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ユキアンのネタ倉庫 ハイスクールD×D

作者:ユキアン
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ハイスクールD×D 超闘士激伝




私はここではないどこかで生きていた記憶と思いがぼんやりと存在している。そこで私がどんなことを成し遂げたのか、何を思っていたのかは分からない。ただ、私は戦い続けていた。多くの異形の者と仲間達とともに戦い続けた記憶が。そしてなんのために戦っていたのかは分からないが、その思いが、私を突き動かす。強く、優しく、そして暖かくあろうと、私を突き動かす。私は、誰だ?





悪魔と天使と堕天使の戦争が始まり、戦地に近かった私の住む街に避難命令が出た。それは十分に間に合うはずの避難命令だったが、護衛として派遣された上級悪魔の方たちが多すぎたために、逆に標的にされてしまい、多くの天使たちが攻め込んできてしまった。避難を続ける中、段々と交戦する音が近づいてきている。市民である私達は戦うことを許されていない。だが、このままでは多くの者達が死んでしまう。その中に私を拾い、育ててくれた年老いた両親が混ざるかもしれない。ならば、私の命で皆が助かるのなら、それで構わない。

「父さん、母さん、すみません。拾っていただいた恩も返せずに死ぬかもしれない私をお許し下さい」

「後悔だけはないね」

「ここで戦わないほうが、後悔すると思っています」

「なら、貴方にできる精一杯をしなさい。私もお父さんも貴方を見守りましょう」

「ありがとうございます。行ってきます!!」

すべての魔力を心臓に集める。それによって凝縮された魔力が胸の中心に青く光る。血管を通し、全身を駆け巡る魔力で肉体を強化して飛び上がり、目の前に居た天使を最速で七回殴って吹き飛ばす。

「此処から先は一歩も通さん!!」

いつもより魔力の循環がスムーズに行われ、力がみなぎってくる。私の中に昔からある記憶と思いが力を貸してくれるように感じられる。そんな私の前に新たに3人の天使が現れる。遠巻きに光の槍を飛ばしてくる3人に腕を十字に構えて魔力を放出し、光の槍ごと3人を撃ち落とす。

それによって私を脅威だとかんじたのだろう。避難民を狙う者と私自身に襲いかかる。避難民を狙う光の槍を撃ち落とすのを優先し、傷が増えていく。だが、私はここで命を捨ててもいいという覚悟がある。致命傷を避け、時には片腕を犠牲にして避難民を守る。片腕しか使えなくなり、魔力の放出が安定せず、高火力で放つしかなくなった。魔力が大幅に減っていく。それでも構わない。一分でも一秒でも、少しでも長い時間を稼げるならそれでいい。







私が戦場にたどり着いた時、その光景に目を疑った。ぼろぼろになりながらもその背後に負傷した兵たちを庇い、10の上級天使と30の中級天使を相手に戦い続ける者が居た。驚くことにボロ布になった服装から判断すれば我々が守るべき市民が戦っているのだ。そして、また一人の上級天使の首を手刀で切り落とし、背後の負傷兵を狙おうとする5人の中級天使を拳撃を飛ばして一瞬で吹き飛ばす。中級天使の殆どは手傷を負い、上級天使はきれいな死体が幾つか見つけることが出来た。

彼はこの状況下においても冷静に、生きることを諦めていない。自分が倒れれば後ろにいる者が危険に晒されるから。彼を失う訳にはいかない。彼は多くの者の希望となれる存在だ。私は嫌っていたはずの自分の真の姿になってまで戦いを早期に終わらせた。

彼を改めて見ると、右手の傷が少ないだけで全身から血を流している。そして血とは別に、心臓の前辺りに明滅する赤い光の玉がある。そんな彼に問いかける。

「君は、死ぬのが怖くないのかい?」

「怖い。だけどそれ以上に、私の手の届く範囲で誰かが傷付く方が、辛い。私が手を差し伸べることで誰かを救えるのなら、傷付き倒れたとしても、後悔はない」

赤い光の玉が消え、彼の全身から力が抜けて落ちていく。私は急いで彼を抱きかかえ、両親が用意してくれた虎の子のフェニックスの涙を彼に与えた。私は自分の直感を信じる。彼こそが、この戦争に光明をもたらすと。彼の心が未来を作り出してくれると。現に、守られていた兵士たちの顔を見れば分かる。心底、彼に惚れたのだろう。フェニックスの涙で意識を失ったままとは言え完全に回復した姿を見ているのに、心配そうな顔をしたままだ。家柄でも力でもなく、その心で人を惹きつける。英雄と呼ばれるような存在になるだろう。そんな彼の行く末が見てみたい。






