エクリプス(機動戦士ガンダムSEED編 )
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第08話 プラントと歌姫
前書き
歌姫の続きですが、プラントよりなので話しを分けました。
Side ラウ・ル・クルーゼ
オペレータA
「誘導ビーコン捕捉。第4ドックに着艦指示でました。進入ベクトル合わせ。」
オペレータB
「ビーコン捕捉を確認。」
オペレータA
「進路修正0ポイント、3マーク16、ポイント2デルタ。回頭180度。減速開始。」
アデス
「査問会には、アスラン・ザラもお連れになるので?」
クルーゼ
「ああ。その場に居た者だしな。彼なら冷静で客観的な分析も出来る。」
アデス
「オーブは…かなり強い姿勢で、抗議してきているようですが…。」
クルーゼ
「問題は…我々にとって何が重要なのかということだ。アデス。」
アデス
「…はぁ。」
クルーゼ
「ヴェサリウスの点検と補給、急げ。
しばしの休暇といってもそうくつろいでいる時間はないぞ。
…おそらくな。」
Sideout
クルーゼとアスランはシャトルへと移乗した。
Side アスラン・ザラ
クルーゼ
「御同道させていただきます、ザラ国防委員長閣下。」
パトリック・ザラ
「礼は不要だ。私はこのシャトルには乗っていない。いいかね、アスラン。」
アスラン
「分かりました。父上。お久しぶりです。」
ザラ
「リポートに添付してあった君の意見には、無論私も賛成だ。
問題は、奴等がそれほどに高性能のモビルスーツを開発したというところにある。
パイロットのことなどどうでもいい。」
アスラン
「えぇ!」
ザラ
「その箇所は私の方で削除しておいた。」
クルーゼ
「ありがとうございます。
閣下ならそうおっしゃって下さると思っておりました。」
ザラ
「向こうに残してしまった機体のパイロットもコーディネイターだったなどと、
そんな報告は穏健派に無駄な反論をさせる時間を作るだけだ。」
ザラ
「奴等は、自分達ナチュラルが操縦しても、あれほどの性能を発揮するモビルスーツを開発した…。
そういうことだぞ。分かるな…アスラン。」
アスラン
「…はい。」
ザラ
「我々ももっと本気にならねばならんのだ。
早く戦いを終わらせる為にはな。」
クルーゼ
「ところでミスリルについては?」
ザラ
「全く分かっていないのが現状だ。
モビルアーマーは構造上、宇宙と地上で運用可能らしい。
翼は宇宙空間では不要だ。
敵艦も流体力学で設計されており潜水の可能制もある。
コウキ・イチジョウの出生や国籍の可能性もどこの国でもあり得ないぐらい低いそうだ。
彼が書いたとされた論文も遺伝学者達が調べているが、今の所否定要素がないそうだ。
遺伝学者どもは論文の事で、右往左往している。
もし事実なら10年は進歩していると、自分達の研究を放って騒いでいる。
諜報部は心理学者にも意見を聞いてるが何も分からない状況だ。
ジョージ・グレンのコーディネートとした研究者の一部がプラントと別れて、
何処かに庇護されている説まで出ている。
言える事は彼はコーディネイターで、生まれた時から英才教育されているらしい。
教育レベルはプラントか、それ以上らしい。
諜報部は金の流れとプラントの教育機関を中っているがまだ何も掴めていない。」
クルーゼ
「敵に回すと厄介ですな。」
Sideout
クルーゼとアスランは評議会へエレベーターで移動していた。
Side アスラン・ザラ
ニュースキャスター
『…では次に、ユニウス7追悼、一年式典を控え、クライン最高評議会議長が、声明を発表しました。』
クライン
『あの不幸な出来事は、我々にとって決して忘れることの出来ない、深い悲しみです。』
モニターでは、ニュースが流れていた。
録画なのでラクスも映像に映っている。
クルーゼ
「そういえば、彼女が君の婚約者だったな。」
アスラン
「は…はぁ。」
クルーゼ
「ラクス嬢は今回の追悼慰霊団の代表も務めるそうじゃないか。素晴らしいことだな。」
アスラン
「はい。」
クルーゼ
「ザラ委員長とクライン議長の血を継ぐ、君らの結びつき、次の世代にはまたとない光になるだろう。期待しているよ。」
