役職?召喚魔術師ですがなにか?
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エイナ怒る~ペナルティは貴方のもとへ~
ソーマファミリアに戻ってきた俺は、早速ケビン君に声をかけられた。
「あ、タケルさんお帰りなさい。
さっきギルドから出頭伝達が届きましたよ」
家出を家出と思われないところが、寂しいが、呼び出されたのならば仕方がない。
ケビン君に了解を告げて、俺はギルドへと向かった。
「何か申し開きはありますか?」
待合室でまたされ、受け付け担当であるエイナ・チュールが来たと思ったらそう言われた。
何時もならば、適当に聞き流して対応するところだが、今回ばかりはするべきではない。
あの後、クイーンズ・ナイトから聞いたことだが、ベルっぽい少年が襲われていたと言うことだ。
足留めの際、直ぐに名前が出てこなかったことから、何処かで慢心していたのでは無いかと自問自答し、その節々に思い当たりがあったので、こうして落ち込んでいるのである。
自分の慢心が駆け出しの冒険者を危険にさらした。
いつの日か、ダンジョンを嘗めないと言った筈なのに。
「何が言いたいのか、分かってますよね?」
「ベルの件ですよね」
「ええ。一時間ほど前、ベル君が来ました。全身をミノタウロスの血で汚しながら」
何をしている…ベル坊。
「貴方が冒険者になってから、毎日と言うほどに警告をしてきました」
「…」
「その都度に聞き流してきた貴方は、今回の事についてどう思っていますか?」
わかっている。
こうして攻められるのも、俺の態度や対応が宜しくなかったことも原因とされているのだ。
「分かっているから言わないでほしい」。そんな言葉は言えそうにない。
「この度、ソーマファミリアの団長である貴方にペナルティを受けてもらうことが、ギルドで決定付けられました」
「どんなことでも受けるつもりです」
「今回のペナルティの内容は、『反省が伺えるまで、ダンジョンの探索』を禁止とすることです」
「了解しました」
そもそもの話、ダンジョンの探索は暫く控えるつもりだった。
不謹慎ではあるが、このペナルティの内容で良かったのかもしれない。
「いやに素直なんですね。
どんな冒険者も、軽減を求めるものですけど」
「それだけ自覚があると、そう思ってくれれば」
「貴方は本当に反省しているんですか!?
今まで散々警告してきたにも関わらず、駆け出しの子を危険にさらしたのよ!?
ただでさえベル君が貴方のいるホームで生活するって聞いて不安だったんです!貴方の行動はベル君の悪影響に他ならないんです!」
今まで溜め込んでいたのだろうか。
正直ベル坊を贔屓しているように聞こえているが、ギルド職員としては当たり前なのだろう。
それからはずっと、エイナの文句を聞いていた。
「と言うわけで、俺は明日からダンジョンに行けなくなった」
ホームへと帰ってきたのはかなり遅い時間だった。
過去からして異例とも言える説教時間に、リリ達が労いの言葉を掛けてきたことは、少し俺の疲労を軽くした。
「すみません。僕が襲われたばかりに…」
「ベル坊は悪くないさ。
そもそも足留めができなかった時点で決闘者失格だ」
何が世界一だろうか。
遊戯王を愛し、数々のカードを扱ってきたと言うのに、あの体たらく。
あの時は別に束縛に拘らなくても、他に方法はあった筈なのに。
「タケル君。その決闘者をボクは知らないけど、ベル君は無事だった。ボクにとってはこれだけで十分だよ」
ヘスティアがフォローしてくれる。
しかし今回の失態は、俺の心情をぶち壊す事と同じなのだ。
「ありがとなヘスティア。
でもベルを危険にさらした事に間違いはないんだ」
俺は立ち上がり、全員が見渡せるようにする。
「さっきも言ったように、俺はダンジョンに行けなくなった。
これを機会に、少しの間部屋に籠ろうと思っている」
「籠るって…何をするんですか?」
「俺は今回の事で自信が無くなった。
だから修行をしてくる」
修行の事を知っているソーマファミリアは納得する。
ヘスティアとベル坊は首をかしげているが。
「取り敢えずそんなところか。
部屋に来ても居ないだろうけど、書き置きしてくれれば見るから」
「…あまり抱え込まないでくださいね」
「リリ、それは無理ってもんだ。
決闘者として、この世界に生まれ落ちたからには、リスペクトや知識、希望を取り戻さなきゃならないんだ」
「それでもです。
私達は仲間であり家族です。
一昔前のソーマ様のようにはならないでくださいね」
「……分かってるさ」
リリは色々なところに気が回る。
こうして俺の心をケアしてくれるなんて所も、できる女と言うものじゃないだろうか。
そんなリリに、いつの間にか頼りきるようになったところも、慢心の原因かもしれない。
今度からはリリがやっている仕事を半分くらいは片付けるようにしよう。
「まて、最近は外にだって出掛けている。
部屋にこもってはいないぞ」
「まぁまぁソーマ様」
「がっはっは!精進も立派な冒険じゃて!
頑張れよ団長よぅ!」
やっぱり、ソーマファミリアは居心地がいい。
そんなことを思いながら、自室へと戻っていった。
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