Three Roses
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第二十話 早世の家その六
「親戚同士の様なものになっているしな」
「民族的にも近く」
「宗教はこの国のみ新教ですが」
「そこは融和を進め」
「そのうえで、ですね」
「四つの国を一つにしてだ」
そのうえでというのだ。
「王国にあたるつもりだ」
「そこは我々の考えと同じですね」
「力を一つにし王国にあたってもらう」
「そのことはですね」
「同じですね」
「だからこそ盟約を結んでいるのだ」
帝国とこの国はというのだ。
「共に王国を敵としているからな」
「だからこそです」
「我々もここにいます」
「しかしですね」
「王になりますと」
「そうだ、王は我々の血筋の者がなる」
ロートリンゲン家がというのだ。
「必ずな、そこが大きく違うな」
「この国の多くの者の考えと」
「我等はロートリンゲン家の者です」
「帝国の者なので」
「そこが違いますね」
「どうしても」
「そうだ、しかしそれは隠しだ」
彼等の真意、それはというのだ。
「そのうえでことを進めていこう」
「畏まりました」
「さすれば」
側近達も酒や果実を楽しみつつ太子に応えた、そのうえで実際に賄賂を使い自分達の味方を増やしていった。そして。
密かにだ、太子は味方につけた旧教の諸侯達に対して話した。
「軍を担う大臣だが」
「今の方はもうご高齢です」
「ご自身から退任されるとのことです」
「それで次はどなかがなられるか」
「まだわかりません」
「私が思うにだ」
諸侯達に言うのだった。
「オズワルド公が相応しい」
「あの方ですか」
「そうだ、卿達はどう思うか」
諸侯達に確認を取った。
「彼だと思うか」
「はい、あの方ならばです」
「我々の棟梁でもありますし」
「軍を率いて戦われ勝たれたことも多いです」
「名将でもあります」
「ですから」
旧教徒の諸侯達も応えた。
「あの方ならばです」
「軍を担う大臣に相応しいです」
「むしろあの方こそです」
「その座に就かれるべきです」
「わかった、ではだ」
ここまで聞いてだ、太子は頷いた。
そしてだ、諸侯達にあらためて言った。
「その様に王にお話をすることだ」
「今すぐですね」
「そうしてですね」
「あの方を軍の大臣に」
「そうされますか」
「そうだ、陸だけでなくだ」
ここでこうも言った太子だった。
「海もだ」
「そちらもですか」
「オズワルド公に率いてもらいますか」
「そうしますか」
「いや、彼は陸の将だ」
実際に陸での戦いで戦い勝ってきている、高潔かつ優秀な騎士としてデューダー卿と共にこの国の名将の一人とされている。
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