アスラン
「ありがとうございます。」
クルーゼ
「その時代を、今我々は守らねばならん。」
アスラン
「…。」
Sideout
Side シーゲル・クライン
クライン
「ではこれより、オーブ連合首長国領、ヘリオポリスについての、臨時査問委員会を始める。
まずは、ラウ・ル・クルーゼ、君の報告から聞こう。」
クルーゼ
「はい。
・・・
以上の経過で御理解頂けると思いますが。
我々の行動は、決してヘリオポリス自体を攻撃したものではなく、あの攻撃の最大原因はむしろ、地球軍にあるものと、御報告致します。」
議員A
「やはり、オーブは地球軍に与していたのだ…。
議員B
「条約を無視したのは、あちらの方ですぞ!」
アイリーン・カナーバ
「だが、アスハ代表は…」
議員C
「地球に住む者の言葉など、当てになるものか。」
ザラ
「しかし、クルーゼ隊長、その地球軍のモビルスーツ、果たしてそこまでの犠牲を払ってでも手に入れる価値のあったものなのかね?」
クルーゼ
「その驚異的な性能については、実際にその一機に乗った、
アスラン・ザラより報告させていただきたく思いますが。」
クライン
「アスラン・ザラよりの報告を許可する。」
各議員のモニターにヘリオポリスでの状況が表示される。
議員一同
「おぉ…。」
アスラン
「まず、イージスという名称の付いたこの機体ですが…大きな特徴は…
・・・
…以上です。」
タッド・エルスマン
「こんなものを造り上げるとは…!ナチュラル共め!」
アイリーン・カナーバ
「でも、まだ、試作機段階でしょ?たった5機のモビルスーツなど脅威には…」
エザリア・ジュール
「だが、ここまで来れば量産は目前だ。その時になって慌てればいいとでもおっしゃるか!?」
議員A
「これは、はっきりとしたナチュラル共の意志の表れですよ!奴等はまだ戦火を拡大させるつもり…」
クライン
「…静粛に!議員方、静粛に…」
クルーゼ
「ふふ…」
アスラン
「…」
ザラ
「戦いたがる者など居らん。
我らの誰が、好んで戦場に出たがる?
平和に、穏やかに、幸せに暮らしたい。
我らの願いはそれだけだったのです。
だがその願いを無惨にも打ち砕いたのは誰です。
自分達の都合と欲望の為だけに、我々コーディネイターを縛り、利用し続けてきたのは!
我らは忘れない。
あの血のバレンタイン、ユニウス7の悲劇を!
24万3721名…それだけの同胞を喪ったあの忌まわしい事件から1年。
それでも我々は、最低限の要求で戦争を早期に終結すべく、心を砕いてきました。
だがナチュラルは、その努力をことごとく無にしてきたのです。
我々は、我々を守るために戦う。
戦わねば守れないならば、戦うしかないのです!」
議員全員それぞれ思い出しているのか、俯いた。
クライン
「…うぅ。」
Sideout
臨時査問委員会が終わり、各委員が部屋の外に出る。
Side シーゲル・クライン
クライン
「アスラン。」
アスラン
「クライン議長閣下。」
クライン
「そう他人行儀な礼をしれくるな。」
アスラン
「いえ、これは…」
クライン
「ようやく君が戻ったと思えば、今度はラクスは仕事で居らん。
まったく、君等はいつ会う時間が取れるのかな。」
アスラン
「はぁ…申し訳ありません。」
クライン
「私に謝られてもな。
しかし、また大変なことになりそうだ。
君の父上の言うことも分かるのだがな…。」
クルーゼ
「アスラン・ザラ!あの新造艦とモビルスーツを追う。」
アスラン
「…!」
クルーゼ
「ラコーニとポルトの隊が、私の指揮下に入る。出航は72時間後だ。」
アスラン
「はっ!」
クルーゼ
「失礼致します!クライン議長閣下!」
クルーゼとアスランはその場を離れた。
クライン
「我々にはそう時間はないのだ。
いたずらに戦火を拡大してどうする?」
ザラ
「だからこそ許せんのです。
我々の、邪魔をする者は!」
Sideout
アスランはクルーゼを車で送り、母の墓前へ向かった。
墓に着き祈りを捧げた。
帰り際に父の言葉を思い出していた。
(我々は、我々を守るために戦う。
戦わねば守れないならば、戦いしかないのです!)
