ウルトラマンゼロ ~絆と零の使い魔~
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闇-ダークネス-part1/始まりの記憶
黒部ダムの底に存在する基地、フォートレスフリーダム。
後輩であるシュウとは、1年前…憐がバイトをしている遊園地で彼もまた働いているところで知り合った。
彼がナイトレイダーAユニットに配属されたときは驚いたが、それ以上に端正なその顔には深い闇が立ちこめ、それを孤門と同じように気にしたのか副隊長である凪が率先して彼の監督を務めるようになった。
シュウは誰にも自分の昔のことを明かさなかった。しかし彼の心に残り続けている何かを払い、彼を助けたいと思った孤門は、
彼の過去のことについて調べ始めた。
以前、憐の事を調べた際に彼の顔を一瞬だけ顔写真で見たことがあったので、憐の誕生に深いかかわりのある『プロメテウス・プロジェクト』のサイトをもう一度閲覧し、今度はシュウのことについて調べることにした。
そんな時、いつものように立体映像としてイラストレーターこと吉良沢優が孤門の前に現れる。
これまで組織内で孤門が成してきた事で彼を高く評価していた吉良沢は、孤門にシュウのことを明かし始めた。
「そんな…」
孤門は吉良沢の口からシュウの過去を聞いて唖然とした。大切な人を失ったばかりなのに、戦いに駆り立てられていたという話を聞いて、孤門は納得しがたい思いに駆られた。
「寧ろ、彼はナイトレイダーに入れるべきではないと考えるべきじゃないんですか!?今まで散々苦しい目にあってきたのに…大切な人を失った矢先で、また戦いに借り出すなんて!」
孤門の今の反応は、吉良沢には予想通りであった。とはいえ、冷酷さに完全に徹し切れない彼自身も
「君の言いたいことはわかるよ。
だけど、孤門隊員。そうも言ってられない理由が、彼にはあるんだ」
「なんですか…その理由って?」
「それは……」
吉良沢は、言いかけて一度、言うのを躊躇って言葉を途切れさせた。
「イラストレーター?」
「…孤門隊員。これから言うことは紛れも無い真実だ。でも、憐のときと同じように、君に彼を思う気持ちがあるのなら、目を背けないで聞いてほしい」
吉良沢から聞かされた真実。それは…孤門の耳を実に疑うものと鳴った。
「なんだって……シュウが……!?」
それは孤門にとってあまりにも衝撃的過ぎる事実だった。
それも、『最悪級』の真実だった。
「…う……」
シュウは、目を覚ました。頭がボーっとする。いつぞやのような感覚だ。
目覚めた彼の鼻についたのは、鉄のような臭いだった。ボヤけていた視界がはっきり見えたとき、彼は反射的に顔を上げた。
「これは…!?」
周りに見えたのは、死体。黒い鎧…アルビオン兵たちの死体の山だった。何かの戦いでも起こったのか、ひどくボロボロの有様だ。
何が起こったんだ?ティファニアたちは無事なのか?俺は確か、ロサイスでまた現れたあの男が……
「…!」
意識を失う直前の出来事を思い出し、シュウの中に猛烈な吐き気がこみ上げ、思わず口元を押さえる。なんとか戻さずに済ませ、ようやく口をあけると、荒々しくなった息を吐く。
改めて周りを見渡すと、黒い鎧の兵士たち…アルビオンの兵たちがあちこちに、四肢を切断されている状態で転がっているのがわかる。
その光景は…彼の記憶にある、ある一幕を瞬時に思い出させた。
人が人を撃ち殺す、それが当たり前の戦場の光景…。それがたとえ女子供であろうと、容赦なく死んでいく…。自分の心に刻まれた影の一部を思い出し、シュウはギリっと唇をかみ締める。
「シュウ…」
ふと、自分の名を呼ぶ声が聞こえる。それを聞いてシュウは警戒心を高める。まさか、メンヌヴィル…メフィストがここにいるのか?だが、今シュウの名前を読んでいたのはメフィストではない。声にあの男のような邪悪さが微塵も感じられなかったのだ。視線を声の方に傾け、シュウは声の主の正体を確かめた。
「…ッ!アスカ…!」
つい最近まで自分も存在を知らなかった、異次元のウルトラマン=ダイナことアスカ・シンだった。
「よぉ…!」
シュウはすぐに、死体の山のすぐそばに倒れているアスカを見つけ、駆け付ける。
「何があった?」
さっきまで意識がなかったシュウは、ここで何が起きたのかわからない。しかもアスカも酷い傷を負っていた。
「…?お前…まさか…」
逆に、シュウから尋ねられたアスカは、シュウの言動に耳を疑った素振りを見せた。
「ん?俺の顔に何かついてるのか?」
