Ｔｈｒｅｅ　Ｒｏｓｅｓ

「その時とは逆にです」
「節制をしてですか」
「蓄えていました」
「国庫に還元してもですね」
「まだ多くのお金がありましたので」
「それで、ですか」
「宮廷の者達の心を掴みましょう」
　是非にというのだ。
「太子と同じやり方ですが」
「褒美、ですか」
「賄賂と言うべきかも知れませんが」
「賄賂ですか」
「はい」
　大司教は眉を再び眉を潜めたマリーにおくびもなく答えた。
「マリー様はお好きなやり方ではないですね」
「そうしたもので心を買う様なことは」
「そうですね、しかしです」
「有効な手ですね」
「そうです」
　まさにというのだ。
「だからです」
「私達もですか」
「使いそして」
「そのうえで」
「マリー様の支持を得ましょう」
　宮廷においてというのだ。
「これまで以上に」
「それでは」
「はい、その様に」
「わかりました」
　好きなやり方ではないがその有効さは頭の中で理解出来た、それでマリーも確かな声で頷いたのだった。
「それでは」
「そうして進めていきましょう」
「政治もです」
　今度はデューダー卿が言ってきた。
「これはこれまで通り」
「と、いいますと」
「国と民を念頭に置いた」
「そうした政治をですね」
「はい、常に王に提案されることです」　
　これまでマリーがしてきた様にというのだ。
「内外におけるそれを」
「進めていくのです」
「そうすればです」
「自然とですね」
「民からの支持もです」
　これもというのだ。
「得られます」
「民からの支持、それは」
「最も大きいものですね」
「その通りです」
　マリーはデューダー卿に答えた。
「まさに、ですから」
「民の為にも」
「そしてマリー様の為にも」
「この国と民のことを念頭にです」
　常にというのだ。
「置かれてです」
「政をしていくべきですね」
「そうです」
　こうマリーに言うのだった。
「そうされて下さい」
「私は私の為にはです」
　生真面目な表情になりだ、マリーはデューダー卿に顔を向けてそのうえで言葉をかけた。そこには毅然としたものがあった。
「政はしません」
「そうですね、ですが」
「このことはですか」
「はい、結果としてです」
「私を助けることにですか」
「なるのです」
「そうなのですか」
「善行、徳を積むことは人と国を助けるだけでなく」
　さらにというのだ。