますが」
「だから遥かにいいが」
 しかしと言う王だった。 
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