「い、いや…なんでもねぇ」
一体アスカは何を聞こうとしていたのだろうか。シュウは首を傾げるばかりだ。
「それより、ここを離れようぜ。何せここは敵地だからな。っ…!」
立ち上がるアスカだが、体に走る激痛でまた崩れかける。床にダウンする前に、シュウが抱き止めてそれを防ぐ。
「大丈夫か?それに…敵地?」
「簡単に言えば、ここはアルビオンのどっかにある、お前とティファニアを狙ってきた連中の秘密基地だ」
「なに?」
シュウは大きなリアクションは示さなかったが、驚きを露にした。ここがアルビオン?まさか、ロサイスでの戦いのあと、俺は…
「詳しい話は逃げる途中においおい説明する。それよか早くここを出るぞ。これだけ回り酷い有り様なんだ。連中も気づいてるはずだ」
シュウはこの場で何が起きたのか、まだ事態が呑み込めていないが、少すくなくとも少なくとこんな場所で長く留まれるはずがない。シュウはなぜか傷ついているアスカに肩を貸して立ち上がらせる。
「シュウ、ここはアルビオンだ。彼らの鎧を借りて成り済ました方が良いと思うぜ」
その考えに、シュウも悪いものではないと思った。死体漁りのようで気が引けるが、自分の格好は地球のもので、異世界であるここだと目立つ。アスカもよく見るとアルビオン兵の鎧を、元の服の上から着込んでいた。死臭がきついが、シュウも言われた通り適当に近くに倒れていたアルビオン兵の鎧を着込み、アスカを連れてすぐにこの場を離れ始めた。
「む…」
闘技場を出て廊下に入り、二人はしばらく歩くと、向こうから他のアルビオン兵たちがやって来るのが目に入った。やはり自分たちやって来た方角にある地下闘技場で異常が発生したことを聞きつけたのだろう。
「貴様ら、なにがあった!?」
部隊長らしき男が、顔まで兵士に化けたシュウとアスカに、何が起きたのか、状況報告を促してきた。
「え、えっと…」
見つかってもすぐに侵入者であることを悟られないようにこの鎧を着たのだが、見つかった際の良いわけを思い付けなかった。何とか誤魔化さないといけない。アスカが必死にネタを考え始めると、アスカが思い付く前に横からシュウが部隊長に向けて口を開いた。
「この先のエリアに怪獣が出現しました。我々は何とか応援を呼ぶよう、仲間たちのお陰で離脱できましたが…被害は甚大です!」
「なに!?く…すぐに向かうぞ!そこの貴様は彼らを衛生兵のもとに連れていけ」
「「はっ!」」
シュウの話を鵜呑みにして、部隊長はシュウたちのために部下を一人残し、他の部下を引き連れてシュウたちがやって来た方角の闘技場へ向かっていった。
「二人とも、こっちだ」
残った兵士が、シュウたちを連れて、彼らの進行先である反対側へ向かう。着いていく中、顔を覆う兜の下から、アスカの視線を感じた。大丈夫なのか?このまま行っても、そう言いたげにシュウを見る。勿論シュウもその事を考えている。このまま素直に着いて行ってもここから出られない。
「すいません、ここから出口まではどのくらいの距離ですか?」
「出口?ここの最上階が地上への入り口だろ?なんで聞くんだ?」
「まだこの辺りの仕事にはまだ慣れていません…」
と、ここまで言いかけたところで、シュウアスカにと視線を合わせ、小さく頷いた。手が既に、握り拳を作っているのを見て、アスカもシュウの意図を読む。
「ので!」
シュウがその声で言葉を切ると同時に、二人はアルビオン兵の腹と首筋を同時に攻撃した。
「うぐ…!?」
突然急所を殴られ、アルビオン兵は倒れて気絶した。ドサッと倒れたその兵士を見て、アスカはどことなく罪悪感を覚える。
「な…なんか俺たち、実はものすごい悪者に見えるんじゃないか?」
「こうでもしないと、俺たちは脱出できない。それに……」
しかしシュウは淡々と答える。無情にも取れる言い回しだが、間違ったことはいっていないのでアスカはそれを否定しきれない。ふと、最後のあたりでシュウは一度言葉を切った。
「それに…?」
その一言の後に続く言葉に、アスカは耳を傾けた。シュウはアスカから視線を背け、ただ一言呟く。
「少なくとも、俺は善人じゃない」
「……?」
善人じゃない?顔を見ないでそう告げたシュウに、アスカは疑問を抱いた。ならば自分のことを悪党だとでも彼は言うのか?そんな奴が、ウルトラマンになどなれるはずがないじゃないか。
どういうことかと聞こうとしたアスカだがその前に、シュウはすでに動き出したため、聞きそびれてしまった。