Side テレサ・テスタロッサ
「コウキ、強行偵察型・複座のジンが近づいてきます。」
『分かった、こちらで対処する。アークエンジェルにはレーザー通信でその場に待機するように連絡を。』
Sideout
光輝は民間周波数でシルバーウインドに連絡を入れる。
Side ラクス・クライン
光輝
「クライン嬢、お迎えが来たようです。
シルバーウインドに移乗しましょう。
後これを、ささやかながらプレゼントです。
ハロをモデルに私が作りました。
青空をイメージして、名を『スカイ』と付けました。」
ラクス
「船の修理までして頂き、ありがとうございます。」
スカイ
「ハロ!ハロ!僕はスカイ。」
ラクス
「まぁ!かわいい。」
光輝
「では、行きましょう。案内します。
スカイは私との連絡手段を持っています。
片言ながら話も出来ます。
二人だけの秘密ですよ。」
光輝は人差し指を口の前に持っていき内緒のジェスチャーをした。
Sideout
光輝はシャトルでラクス達をシルバーウインドに送った。
後部にミスリルの隊員が姿を消し、乗り込んでいたのには光輝以外には分らない。
シャトルがシルバーウインドに移動した。
Side ラクス・クライン
ラクス
「何から何まで、ありがとうございました。」
光輝
「いえ。こちらもお願いしていますので。
メリッサ・マオの事。くれぐれも宜しくお願いします。」
光輝
「メリッサ・マオ、プラントに戻ればミスリルの事を尋問され見張りが付くかも知れない。
覚悟だけはして置く様に、短い間ではあったが、これからはラクス嬢の護衛を頑張るんだぞ。
ミスリルの事は恩義を感じず話して構わない。」
光輝はシルバーウインドのクルーに聞こえる様に話した。
マオ
「戦場で助けて頂き、ありがとうございます。
感謝の言葉もありません。
やっとプラントに戻る事が出来ました。
助けられたこの命、ラクス・クライン様の為に捧げる積りで頑張ります。」
これらは全て、光輝のシナリオだった。
そのころシャトルから3人のミスリル隊員が忍び込んでいた。
光輝
「ミスリルの艦もシルバーウインドが安全な所まで同行させます。
それでは、失礼します。」
Sideout
Side マリュー・ラミアス
光輝
「トゥアハー・デ・ダナンはシルバーウインドに同行して、敵の注意を逸らす。
連絡があるまでここ待機してくれ。」
マリュー
「トゥアハー・デ・ダナンは大丈夫なの。」
光輝
「その為に恩は売ってある。
しっかり、情報操作もしてあるから大丈夫だ。」
マリュー
「その為にコンサートを?」
光輝
「勿論、ただクルーの息抜きも兼ねている。
追悼の儀式も、哀悼の気持ちや言葉は嘘ではない。
でもザフトの情報部は混乱するだろうね。
プラントの国民も考えさせるだろうね。
私の専門は集団心理学だ。
プラントの穏健派を助けないと早く戦争が終わらない。
これからも少しづつ心理戦を仕掛けていくよ。」
フラガ
「軍人には出来ない発想だ。」
マリュー
「本当ね。何処までも考えているのか?」
光輝
「遺伝子治療を受けてミスリルで10年働けば理解出来るよ。」
「「はぁ。」」
アークエンジェルの艦橋に溜息が漏れた。
光輝
「あと14分後に、この航路で月に向かう。
先遣隊と速く合流出来る。」
マリュー
「各員、出港用意。14分後にアークエンジェル、出港。」
フラガ
(細かい)
Sideout
Side アスラン・ザラ
アスランがシャワー浴びていると呼び出し音のベルが聞こえた。
アスラン
「ん?」
アスランがローブを羽織って、通話に出る。
アスラン
「アスラン・ザラです。」
オペレータ
「認識番号285002、クルーゼ隊所属アスラン・ザラ。
軍本部より通達です。」
アスラン
「はっ!」
オペレータ
「ヴェサリウスは予定を35時間早め、明日、1800の発進となります。
各員は1時間前に集合、乗艦のこと。
復唱の後、通信受領の返信を。」
アスラン
「ヴェサリウスは明日、1800発進。
各員1時間前に集合、乗艦。
アスラン・ザラ、了解しました。」
通話を切って、マルチメディア・パソコンの電源を入れる。
