Three Roses
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第二十一話 地位と力その一
第二十一話 地位と力
マリーはロドネイ公達に言われたままにだった、宰相と内と外合わせて三つの大臣の座を自分達が手に入れる為に動きだした。まずはだった。
宮廷に務めている官吏や女官達を味方につけることからはじめた、ここでロドネイ公はマリーに言った。
「まずはです」
「官吏、女官ですか」
「宮廷に務めている彼等を無視する諸侯もいますが」
身分が低いとみなしてだ。
「しかしです」
「宮廷に長い間働いている方も多く、ですね」
「この宮廷を知っていて」
それも実にというのだ。
「王の傍にもいます」
「だからこそですね」
「彼等の支持を今以上にです」
「得て」
「はい、他の宮中に出入りしている者達もです」
「全てですね」
「味方につけ」
そしてというのだ。
「それからです」
「宰相、そしてですね」
「内外の大臣の席をです」
「手に入れるのですね」
「太子は兵士の支持まで手に入れました」
軍の大臣の地位を彼等のものとする為にだ。
「それをです」
「私達もですね」
「踏襲してです」
「そのうえで」
「宮廷の支持を磐石にし」
そしてというのだ。
「やがて大臣が交代する時に」
「そこで、ですね」
「動けば」
「宮廷での支持が生きて」
「ことは簡単に進みます」
「だからこそ」
「まずは宮廷です」
官吏や女官、そして出入りしている者達全てだ。
「味方につけましょう」
「わかりました」
「そしてその際はです」
グラッドソン大司教もマリーに言ってきた、一同は今も宮廷の中にあるマリーの部屋において話をしている。
「お金はです」
「用意してあるのですか」
「はい」
こうマリーに答えたのだった。
「王宮の金庫番は我々の味方ですね」
「財務大臣も」
「あの方は新教徒です」
つまりマリーの下にいて彼女を支持する者だというのだ。
「ですから我々にもです」
「お金をですか」
「提供してくれます」
「そうですか、しかしそのお金は」
マリーは金があることを一旦はよしとした、だがすぐにこの話をしてくれた大司教に対してすぐに心配する顔を向けて問うた。
「国庫からのものではないですね」
「ご安心下さい、我等が密かに蓄えていた」
「そうしたものですか」
「こうした時に備えてです」
まさにというのだ。
「教会の予算を節約に節約し」
「持っていたものですか」
「はい、以前の教会は贅沢でした」
それこそ諸侯達に負けない程だ、教会特に大きな力を持つ司教達のそれは諸侯達に匹敵する贅を満喫していた。
それを嫌いその贅が出来るだけの権勢を抑える為にもだ、この国はあえて新教を選んだという一面もあるのだ。
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