二人はとにかく走り続けた。出口は、地上のほうにあると言っていた。階段や金網で覆われたリフトを使って、彼らは地上にある出口へと向かっていく。
変身して一気に脱出する、という手を二人は選ばなかった。なぜならここにはシェフィールドやクロムウェルの指示の元、数多の怪獣たちが保有されている。迂闊に変身したら確実に見つかり、強敵たちを一気に差し向けられることが考えられた。必ず脱出できると確信できる時が来るまで、二人は変身を控えることにした。
二人はとにかく出口を目指し続ける。
「おい、ちょっと待て!」
しかし、走り続ける中、二人は別の兵に引き止められてしまう。引き留めたのは五名ほどの兵士だ。
一刻も早く去りたかったが、このまま走り去ってしまっては怪しまれるだけなのでやむ無く振り向いた。
「お前たち、今からどこへ急いでいる?」
「彼の治癒のために医務室へ…」
アスカの、甲冑に包まれた顔を見ながらシュウは説明したが、遮るように別の兵が言った。
「そんなことなら、現場で水のメイジに頼めばよかろう。今、地下の闘技施設で怪獣が暴れたという報告があったのだ。その調査に、このエリアで勤務している兵全てには緊急出動が命じられたのだぞ」
さっきの部隊長たち以外にも、すでに動きがあったのか。
「貴様ら、もしや我が軍の者ではないな?」
「そ、そんなことないっすよ。俺たちは…」
アスカが焦って誤魔化しの言葉を言おうとするが…手遅れだった。
「捕まえろ!賊だ!」
一兵士の叫びと共に、兵士たちが二人に襲いかかってきた。
「ちっ、どうやらバレたみたいだな」
敵兵士の鎧を、顔が見えない兜も着ているから、すぐにはバレないはずだと思っていた。二人は当然ながら逃亡を開始した。
だがその道中、隔壁が通路の天井から降りる場面に出くわした。
「天井が!」
しかも地球にある防衛軍基地のようなハイテクさが伺える。すると、後ろからアルビオンの兵士たちが集まって来ていた。
「待て!逃がさんぞ!」
追跡兵たちは二人に向けて詠唱を開始する。
「仕方ない!」
魔法を放たれると厄介だ。幸い詠唱には少しタイムラグがある。詠唱の隙を突き、シュウはブラストショットとディバイドシューターを、アスカはガッツブラスターを取り出し、追跡兵たちの足元の床を撃った。
「うわああ!?」
いきなり光線銃で足元を撃たれ、アルビオン兵たちは驚いて足を止めてしまった。
今だ!二人は直ちに兵たちを振り切って走り出した。
だが、しばらく走り抜けると、兵の数がさらに増えていたのが確認された。二人は壁の影から、「見つかったか!?」「いや、まだだ!」などの声を繰り返すアルビオン兵たちの動動きを覗き見る。
「出口までまだ距距離があるってのに…回り道するしかねえな」
「やむを得んか…」
アスカの提案にシュウも乗った。
二人は兵との接触率か低そうなルートを探りながら逃避行を続けた。
しばらくして、二人は見逃せない場所へたどり着く。
アスカもここまでたどり着くまで通った、怪獣格納庫だった。
「ビーストが、こんなに大量に…?」
ナイトレイダーとして、いや、ネクサスワールドの人間であるが故に、思わず怪獣をビーストとひとくくりにして言いながら、シュウは鉄の釣り床の下にいくつも安置されている怪獣を収納しているシリンダーを見下ろす。
こんなに大量のものを…もしこんなのが外の世界にばら撒かれたりしたら…。
「これは…」
もう一つ、妙に怪しい物体がシリンダーの中に閉じ込められているのを見つける。
これは、繭か?
それも大きな繭だ。中から生物の鼓動を感じる。
ただの繭とは思えなかった。以前にも感じたことがあるが、何かが違う。なんと表現すべきか、自分が覚えがあるものに比べ妙に大きくなっているような…嫌な感じがしてならなかった。
「アスカ、これは…」
「く…!」
アスカに尋ねようとしたその途端、アスカは突然床の上に倒れてしまった。
「アスカ!?」
シュウはすぐに彼の元に駆け寄った。酷い状態だった。いつ負ったかわからないが、彼の体の傷が広がっていて、奪い取った鎧や、元から来ていたスーパーGUTS隊員服の下から少し血がにじみ始めている。
「へへ、自分でも不死身だって思ってるし、さっきまでそれなりに持ってたけどよ…やっぱキツイぜ」
額の脂汗を滴らせ、乾いた笑みを浮かべるアスカだが、容態が悪化していることに変わりない。
「くそ…」
シュウは歯噛みする。おそらくここまで来る間にボロボロになるまで無理をしてでも自分を助けに来てくれたのだ。それはありがたい…が…
(また、俺のせいで…!)