そして彼は英雄の道を歩み始めた。更なる力を得るために過酷な修行を行い、戦場では負けを知らず、民のために身を粉にして救助や復興に手を貸し、その心に惹かれて共に戦う者達も増え、彼に恋する者も現れる。それと同時に、拳を交わし、互いを理解してライバル関係になる者や、成果を疎み、排除しようとする者も現れる。様々な者達との出会いが彼を強くし磨き上げていく。

その結果、彼は悪魔の陣営から離脱、第4勢力を立ち上げ、どの陣営からも離反者が続出して彼の第4勢力に参加した。規模としては小さなものだが、戦力で言えば引けを取っていない。最上級戦力の離反者がどの陣営からも出ているのだ。活動範囲自体は狭くともそれが逆に少数精鋭を最大限に発揮させる。彼らはどの戦場にでも現れ、訴える。このまま戦いを続ければすべての種族が滅びると。自分たちのように3陣営は手を取り合うことも出来るんだから、停戦でも休戦でも出来るはず、陣営としての屋台骨が折れる前に戦争を止めるんだと訴え、できるだけ殺さないように全ての陣営と戦った。

彼らが現れた戦場は誰も勝者がいない。彼ら以外の陣営は負傷者多数で撤退、彼ら自身は戦争を止めることが出来ていない。それが続き、完全な膠着状態と負傷者の多さに自然と休戦状態になっていた。そして士気の関係上、これが最後になるであろう戦いに第5勢力が現れる。

赤龍帝と白龍皇の2頭の龍の乱入により、各陣営に多大な被害が出た。各陣営が最上級戦力のみを残して撤退する。そして彼一人が赤龍帝の相手をして時間を稼ぎ、残りの者で白龍皇を仕留めることになった。戦況は僅かに私達が押していた。彼は赤龍帝を完全に抑えてくれて、私達はなんとか白龍皇にダメージを負わせられていた。だが、突如彼を除いて私達は転移させられてしまった。彼を殺すために、戦争を続けようとしていた者達が種族を超えて結託したのだ。

彼の言うとおり、種族の違いなどちっぽけなものだった。それが悪い方向に働いた。セラフォルーが怒りに任せて私達を転移させた者達を殲滅し、急いで戦場に戻る。そして、私達は見た。彼に初めた会った時以上に目を疑う光景を、いや、奇跡を。冥界の夜の闇を晴らすほどの光でありながら暖かく包み込むような優しい黄金の輝きを。まるで彼の心その物のように感じられる光を放つ彼が二天龍と互角に戦っている光景を。そして、遂には二天龍を、彼が放つ最大の光波熱線が飲み込み、再び闇が訪れる。

時間にして3分ほどであろう奇跡を起こした彼を迎えに向かった私達を待っていたのは、立ったまま、光波熱線を放った体勢のままで息絶えた彼の亡骸だった。この日、3陣営の中で最も未来を憂いていた英雄が永遠の眠りについた。

英雄の名はシン。彼は一切家名を名乗らなかった。ただ一人の悪魔として護りたい者のために戦い抜いた闘士。私達が彼を忘れることはないだろう。









私は人間として再び生を得た。シンとして生きていた頃の記憶はすべて残っている。だが、私が生きていた時代から時間が経ちすぎていた。父さんも母さんも生きてはいないだろう。私に付いて来てくれた者達がどうなったのかは気になるが、今の私には調べる勇気がない。全てを押し付けてしまった私に、彼らに顔を合わせる資格などない。それなのに身体を鍛えているのは何故だろう。もう全てが終わってしまったことなのに、あの時の最後の力を使いこなそうとしているのは何故?疑問に思い続ける日々が続き、私は再び出会った。私の半生を変えた、紅色の髪を持つ者と。

