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GARO はぐれ騎士 真章

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第二話 古代王

第二話 古代王


暗黒の大都会・・・静寂な夜ビルの屋上からそれを見つめる闘真の姿が・・・

「悪い気は・・・感じられないな」

『ああ・・・ホラーの気配も大なり小なり想念は感じられねえな』

はぐれ騎士として管轄の枠を飛び越えて活動する闘真は取り逃がされたホラーなどを狩っていた。

この日は特にそう言ったホラーなどが居なかったため帰路についた。静かな夜のビル街を歩く闘真はふらりと路地裏に入っていくと人気のない砂の空き地に出て足を止めた。

「誰だ!俺に何か用か!?答えろ!!」

突然叫ぶ闘真は周囲を見回した。

(・・・何者だ・・・凄まじい殺気だ・・・鳥肌が立ちやがる)

『闘真・・・こいつは』

イルバが周囲を警戒したと同時に影が舞い降り闘真に向かって一閃を繰り出した。

凄まじい音が響き渡り砂塵が舞い、晴れていくと魔戒刀で防いでいる闘真。

「何者だ・・・貴様・・・魔戒騎士が狙いか」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

闘真の質問に答えず影は手にしていた剣で次々と斬りかかってきた。状況が見えない闘真は魔戒刀や見切りを駆使し状況把握に努めるのだが・・・

その時だった!

