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おぢばにおかえり

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第三十六話 お墓地その十五

「違うのよ」
「そうらしいですね」
「そうよ、特に女子高生はね」
 制服で隠せるからです。
「違うのよ」
「そうですか?」
「そうよ、実はね」
「意外といいますか」
「別に意外じゃないでしょ、服の上からじゃわからないこともあるのよ」
「そうなんですね」
「言っておくけれど確かめたら駄目よ」
 その服の上からです。
「絶対に」
「わかってます、そうしたことはしないですから」
「そうよ、変なことしたら駄目よ」
「その人からどうぞって言われないと」
「そんなことはね」
 こうしたお話は苦手です、ですからどうしてもお顔が真っ赤になって必死になってしまいます。そのうえで阿波野君に言います。
「結婚してからというか」
「そうした人とだけですか」
「そうよ、私は絶対にだし」
 誰かと付き合ったこともないです。
「それは」
「先輩らしいですね」
「そうかしら」
「はい、真面目といいますか」
「真面目かしら」
「そう思いますよ、まあそういうことはしないですから」
 阿波野君も言います。
「安心して下さい」
「ええ、そこはしっかりとしてね」
「決めた人とだけ」
「そうよ」
 自分でもわかる位強い声でした。
「他の誰とでもなくよ」
「そうですよね、僕もですよ」
「あら、阿波野君もなの」
「決めた人としか」
 何故か私をじっと見てきました。
「そうしたことは」
「それはいいことよ。ただね」
「ただ?」
「何で私の方じっと見るの?」
 そのことがわからなくて聞き返しました。
「どうしてなのよ」
「まあ何となく」
「何となくって」
「とりあえずそういうことで」
 何かかわされた感じがしました。
「僕も一緒ですよ」
「そうなのね」
「はい、これでも真面目なつもりですよ」
「浮気とかはね」
 これをする人は多いみたいですけれど私としては絶対にアウトです、私自身そんなことをしたら絶対に駄目だとお母さんに言われています。
「駄目だからね」
「はい、僕でしたら」
「しないっていうのね」
「一人ですよ」
 何があってもという返事でした。
 ただ、どういう訳か今も私をじっと見ています。
「そのことは約束します」
「私に約束するの?」
「はい、そうです」
「私に約束しても仕方ないでしょ」
 首を捻って言いました。
「そんなことをしても」
「そう思います?」
「思うわよ、何なのよ」
「まあそういうことで」
「本当に変な子ね」
 そう思うばかりでした、ですが。
 そんなお話をしているうちに詰所に着いてです。私は阿波野君に送ってくれて有り難うと言ってでした。
 私達はこの日は別れました、ですが阿波野君のおみちには真面目な一面を知って実は嬉しい気持ちと一緒でした。


第三十六話   完


                       2016・6・15 
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