電源が入ると直ぐにニュースが流れ始める。
キャスター
「この船には、今回の追悼式代表を務める、ラクス・クライン嬢も乗っており、」
アスラン
「ん?」
キャスター
「安否が気遣われています。」
アスラン
「…な!…あぁ。」
キャスター
「繰り返しお伝えします。
追悼一年式典の慰霊団派遣準備のため、ユニウス7へ向かっていた視察船、シルバーウインドが、昨夜消息を絶ちました。」
アスラン
「あぁ…ラクス。」
Sideout
ヴェサリウス出港1時間ほど前にアスランは港に来ていた。
Side アスラン・ザラ
アナウンス
「ヴェサリウス発進は、定刻通り。搭乗員は12番ゲートより、速やかに乗艦。」
アスラン
「あっ。」
ザラ
「アスラン。ラクス嬢のことは聞いておろうな。」
アスラン
「はい。しかし隊長…まさかヴェサリウスが?」
クルーゼ
「おいおい、冷たい男だな君は。無論我々は、彼女の捜索に向かうのさ。」
アスラン
「…でも、まだ何かあったと決まったわけでは……民間船ですし。」
ザラ
「公表はされてないが、既に捜索に向かった、ユン・ロー隊の偵察型ジンも戻らんのだ。」
アスラン
「…なっ。」
クルーゼ
「ユニウス7は地球の引力に引かれ、今はデブリ帯の中にある。
嫌な位置なのだよ。
ガモフは足つきをロストしたままだし。」
アスラン
「まさか!」
ザラ
「ラクス嬢とお前が、定められた者同士だということは、プラント中が知っておる。
なのに、お前の居るクルーゼ隊がここで休暇という訳にもいくまい。」
アスラン
「あ…です…が。」
ザラ
「彼女はアイドルなんだ。
頼むぞ、クルーゼ、アスラン。」
クルーゼ、アスラン
「は!」
アスラン
「彼女を助けてヒーローの様に戻れと言うことですか?」
クルーゼ
「もしくはその亡骸を号泣しながら抱いて戻れ、かな。」
アスラン
「ええ!」
クルーゼ
「どちらにしろ、君が行かなくては話にならないとお考えなのさ、ザラ委員長は。」
アスラン
「…。」
Sideout
Side マリュー・ラミアス
マリュー
「間違いないの!?」
パル
「間違いありません!これは地球軍第8艦隊の、暗号パルスです!」
ナタル
「追えるのか?」
パル
「やってますよ!
解析します!」
『こちら…第8艦隊先遣…モントゴメリー…アー…エンジェル…応答…』
マリュー
「アルバートン准将旗下の部隊だわ!」
ブリッジ一同
「うわぁぁ!」
ノイマン
「探してるのか!?俺達を!」
ナタル
「位置は!?」
トノムラ
「コープマン少佐の隊か!?」
パル
「待って下さい!」
ノイマン
「よし!」
パル
「まだかなりの距離があるものと思われますが…。」
トノムラ
「だが、合流できれば…!」
ノイマン
「ああ!やっと少しは安心できるぜ!」
ブリッジ一同
「うっはっはっは!」
光輝
「全員、落第!」
光輝は大声を上げる。
全員の視線が光輝を注視する。
光輝
「この場合、先遣隊が敵に尾行されているかもしれないぞ。
普通は警戒する、場面だ。
但し、ミスリルからの情報だ。
先遣隊付近の宙域にはザフト艦はいない。
ただし、ヴェサリウスが発進している。目的はラクス嬢捜索とアークエンジェルだろう。
トゥアハー・デ・ダナンが時間を稼ぐので、喜んだら各自合流まで休憩するように。」
皆がほっとして再び喜びを分かち合いはじめた。
マリュー
「コウキさん、ありがとう。」
光輝
「シナリオ通りだ。
危険なのは、本隊との合流だ。
その後の指示も気になる。
本隊が動けば敵も注目する。
本隊が只の出迎えであれば問題ない。
アークエンジェルの地球降下なら、降下ポイントまでに時間が掛かる。
それだけの時間があれば、ザフト軍も追撃出来る。
私がラウ・ル・クルーゼの立場ならそうする。
先遣隊と本隊の合流まで時間がある。
しっかり、休めよ。
考えて仕方ない。決定権は第8艦隊にある。」
光輝は敢えてローラシア級の事は伝えない。
これ以上の事を伝えるとマリューが混乱するからだと分かっている。
(もう少し頑張りますか?ハルバートン提督に貸しを作るのも良い)
Sideout
Side ラウ・ル・クルーゼ