それ以上に、自分の存在が原因でアスカに迷惑をかけてしまっていたという事実の方が、シュウに重くのしかかった。
「なんて顔してんだよ…確かに、お前の責任かも知れないけどよ、だからってそこまで思いつめたら余計に悪いことが起こるぞ」
アスカはそんなシュウの顔を見て、さっきと変わらぬ笑みを見せる。
「お前はさ、責任を感じすぎてる上に、一人で背負い込みすぎなんだよ。お前のそばには、いるだろ。お前の安らぎをくれる人が」
その『安らぎをくれる人』という指摘に、それがいったい誰なのかすぐに思いつく。屋敷の中、森の中…外の世界を知らずに生きてきたがゆえに、誰よりも清く純粋で、優しい心を持ったハーフエルフの少女。彼女と過ごす時間は…。
今は亡き、自分がかつて大切に思っていた少女を思い出させた。
「…そいつまで傷ついた果てに死んだりしたら、それこそ世話がないだろ」
彼女は…ティファニアは太陽のように眩しい存在に見えた。けど、だからこそ自分の心の影が浮き彫りになるのを覚える。
その影が、彼女たちの平穏まで乱してしまった…。本当なら、あの森で静かに、これといった災いとも無縁のまま生きていくことができたはずなのに…。
表情と目つきを険しくしながら、アスカはシュウの背中を睨む。
「お前、何をそんなに思いつめてんだよ。無謀なことを平気でしでかすみたいだし、自分のことも卑下しまくりで…」
「……」
「何とか答えろよ。
嫌なことは確かに口にしたくないもんだろうし、俺だってお前がそこまで嫌がるなら無理に聞く気もねえ…って言いたいけどよ、そんなに内に溜め込んじまったら、どうにかしてやりたくなるぞ」
「余計なお世話だ」
「余計なお世話ってお前な…」
「もういい…!…俺のことは放っておいてくれ…!」
遂に声を荒げ、アスカの言葉を拒絶した。だがアスカは引き下がらない。むしろシュウの喚き声を浴びてかえって火がついた。
「ほっとけるかよ!なんでだよ…なんでそんなに他人を拒否するんだ!お前を心配する人がいるのに、どうしてその人たちの声から耳を背けるんだ…?」
傷の痛みなどものともしなくなり、アスカもシュウに向けて怒鳴り散らす。確かに人は後ろめたいことがあると、口をつぐみたくなることがある。
だがシュウのようにとことん自らを追い詰める人がいるとしたら、もう愛想が尽きて捨て置くか、とことん首を突っ込むしか進展しないだろう。アスカか選んだのは、後者だった。
「お前には…夢とか希望とかねぇのか!?」
「……ない」
「嘘だ。お前はまだ若いじゃねぇか。夢の一つや二つ、抱いたことくらいあるだろ?」
「持っていない」
「ッ……!!
じゃあ、お前は何でウルトラマンをやってるんだ?なんでティファニアたちを守ってきたんだ?どうして自分以外の誰かのために戦おうとしたんだ?」
「…」
まるで食い下がるような姿勢を見せないアスカ。
シュウは彼のしつこさに嫌気を覚えかけると同時に、一つ思い出したことがあった。
故郷にいた、知り合いたちの顔を。
ずっと忘れていたことをある日突然思い出したような感覚だった。
(彼らも、やたらしつこく俺に構ってきたものだな…)
すると、二人のいるフロアへ近づいてくる声が聞こえてきた。
「賊が逃げ込んだ先はここだ!隠れているやもしれん。なんとしても見つけ出して捕まえろ!」
「ち、もう追っ手が!」
舌打ちするアスカ。
「………早くここを出た方がいい。ここは敵地だ」
『あの男』やシェフィールドが何をしてくるのかわかったものじゃない。…いや、間違いなく自分たちの動きを見ていることが考えられる。
とにかく、急いで逃げることに越したことはなかった。
「…何か妙じゃないか?」
アスカがシュウに言う。シュウも言われてみて、やはりかと思った。
さっきまでの逃亡ルートを思い返すと、この施設はハルケギニアの文明レベルを凌駕している設備が整っている。それに伴い、セキュリティシステムも及びもつかないはずのものが各所に設置されている。それなのに…
(なぜ、このあたりに来てから、システムが作動していない…!?)