リアス・グレモリー

私の半生を変える力となってくれたサーゼクス・グレモリーの身内だろう。懐かしい感じの魔力に涙腺が緩みそうになる。他にもセラフォルーの身内と思われる支取蒼那にも出会った。セラフォルーとは性格なんかは似ていないが、心根はそっくりだ。

二人に出会って分かった。私が再び生を得た理由が。私の力が必要になる時が来るのだと。時間がどれだけ残されているかはわからない。だが、出来る限りのことはしよう。それが私だからだ。










私がこれほど驚いたのはあの奇跡以来の事だろう。最近、リアスお嬢様が気にしておられる殿方がいると眷属の方から話があったのでどのような方なのかを遠目から見に行ったのだが、その方があまりにもあの人に似ていることに。

シン

サーゼクスが戦時中に市井の中から見つけ出し、色々と便宜を図り、最後には英雄として祀られるまでの功績を立てた奇跡そのもの。その逞しい姿に魅了されたものは多い。それは男女の仲だけではない。戦友、師弟、好敵手、色々な関係であの人に魅了された。私は戦友として、サーゼクスは親友として、セラフォルー様とガブリエル様は男女として、アザゼル様は理解者として、コカビエル様は好敵手として。多くの者があの人に魅了され、嫉妬を覚えるものも多かった。

お嬢様やソーナ様は気づいておられないようですが、戦時中に激戦区に居て生き残った者なら誰でも気づくはずです。なにせ、生き写しの姿をしておられるのですから。思わず逃げてしまい、それから冷静になって考える。単にそっくりなだけであろうと、そう思っていた。だけど、眷属の方たちからの話を聞く限り、ますますあの人だと思ってしまう。まるであの人が蘇ったように。私はこのことをサーゼクスに相談した。そして、一計を案じてくれた。

「ライザー君を利用しよう。リアスの婚約を速めさせて、件の彼をリアスに巻き込ませるんだ。おそらくだが、リアスは処女を失って婚約を破棄させようとするはず。その場に踏み込めば、見極めることが出来るはずだ」

「よろしいのですか?」

「また、彼の力が必要になるかもしれない。第4勢力として戦っていた君なら分かるだろう?不満が溜まっているだけじゃない。少しずつだが融和を考えている彼らが処理されているんだ。それに他にも裏で色々暗躍している者達がいる。私達は権力を得たが、フットワークが重すぎる。フットワークが軽く、信頼できて、力のある者が必要なんだ」

「それを彼に?」

「彼なら進んでやってくれると信じているさ」

「そうですね。あの人ならそうでしょう」

「ああ、そういえば件の彼の名前は?」

「早田進一郎です。普通の一般家庭の優秀な方ですね。そこもあの人と似ている所です」








「随分と遠回りなことをしたのだな、サーゼクス」

正体を明かしていないリアスがいきなり転移で現れた時は驚いたが、その後にグレイフィアが現れたことで大体を理解し、第4勢力内の暗号で確認を取ればサーゼクスが会いたいと告げてきた。恨み言などを言われるのかと思ったが、快く私を迎えてくれた。

「本当にシンなんだね」

「今の私は早田進一郎だ。シンではないよ。だが、シンではあった」

「また会えて嬉しいよ、友よ」

「まだ私の事を友と呼んでくれるのか」

「ああ、君はいつだって誰かのために戦っていた。そんな君を最前線、激戦区に送るしかなかったことにいつも苦しんでいた。君が第4勢力を立ち上げたと聞いた当初は、嫌気が差したのではないかと思った。だけど、君は出会った当初と変わらず、ただ大きくなっただけだった。そんな君のことを私は羨ましく、そして誇らしく思うよ。何故、我々に接触してくれなかったのかだけが疑問だがね」

「私は、怯えていたのだよ。事を起こしたにも関わらず道半ばで倒れて、残りを押し付けてしまった。皆恨んでいるのでは、そう思うと何も考えられなくなった。それでも、私は身体を鍛え続けた。そして私が再び生を得た理由を見つけた。私のこの力が必要なときが来るのだと。その時が来たのだな?」

