Blue Rose
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第二十八話 長崎での生活その十三
「それ位は」
「その普通のことが駄目な人が多いのよ」
「世の中は」
「それ位でいいわ、主夫でもね」
「いいのね」
「主夫もお仕事よ」
だからいいというのだ。
「私は貴女を受け入れてくれてね」
「その三つがよかったら」
「それでいいの、稼ぐのは私でもね」
「強いわね、姉さん」
「そうかしら」
「そう思ったわ」
こう姉に言った。
「男の人に求めるのはそれだけって」
「けれどこれがね」
「いないの」
「そうよ、特に暴力ね」
「DV?」
「いい?女の子に暴力振るう男とは絶対に付き合ったら駄目よ」
厳しい声での言葉だった。
「何があってもね」
「姉さんいつも言ってるわね」
「痛い思いするから」
「身も心も」
「そう、自分だけじゃなくて家族がいたら」
「家族の人達も暴力を受けるから」
「付き合ったら駄目よ、ましてや結婚とかはね」
添い遂げる、それはというのだ。
「駄目よ、間違ってしても」
「その時は別れた方がいいのね」
「暴力を振るう男は最低の中の最低な奴だから」
優子は忌々しげにこうまで言った。
「そうしてね」
「わかったわ」
「実は姉さんの友達でいたのよ」
「お友達がそうした人と付き合ってたの」
「毎日痣や生傷が絶えなくてね」
「それは」
「酷いでしょ」
ここで妹に問うた。
「これは」
「ええ、ちょっとね」
「それで姉さんも他のお友達も間に入って警察や弁護士さんも呼んでね」
「それでやっと別れたの」
「そうしたこともあったから」
「だから私にも」
「いい人を好きになるのよ」
このことを念押しするのだった。
「いいわね」
「わかったわ」
「何処にもそうした男はいるけれどね」
残念なことにとだ、優子は出した言葉の中にこの言葉も含ませてそのうえで言った。そのことを知っているが故に。
「気をつけてね」
「人はよく見ることね」
「ギャンブルも女遊びもだけれどね」
「その二つも」
「この三つがなかったらね」
「もう充分なのね」
「基本はね、この三つがなくても人間的にどうしようもない人もいるけれど」
劣悪な人間にも種類がある、暴力や浮気がないからといってそれで充分かというと優子もわかっているのだ。
「意味もなく偉そうにしてる人とか」
「ああ、いるわね」
「そうした人ともね」
「付き合わない方がいいわね」
「中身が何もない人ってことよ」
そうした男、もっと言えば人間はというのだ。
「偉そうにしてる人は大抵そうよ」
「中身がないの」
「そんな人とも付き合わないでね」
「わかったわ」
「そういうことでね、じゃあ今度の連休そっち行くわ」
「行けるの?」
「お休み取れたから」
だからだというのだ。
「行くわね」
「じゃあお部屋泊まる?」
優花は優子の今の話に飛び起きんばかりに喜んで姉に問うた。
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