二人が通っていたルートすべてに、いくつか侵入者避けのトラップや特殊なロックを施された扉が点在していた。だが、この辺りに来てから、そのいずれもが作動していなかったため、ここまですんなり通ることができた。考えられるのは…
『自分たちは、誘われている』
既に連中はアスカの侵入とシュウの脱走に気づいているに違いない。
だが、わからない。こっちは仮にもウルトラマンが二人だ。それだけでも連中から見れば驚異。逃がさない方が後の憂いを残さずに済むのではないのか?それだけ、あのメンヌヴィルや保有している怪獣たちの力に自信があるというのだろうか。
疑問に思うものの、この場における二人の最優先すべき行動は脱出することだけ。出口までは自分たちの正確な位置が奴らに悟られないようにしなければならない。
だが、ずっと逃げてきたこともあって二人は大分体力を消費していた。
「シュウ、近くに隠れられるとこ探そうぜ。そこで一旦休憩だ」
シュウもアスカも、一刻も早くここから脱出したかったが、体力やアスカの怪我、敵がどこから探っているかのことも考えるとそれ以外に選択肢はなかった。
ちょうどいいことに、隠れるに手頃な部屋を近くで発見、二人はその部屋に入った。
そこは、さっきシュウたちが最初に、闘技施設の惨状の調査に向かった部隊の兵が言っていた医務室だった。救護セットらしきものや怪我人用のベッドも用意されており、傷の手当てにちょうどよかった。
シュウは早速アスカの傷を手当てし、包帯を巻く。
「アスカ」
「を?どした?」
包帯を巻きながら、シュウはアスカに尋ねる。
「あんたは、どうして俺にウルトラマンをやっているとか言ったな。だったら、あんたはなんでウルトラマンをやっている?」
「自分は明かさないのに、人のことを聞きたがるのかよ…」
シュウに対して少し勝手さを覚えたアスカだが、答え始めた。
「仲間との約束があるからだ。仲間と一緒に戦って、苦しんで、笑いあって、悲しんで…そうやって絆を紡いできた。その絆が、心の光が俺を強くしてくれた。どんな強敵にもな」
「光……」
「…シュウ。別に俺に自分のこと明かすことはねぇ。けど、自分のこと…誰でもいい。信じられる奴に、ちゃんと話しとけよ。それだけで、未来が変わるはずだ」
約束だぞ、とアスカは言った。
アスカへの応急処置を済ませ、シュウは救護セットを片付けながら口を開いた。
「人を幸せにする機械を作りたかった」
「え?」
「俺の夢だ。昔の」
「な、なんだよ。話す気になったのか」
急に、自身のことを明かしてきたシュウに少し困惑を覚える。
「あんたがまたしつこく聞いてきそうだったから仕方なく、だ」
「…だったら最初から話せよ。めんどくさい野郎だな」
「悪かったな…こういう男なんだよ、俺は」
アスカのしかめっ面を悪態で返して、シュウは話を続けた。
今から20年前。俺たちの地球のアメリカ・コロラド州の荒野に、謎の生命体が飛来した。当時のアメリカ政府はその現場で発見された謎の生命体を捕獲した。
そしてあることが判明した。その生命体は、宇宙から飛来した、地球より遥かに発展した、所謂宇宙人という存在だった。とはいえ、発見された時には『光量子情報体』という、肉体のない状態だった。
その宇宙人…『来訪者』たちは、自分たちの母星が滅んだ原因を、そしていずれ同じ脅威が地球にも訪れることを俺たちに伝えた。
そして後に地球に飛来することとなる脅威…スペースビーストに対抗するために、いくつものプロジェクトが執り行われた。
その一つが…『プロメテウス・プロジェクト』
俺と憐、イラストレーター、そして…『彼女』は、『来訪者』とのコンタクティーを生み出すために誕生した、『プロメテの子』。
俺の役目は、生まれたときから定まっていた。
来訪者たちが警告した怪物、『スペースビースト』の脅威から地球の人々を守るために知識と知恵を駆使すること。
だけど、戦いは常に人の悲しみに溢れかえる。
器に入りきれないほどの量の水が流し込まれて溢れかえるように…。
俺も、また…
今から数年前…。
白い光に照らされた、ある教室。そこには制服姿の、それも現在よりも幼い風貌のシュウが学生用の椅子に座っていた。傍らには、彼とほぼ同年代に見られる長い茶髪の少女がいた。
「シュウは、どうして機械工学を志したの?」
髪の色は茶色くて長く、ストレートに下ろされた髪は最終的に二本に分かれて束ねられていた。
「実はさ、この前日本の漫画を読んだんだ」
教科書をまとめながら、彼は彼女の問いに答えた。
「日本の?」
「日本の漫画とか見てると、夢みたいな世界が広がっていてさ、みんなが笑っているんだ。それも幸せそうに」
「うんうん」
「でも、現実となるとそうは行かない。何かと今の世界って、平和といえば平和なほうかもしれない。でもどこかでやっぱり、さまざまな事情で不幸になってる人もいる。