「たぶん、近い。君がいない間に起こったことと現状を説明しよう」

そうして要約しても長い説明を2時間ほど受けた。

「そうか。私の所為で多くの者が苦しんでいるのか」

「君だけの所為ではない。私達もあまり有効な策を打てていないのが現状なんだ。だけど、ようやく最後のピースが揃うかもしれない。君の力を貸してほしい」

「私の返事はあの時と一緒だ。戦いの先に皆が平和に暮らせる世界があるのなら、私の全てを捧げよう」










「君がライザーかい?」

「なんだ、貴様は?」

「詳しくはグレイフィアに聞くと良い。私は顔合わせに来ただけだ」

「貴様!!たかが人間風情がグレイフィア殿を呼び捨てになど!!」

「別に構いませんわ。私とは友人ですから」

「「へ?」」

「古い友人だ。無論、サーゼクスともだ。気安く付き合える友人だ」

私達の答えに全員が驚いて混乱している。

「いつの間に?いえ、それどころか私達が悪魔だということも知っていたの!?」

「その髪とグレモリーの名で知っていた」

「そ、そんな前から」

「そういうことだ。悪魔の事情にも精通している」

「くっ、それで貴様と顔合わせの意味がわからんのだが!!」

「落ち着いてください、ライザー様。それを今から説明いたしますので」

立ち上がっていたライザーがソファーに座りなおす。あまりシュラウド殿に似ていないな。あの方は常に礼儀正しかったのだが。いや、酔っている時はグダグダだったな。

「リアスお嬢様とライザー様とのご婚約ですが、この度白紙撤回になりました」

「「はい?」」

「この件はグレモリー家、フェニックス家、両家合意の元でご破断となりました」

「な、何故そのような事がオレに伝わっていないのですか!?いえ、それどころか何故!?」

「それだけ日頃の態度が悪かったということでしょう。ですが、サーゼクス様が最後のチャンスを与えるとのことです」

「1週間後にレーティングゲームのルールで私を倒せれば再び婚約者に戻すということだ」

それを聞いてライザーは厭らしい笑みを浮かべる。再びこのような笑みを見る羽目になるとは、これも罰の一つなのだろう。

「はっ、たかが人間ごときを相手にして勝てばいいとは。サーゼクス様はオレとリアスを結婚させたいようだな」

そう言って笑いながらライザーが転移するのを見送る。それと同時にリアスがグレイフィアに食って掛かる。

「グレイフィア、こんなの酷すぎるわ!!彼を殺そうというの!!」

「私はサーゼクス様からの決定をお伝えしているだけに過ぎません。それに」

「それに?」

「彼が負ける姿を想像できませんから」

「えっ?」

「進一郎様、例の場所ですが準備のほうが整いました。ご案内してもよろしいでしょうか」

「頼む。家族にはある程度の事情は話してあるが再度の説明を頼む」

「分かりました。それではご案内させていただきます」

グレイフィアに転移で連れて行ってもらったのは、かつてサーゼクスに紹介された修行場だ。高温高圧高重力というおよそ生物が住めない環境で周囲は冥界一の硬度を誇る鉱石で覆われている。今ではかつての英雄が修行をした聖地として扱われて多くの者が利用しているのだが、無理を言って1週間貸し切ってもらったのだ。

「では、試合開始12時間前にお迎えに上がります」












もうすぐ私の婚約を賭けたレーティングゲームが始まる。だと言うのに、私はそれに参加することが出来ない。ただ、見ていることしか出来ない。それにしても朱乃や小猫や祐斗がどこか落ち着かないでいる。何かあったのだろうか。

「あの、部長、なんか、周りの人がそわそわしてませんか?」

最近眷属にした赤龍帝を宿す一誠がそう耳打ちしてくる。言われてみれば確かにそわそわしている。それに魔王様が皆揃っているのも異常だ。他にもグレモリー家にもフェニックス家にも縁が遠いような家の者までいることに気づく。一体何があるのだろうか?そう思っていると、更に異常なことが発生する。

「最後の招待客の方が到着しました」

グレイフィアがそう告げて、観客席に入ってきたのは熾天使のガブリエルとメタトロン、神の子を見張るもの(グリゴリ)のアザゼルとバラキエルだった。何故彼らが此処に招待され、しかも受け入れられているのかが分からない。