クルーゼ
「どうした?」
アデス
「ユン・ロー隊の偵察型ジンからの通信です。
シルバーウインドを護衛中。
ミッミスリル艦が共に護衛中。
…
シルバーウインドは被弾した物のミスリルの艦が救助し修理・補給までしてくれたそうです。
ラクス・クライン嬢は無事との事です。
ジンはシルバーウインド要請で離れられず報告が遅れたとの事です。」
クルーゼ
「やられたな。」
アデス
「どういうことです?」
クルーゼ
「ミスリル艦が足つきから離れていると言う事は、足つきは安全圏まで逃げ出している事だ。
こちらの哨戒網をくぐったとなると。
真っ直ぐに月や地球を目指していなかったと言う事だ。
シルバーウインドを助けていた事を考慮するるとデブリベルトに潜んでいたな。」
アデス
「並みの艦長では判断出来ないと思われます。」
クルーゼ
「そんな艦長を戦線から外す筈がないない。ヤツの仕業だ。」
アデス
「コウキ・イチジョウですか?」
クルーゼ
「情報部でも掴めていない。
プラントの遺伝学者どもも右往左往しているそうだ。
今はシルバーウインドに直ぐに合流して情報を聞き出すしかない。
全速力で向かうんだ。」
Sideout
Side マリュー・ラミアス
ノイマン
「方位45、マーク10、アルファへ、進路修正完了。機関60%。」
光輝
「機関100%で向かえ、先遣隊に補給済みだと伝えて、転身させるように伝えるんだ。
こちらのコースを伝えて停船せずに合流する。」
マリュー
「機関100%。」
ノイマン
「は!」
マリュー
「でもどうして?」
光輝
「索敵はバルキリーに任せるんだ。今は少しでも時間が欲しい。
全速だが周りの警戒は、しなくても良い。
クルーゼは1指揮官だが戦略性にも富んでいる。
ムーお前も精進しろよ。
チームの指揮にも戦術だけでなく戦略性を持った方が良い。
特に特務行う人間は戦略眼が必要だ。
自称『不可能を可能にする男』だろ。」
「「ぷっ。」」
フラガ
「一々俺に振るな。」
マリュー
「先遣隊も了解してくれたわ。」
これでやっと安心だな!と声を掛け合っている。
光輝
「何安心しているんだ。やる事あるぞ。
各自、本隊との合流までに報告書作成しておけよ。
学習システム使えなくなるぞ、各自の分は作って置いたから理解しておけよ。
残業申請書もあるからボロが出てカットされないように。
艦長には先遣隊への報告書と本隊に合流したときの、私の分の報告書も添付してある。
学習システムがなかったら1日作業では済まなくなるからな。」
マリュー
「げっ!ナタル艦橋お願いね。自室に戻る。」
光輝
「女性がげっ!て言うなよ。嫁の貰い手なくなるぞ。」
マリューは笑い声のする中、艦長室へ走って行った。
Sideout
その頃、ヴェサリウスでは一人の男が頭を抱えていた。
その男はラウ・ル・クルーゼである。
ジンのパイロットとシルバーウインドの艦長に事情聴き、ラクスを保護して急ぎ本国へ向かっていた。
ラクスに事情を聴こうとしたら、シルバーウインドで記録した映像を見せられた。
歓迎やライブ、追悼式などである。
ライブを早送りしようとすると止められ、自分が歌姫なのでここが良い、あそこが良いと一人騒いでいた。
自分の歌の部分はリピート繰り返し光輝のアレンジを誉めまくる始末。
3時間以上の映像を見せられ、報告書を書いている。
これ俺の仕事なのかと呟きながら彼の苦難は本国に着くまで続いた。
遠い宇宙でざまーみろ!ラウ・ル・クルーゼと一人の男が言っているのを彼は知らない。
マオ曹長は無事にシルバーウインドでプラントに入った。
これは事前にヴェサリウスに潜り込んだミスリル隊員がハッキングして、
入国管理の改ざんと軍のマオの経歴をねつ造した事による。
それを知った光輝は、思惑通りに進んだ事を喜んだ。
後書き
何故かこの話が一番集中できた。(笑) 普通は誤字チェック3回、今回5回。
次話は原作にない。プラントでのミスリルの活動をかければ…。「プラント潜入」(仮)
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