僕は、漫画でしかできないようなものを作って、そんな場所の人達も含めて、多くの人を幸せにしてあげたいんだ」
「すごい夢じゃない」
彼女…『花澤愛梨』は、気が付いたら幼いころからずっとシュウとともにアカデミーでの生活を共にしてきた、いわゆる幼馴染の関係だった。一緒にいることが当たり前で、血の繋がった家族のような間柄でもあった。
講義でわからないことがあれば、真っ先に二人は互いの元へ来てはともに勉学に励む。時に遊ぶことがあれば、一緒に遊ぶことなど当たり前だった。
「そういう愛梨はどうなんだよ?確か、生態学を志望してたんだろ」
「私?それは…」
妙に彼女はふふ、と変な笑い声をもらしながら微笑みだした。どこか奇怪に思いつつも、シュウは何を考えているのかを尋ねてみる。
「どうしたのさ?」
「ナイショ」
人差し指で自分の唇を閉じながら、いたずらっぽく彼女ははぐらかした。
「なんだよ、人のこと聞いておきながら…」
「シュウがもうちょっとだけ鋭かったら話してあげる」
「なんだよそれ…」
シュウは困ったように笑う。でも悪い気はしなかった。ケンカしたことは確かにあったと思うが、こうして彼女と過ごす日々が当たり前だとは思っていたし、決して悪い気はしなかった。
自分たちがこうして当たり前に感じている幸せを、誰かに分けてあげられたら、とも思っていた。
「クロサキ、ハナザワ」
すると、二人のいる教室にスーツ姿のある白人男性が入ってきた。こっちへ来るように手招きし、シュウと愛梨は、白人の男性の元に向かう。
「ここで聞かれてはまずい。着いてきてほしい」
このとき、実は全て英語で話していた白人男性だが、このアカデミーはアメリカのダラスにあったこともあり、二人は男性の話していた英語を全て理解した。
白人男性は二人を連れて応接室に向かい、そこの椅子に向かい合う子達で座らせ、要件を告げた。
「TLT北米本部から君に召集命令が下された。すぐに準備にかかってほしい」
男性から言われた言葉にシュウは目を見開いた。この男性はTLTの職員の一人だった。
「北米本部にですか!?でも、どうしてですか?」
「これは特務事項だ。内容については、北米本部にて明かす」
「…!」
特務事項ゆえに、ここでも話せない内容、そして不満不平も、文句も言わせない。そんな話が自分に降りかかってきたことにシュウは衝撃を受けた。
何か重大な話に違いない。覚悟を決めた二人は後日、北米本部に招かれることになった。
「俺は子供の頃から機械工学の勉学に励んでいた。
アメリカの大学課程も済ませたし、いつか、自分の培った技術で地球を変えるほどのことを成してみたいって思っていた」
「それ、すげぇじゃん」
自分はあまり勉学が得意な方じゃないことを自覚しているアスカからすると、シュウは年下ながらもはるかに優れた勉学家に思えた。まして、アメリカの大学課程を済ませるだなんて、普通の日本人からして縁が殆どないことだ。だが、シュウの顔には以前変わらず曇りが立ち込めている。
「でも、ある日…俺の世界の新宿に、スペースビーストが現れた。6年前だ」
それからシュウは、自らの過去を明かし始めた。
彼の世界、ネクサスワールド…。その世界での西暦2004年。新宿の中心にて、スペースビーストの最初の侵攻といえる災害が起きた。ある事情で人々の記憶から消され『隕石の衝突』として世間に改変された形で公表された。そのときに彼の世界で、ウルトラマンとビーストの最初の戦いが起こった。
「俺も技術者としてそのビースト…『ザ・ワン』の抹殺のための武器を作るために借り出された。
こいつを殺さないと、夢を見てなんていられない。確信した俺は積極的に奴を殺すための武器を作ることにした。だが…」
「…しくじっちまったってのか?」
「…ああ。俺は奴を殺せる武器を作れなかった。奴の進化速度は、俺たちのはるか上を行っていた」
北米本部の客室にて、二人はある女性と対面した。
特務機関「BCST」科学担当班の女性、水原沙羅という女性だった。
「はじめまして、アカデミーより派遣された、黒崎修平です」
「同じく、助手の花澤愛梨と申します」
「BCST科学担当班、水原沙羅です。よろしく」
沙羅は相手がまだ子供だからという理由で尊大な態度をとることは無く、対等に接してきた。
「早速だけどあなたに依頼したいことがあるの。まずは…」
沙羅からの話を聞き、この時のシュウはまるで、パニック映画の一幕のような経験をするとは思いもしなかった。
彼女からの依頼は…
「ある怪物を殺すための武器を作れ」というものだった。
海上自衛隊の有働貴文という男の話を聞く。彼はコードネーム『ザ・ワン』と名づけられた怪物に体を乗っ取られてしまったのだという。既にザ・ワンは本来の姿と力を取り戻そうとしている。その前に、奴を殺すための武器を作るようにと依頼された。