「何が起きているのか分かっていないようだね、リアス」

「お兄様、これは一体?なぜ、熾天使やグリゴリのトップたちが?」

「此処にいる皆はね、確認にやってきたんだ」

「確認?」

「大戦後の安定期から待ち望んでいた最後のピースをね」

「何をおっしゃられているのですか?」

「此処にいるほとんどはね、歴史の教科書には乗っていない大戦期の第4勢力の者たちなんだ。彼らは、ある一人の悪魔が先導し、共に駆け抜けたんだ。未来へ希望を残すためにね」

「第4勢力?それに希望?」

「その悪魔はね、いつも誰かのために、守るために戦っていた。グレモリーは慈愛の家系だと言われているが、彼に比べればちっぽけなものだ。彼の慈愛は身内どころか敵にさえ、違うな、彼にとって敵なんてものはほとんどいないのだろうね」

「敵がいない」

「彼はいつでも真っ直ぐで、とても強く、優しく、暖かかった。それに魅了されて、彼と共に種族の衰退・破滅を憂いた者達が各陣営から離反して立ち上がったのが第4勢力なんだ。今回は代表としてあの4人が来ているが、数はともかく質は他の3陣営と引けを取らない勢力だったね。歴史の教科書に乗っている終盤の硬直状態は彼らが戦場をかき乱した結果さ」

「それはわかりましたが、何故そんな方々が今日、此処に集まるのですか?」

「彼らの先頭に立っていた悪魔はね、皆が知っている。だけど、最後は二天龍を倒すために全ての力を使い切り、この世を去った。そんな彼がね、時を越えて、種族を超えて、現代に蘇っていたんだ」

「まさか」

「リアスも知っている超闘士シン。彼は早田進一郎として、再び舞い戻ってきたんだ」

その言葉と共に、ゲーム会場に進一郎が現れ、観客の方々が驚きの声を上げ、うり二つという言葉があちこちから聞こえる。そしてゲームが始まる。

進一郎が圧倒的な強さを見せつけてライザーを一方的に叩き潰す。一撃にしか見えないけど、ライザーが炎となって散る姿から連撃であると判断できる打撃に、凄まじい勢いで地面に叩きつけクレーターが出来る投技、ライザーが一切捉えることのできない速度、一撃一撃が強力な攻撃魔法。いつも柔らかい笑みを浮かべている進一郎初めて見る真剣な表情に顔が熱くなる。

「全盛期には程遠いな。6割強から7割って所か?どう思うよ、サーゼクス」

「アザゼルか。それは仕方のないことだと思うよ。彼は今まで人間界で人知れず体を鍛えていたそうだからね。土台も人間だし、修行環境も恵まれたものではない。それが1週間で此処まで鍛え上げ直したんだ。すぐにでも全盛期を取り戻すはずだ」

「いえ、既に全盛期を超える力を身に着けておられです。今、合図がありましたので声を中継します」

ライザーが再生に時間が掛かる中、トドメの攻撃魔法が放たれ、ライザーが会場から退場する。それから進一郎が語りかける。

『皆にはすまないことをしたと思っている。道半ばで倒れ、全てを押し付けてしまったことを。そして、今まで皆に私の事を知らせなかったことを。私は皆に会う勇気がなかった。重荷を渡してしまった皆に恨みをぶつけられるかもしれないと。そのはずなのに、私は体を鍛えてきた。何のためにか分からずに。だがサーゼクスに再会し、皆がまだ私を必要としてくれていると知った。一度は全てを放り出し、逃げてしまった私を、まだ必要してくれるだろうか?』

その問に会場から待っていたや、お帰りなどの声が上がる。こちらの声を届けていたのか、進一郎が頭を下げる。

『ならば、私は再び立ち上がろう。皆が平和に暮らせる世界を照らすために!!この力を、皆に貸そう!!』

そしてお兄様に小さい頃から教えてもらっていた奇跡の光を見た。冥界の夜の闇を晴らすほどの光でありながら暖かく包み込むような優しい黄金の輝きを。これが伝説の英雄、超闘士の輝き。
 
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