そして彼女が…ザ・ワンに全てを乗っ取られた有働貴文の婚約者だったことも聞いた。
怪物に乗っとられた、婚約者を殺すため。いつか将来を誓い合ったはずの二人が、こんな残酷な形で引き裂かれてしまったことに、シュウはザ・ワンに対して怒りを覚えた。
彼とビーストの戦いは、ナイトレイダーに選ばれる以前、既にこの時から始まっていたのだ。
沙羅から見せられた、変貌していく有働の記録映像。そして遂に有働の体を支配したザ・ワンに殺害された映像内の自衛隊男性の遺体から、既にザ・ワンの体液を採取していた彼は、沙羅たちや愛梨たち生物学専門のプロメテの子達との協力を得て、強力な毒性を持つ弾丸を開発、それを沙羅に託した。
だが、有働…ザ・ワンには結局逃げられた。そのとき、撃てなかったと告白した沙羅の表情を、シュウは忘れられなかった。
後に、彼は新たな作戦にも参加させられた。
日本領域内のある無人島にて、ザ・ワンが狙っているとされる人間の男を囮に、ザ・ワンをおびき寄せたところを一斉射撃でしとめるというものだった。
彼の特殊弾は水原沙羅の手から自衛隊に提供され、作戦において一事は奴を仕留めたかに思われた。
だが、ザ・ワンの事故進化速度は、沙羅やシュウの想像を上回っていた。奴は何十発も弾丸を浴びせられたのに死ななかった。それどころか突然、まるでRPGのボスモンスターがの形態変化が現実になったように変化を起こし、その圧倒的力で自衛隊の人たちを屠った。
突如現れたという銀色の巨人との激闘の末、ザ・ワンには逃げられた。
銀色の巨人のことも聞いてはいた。
ネクストと同化した男…真木とは直接話す機会を得られなかった。BCSTの設置した監視カメラの記録映像でその顔を見たくらいだ。
彼の家庭の事情とこの場に連れて来られたことを考察して、ネクストと一体化したことを除けば真木はどこにでもいる息子思いの親だった。シュウはプロメテの子だから親はいなかったから、彼の子が少し羨ましく思ったこともあったが、そんなことはどうでもよかった。
それよりも、次のザ・ワンとの戦いに備えて新しい弾丸の開発だった。もう奴の進化速度に追いつけるかの保証は絶望的だったが、ザ・ワンが…嘲笑いながら人を殺しまくる姿を想像してしまうあまり、何もせずにはいられなかった。
二度目も新宿の地でウルトラマンとザ・ワンの決戦が始まったときも、シュウは沙羅と協力して、新たな対ザ・ワン用の強力な毒性を持つ弾丸を開発しそれを託した。有働の姿で対面したときに発砲されたその弾丸は効果自体はあったらしいが、ザ・ワンが本来の姿に変貌した時にはすでに豆鉄砲程度だった。
結局、最後はネクストに変身した真木…後のウルトラマンにすべての決着を任せることになった。ザ・ワンのさらに強大で巨大な、おぞましい悪魔のごとき姿を目の当たりにして、引き金を引くことさえもできなかった。
今でも、シュウは覚えていた。後にとある事情で人々の記憶から消され『隕石の衝突』として世間に改変された形で公表された『新宿大災害』と呼ばれることになった、あの時の光景を最後まで見届けておきたかったのを。
ザ・ワンの攻撃で爆炎に消えていく新宿の町並み。踏み潰され、焼かれ、殺されていく人たち。まさに地獄。若年ながら、自分はそんな地獄を生み出す悪魔から人を守る立場に立ったのに…その責任を果たせなかった。
「……」
ザ・ワンとウルトラマンが戦う姿、シュウと愛梨は安全な場所に待機するようにといわれたので、怪我を負うことは無かった。
現場ではなく、映像で現場を見たシュウは悲痛な表情を浮かべた。
「シュウ…」
ザ・ワンの口から放たれる、破滅の光が新宿の街を焼き尽くしていく。
険しい表情でザ・ワンが起こす惨劇のを、シュウは目を背けることなく見ていた。怒りがこみ上げた。ザ・ワンにも…力及ばずだった自分にも。
「僕がもっと強力な弾丸を作れていたら…」
それができていれば、あのときの自衛隊の隊員たちは…こんな悲劇的な大惨事だって起こらなかった。
BCSTの矢代隊長の部下を失ったことで怒りと悲しみの表情は、シュウの心を痛めつけた。
それにこの町の人たちの中にも…あの炎の中に消えて行った人たちも大勢いたに違いない。
「シュウ、あなたのせいじゃないわ。あの怪物が強すぎた。ただそれだけよ」
「だけど!」
それでも、やはり自分の力不足さを呪わずに入られなかった
「悔しがるよりも、もっとやるべきことがあるはずよ?大丈夫、私が傍にいるから」
そして、そんなシュウを励まそうと、愛梨はそっと手に触れてきた。
「愛梨…」
その温かさと優しさは、シュウの心を溶かすに十分だった。
最初は武器を作ることにシュウは強い抵抗があった。武器は人をたやすく殺せてしまう。それも人間の想像を超えた怪物を殺せるほどのものとなると、その破壊力は果てしない。
万が一は、銀色の巨人…ザ・ネクストに頼らければならない。
それでもザ・ワンのことを思い出す度ぶ、シュウはザ・ワンを許せなかった。奴を殺さなくてはならないと。
自分と彼女…愛梨の未来のためにも。
それからシュウは、『人を幸せにしたい』という願いのもと、研究に励んだ。
だがTLTからの話によると、ザ・ワンの細胞を受け継いだ新たな脅威…スペースビーストがいずれ地球を食らおうとする。そんなことになれば、多くの人たちの幸せが奪われていく。自分がこの時抱いているような夢を抱くことさえもできなくなる。そんなことが許されてなるものか。
あの悲劇を繰り返さないために、シュウはさらに勉学と研究に励んだ。
気が付けば、TLTの新兵器開発計画の責任者に抜擢されており、愛梨はそんな彼の補佐としてずっと傍にいてくれていた。
対ビースト殲滅兵器、その生みの親となったシュウ。
『人を幸せにしたい』という願いが、いつしか『人を守りたい』という願いに変わっていた。
だが、シュウはまだ子供だった。
どのように優れた物を設計しても、大人たちは
「所詮子供が作るものだ」
「ご大層にプロメテの子とか言っていたが…期待外れだった。こんな子供ではどうせ…」
と一蹴することが何度もあった。
言ったとおり、シュウは当時まだ子供だった。しかしそんな子供でも、まだ弱かった頃とはいえザ・ワンに毒を盛ることができる弾丸を作り、水原沙羅にそれを渡すことができただけでも凄いことだった。
だが大人たちは、ザ・ワンを相手にシュウが十分に対抗できるだけの力を持つ兵器や武器を作れなかったことで、一度はプロメテの子である彼を頼っておきながら、手のひらを返すように彼を子供だと馬鹿にし始めたのだ。
だが、ザ・ワンの圧倒的で強大なおぞましさと力に、彼は強い恐怖を覚えた。消したくても消えない恐怖心が彼を支配し、行動力に火をつけた。
だから、彼は補佐となった愛梨に隠れて、ある手段に手を伸ばしてしまった。
「…お金は出します。ですから、例のものをどうか…はい、ありがとうございます」
試作品の武器やその材料、資材と設計図であふれた研究室にて、シュウは誰かと電話を取っていた。
電話を終わらせ、シュウは一息ついて机の上に広げている、次に製作する予定の武器の設計図を眺める。
「これで、ようやく次の兵器を作れる…」
設計図には、アルファベットで『Divide Launcher』と記名されていた。
「いずれ、ザ・ワンの因子を受け継いだビーストが大量発生するその前に、なんとしても…どんな手を使っても…!」
「シュウ、いる?」
ふと、研究室の扉が開かれる。突然のことでシュウは思わず振り返って目に睨みを利かせる。入り口に立っていたのは愛梨だった。
「ひゃ!?」
いきなり睨みつけられ、愛梨は驚いてしまう。
「な、なんだ…愛梨か」
知っている人間が来たことでシュウはホッと息を吐いて腰を下ろした。
「なんだ、じゃないでしょ。もう…」
「ごめん…」
寧ろ驚いたのはこっちなのだぞと愛梨は膨れる。
「そう思うなら、今度何かご馳走して。そうしたら許してあげる」
「できれば出費がかさむから勘弁して欲しいんだが…?」
「最近のシュウは働き詰めでしょ?私や他の皆に頼る頻度も少なくなってるし…」
このとき、シュウは何日も徹夜することも多くなり、無理をしている姿が見られるようになっていた。現に、愛梨の目から見たシュウの顔は、少しやつれているように見える。
シュウは、対ビースト殲滅兵器を作るために、ありとあらゆる部品や材料をかき集めてきた。だが、それは子供が簡単にできることではない。たとえアカデミーがバックについていたとしても、同じことだ。
だから、彼は本来採るべきではない手段に出た。
それは…『密売』『詐欺』。
ビーストという圧倒的力を持つ怪物を倒すための武器となると、どうしてもレアな素材を手に入れなければならなくなった。
それも困難で骨が折れる作業だった。しかもまだこっちは子供といわれてもおかしくない年齢だった。それでも限界というものがあった。プロメテの子としての優れた頭脳を駆使し、彼はあらゆる手口を利用して、TLTの支援以外にも資金を集め出した。
やがて表の協力者でもあったTLTの協力もあり、密かに違法行為に手を染めてまで資金を集めた甲斐もあり、スペースビースト殲滅兵器のプロトタイプの完成に成功した。
------…俺はただ、俺の手で人を幸せにしてやりたかっただけだ。
------だけど…とっくに、歯車が狂っていたかもしれない。
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