「は!!」

「なに!?」

影は口から何かを発した・・・それは正しく・・・

「想念!?」

人の想いの結晶である想念を発した影に混乱した瞬間。影は闘真に一閃を浴びせようとした瞬間。

「く!!」

闘真は魔戒刀を握り影に向かって一閃を浴びせた。影はその一閃に跳び上がりビルの屋上に着地すると月明りに照らされその姿が露わになった。

不気味な紋様が描かれた鎧に身を包んだ男。

鎧の男は闘真に斬られた傷を見て笑みを浮かべると紋様の描かれた刃の剣を鞘に納めその場から立ち去った。

そして闘真も・・・

「・・・あいつ・・・いて」

左腕に傷を負わされていた。


闘真の山小屋

「あんた・・・また誰かに怨み買ってきたの?」

自宅でもある山小屋で闘真の従者である女性・若葉が傷の手当てをしていた。

「いや・・・知らないな」

「はぐれ騎士の行動を気にくわない騎士じゃなさそうだし」

「ふ~ん」

薬草の調合をするべくすり鉢を探すのだが・・・

「あれ?すり鉢は?」

「この間割ったな」

そう言って若葉はやれやれと言った表情で薬草を噛み始めた。

「何やってんだお前?」

「らいごのひゅひゃん(最後の手段)」

そう言って若葉は口から噛み込んだ薬草を出し闘真の傷口に当てその上から包帯を巻いた。

「もうちょっと手段なかったの?」

流石に他人の口から出した物を当てられたのは気色が悪いのであろう闘真。

「こうしないと薬草の効力が出ないの・・・すり鉢割った自分を恨むのね・・・大体いつも人の事嫁扱いしてるんだから我慢しろ」

そう言った若葉は闘真の治療を終えると持ってきていた荷物から竹の皮の包みを取り出した。

「何それ?」

「え?鹿肉♪猟師さんに貰った」

包みを開けるとかなり入っている鹿肉。

「そんなに貰っても保存できないだろ」

「じゃ冷蔵庫くらい買いなさいよ・・・それくらいの蓄えはあるんでしょ?」

「この家に電気が通ってると思うか?」

生活文明が時代劇レベルの闘真。文明が苦手なのか人付き合いが苦手なのか文明に関わるものがほとんど無いのだ。

「しゃあない・・・けどねそういう時は古き良き時代に燻製という保存方法があんの?んじゃ裏庭の畑から材料取ってきて」

「へいへい」

そう言って小屋の裏庭にある小さな畑から必要なだけの野菜を収穫する闘真はそのまま井戸でたわしを持って洗い始めるのだった。

『お前・・・魔戒騎士廃業しても生きていけそうだね』

「人付き合いは苦手な方なんで・・・自分でやれば・・・タダだ」

『あ・・・そう』

イルバにツッコミを入れられながら洗った野菜を若葉に持って行くと鹿鍋を作り始めながら疑問に思っていたことを聞いてみた。

「そういえば闘真・・・あんたそろそろ弟子取れば?」

はぐれ騎士としてある程度の名を挙げた闘真。その経験ゆえに誰かを指導しても良いのではと考えた若葉だが・・・

「・・・俺が師匠に向いていると思うか?」

「・・・全然向いてない・・・むしろそんな酔狂な奴いたらお目にかかりたい・・・そういえば【最初】のお師匠さんに習ったらどうなの?」

「あの人を師匠って呼んでいいのかな・・・十日教わっただけだし」

師に関することに思うことがある為、師弟関係を取りたくないと思っている闘真は黙って出来た鹿鍋にがっつくのだった。





ある町の花屋

「♪~♪~」

少女が店内で花束を作っている時だった。

背後に気配を感じ振り返ると鎧の男の姿が・・・

少女は恐怖で足がすくんだその時鎧の男は女性に手を掲げ何かを打ち込んだ。

・・・その夜

いつも通り闘真が管轄の枠を飛び越え街を散策しているとイルバが何かの気配を感じ取った。

『闘真・・・変な気配を感じるぜ・・・ホラー・・・いや人間が中途半端に混じってる』

「・・・え?」

闘真がイルバの案内で訪れたのは昨夜鎧の男と一戦交えた路地裏だった。

周囲を見回すとそこに蹲る少女の姿が・・・

「ウ・・うううう!!」

「どうした?大丈夫か?」

苦しそうな少女に駆け寄ろうとする闘真。その時イルバが叫んだ。


『闘真!よけろ!』

警告も虚しくいきり立った少女は闘真に向かて手を振りかざすと凄まじい斬撃が放たれた。

咄嗟に魔戒刀で防ぐ闘真だが少女の手は追撃をしようとするが・・・

その攻撃は繰り出されない。

『いや・・・ヤダあ!!』

明らかに普通ではないこの事態にイルバが相手を探り始めた。

すると・・・

『闘真・・・彼女はホラーに憑依されている』

「なに?じゃあ乗っ取られたのか?」

『いや・・・憑依が完全じゃない・・・陰我も感じない・・・誰かが無理矢理ホラーを憑依させたんだ』

イルバの言葉に驚く闘真だが少女は追撃の手を止めようと必死に抵抗するが苦しさのあまり闘真へ攻撃を繰り出してしまう。

『たすけ・・・うえああああああああああ!!』

『どうする闘真・・・ホラーに憑依された者は斬るそれが魔戒騎士だろ』

「・・・決まってるだろ」

少女の叫びとイルバの言葉に立ち上がり魔戒刀を構える闘真。

『ホラーに憑依された者は斬るそれが・・・「助けるに決まってるだろ!!」何!?』

闘真の言葉に仰天するイルバ。

憑依された人間を斬る意志を示す者は多くいた・・・だが助けると言う発想に至ったのは後にも先にも闘真ぐらいであろう。

『助けるってお前・・・ホラーに憑依された者は・・・』

「そんなの魔戒騎士の都合だ・・・確かにホラーに憑依される奴なんて人間として褒められた奴じゃないのが多い、けどあの子はホラーに憑依される陰我だってない・・・誰かに無理矢理憑依されられて苦しめられてる憑依されたからって斬り捨てるなんて・・・そんな理不尽なことがあっていいのかよ!!」

『ガアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』

苦しさのあまりホラーの姿となった少女の一撃を受け止めながらもイルバに言い続ける闘真。

「俺が守らないといけないのは掟でも魔戒騎士の都合でもない・・・その日その日を必死に生きてる命だ・・・それが出来なきゃ俺が魔戒騎士である事に何の意味がある!!・・・それに志は忘れなければいい!!」

『はぁ・・・そうだったなお前はそう言う騎士だったな・・・掟や都合より自分の信念を貫く騎士・・・はぐれ騎士・・・わかったよはぐれホラーとして協力するよ』

そう言ってイルバも相手の状態を探り始めた。

「(憑依のされ方が普通とは違う・・・それに憑依されきれていないなら綻びがあるはず・・・・・そうか!)闘真!想念だ!」

「何!?」

「あいつらを繋げているのは想念だ!だからそのまま想念で押しだせ!!」

「よし!!」

闘真が天に向かって円を描くと光が射しこみ闘真の身体を鎧が包み込んだ。

旋風騎士風狼

襲い掛かるホラーを殴り飛ばし距離を取ると自身の想念を最大限に高めると今までにない力が沸き上がった。

創世騎士の時とは違う想い。

「ゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・」

風狼の目に無数の紋様が浮かび上がると身体全体にオーラが収束し大気を震えさせる。

そして闘真の背後に光輪と眼が見開かれ・・・鎧から流れてくる想いを・・・

『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

狼の咆哮と共に【想念の雄叫び】を解き放った!!

『ヌ!ヌアアアアアアアアアアア!!』

想念の雄叫びに飲み込まれるホラー・・・だがその瞬間ホラーの皮膚が波打った。

『良いぞ闘真!外れかけてるぞ!!あの子の想念から引き剥がせ!』

『ゥゥゥゥゥウウウウウウオオオオオオオオオオオオオ!』

イルバの言葉に意志を込め想念を解き放ち続ける闘真。

そして

「う!!」

ホラーの身体から少女が飛び出た。

闘真は跳び上がり少女の身体を受け止め優しく降ろした。

だが

『キシャアアアアアアアア!!』

背後から剥がれ落ちたホラーが襲い掛かるが闘真はそのまま魔戒刀を突き刺し振り向き様に薙ぎ払いホラーを仕留めた。

同時に鎧が解除されイルバを少女に向ける闘真。

『完全に憑依からは解き放たれている・・・だが曲がりなりにもホラーに憑依されたんだ・・・肉体が滅びかかっている・・・不完全な憑依だったが故に滅びるのが遅かったようだが・・・このままじゃ』

「くそ・・・ここまで来て」

最後の最後で救えなかった・・・そう思った闘真だったが・・・

突然少女の身体を優しい光の陣が包んだ。

闘真が振り返るとそこには・・・

「よ!」

魔戒法師礼羅の姿があった。

「礼羅!この陣って・・・」

「ああそれ?最近蘇生術に凝っててね・・・時間はかかるけど・・・まだ間に合うはず」

「どうしてそんな術・・・」

「まっ・・・あたしもはぐれ者だしね・・・」

少女の事を礼羅に頼むと力を使い切ったのかその場で座り込んでしまった闘真。

すると脳裏に・・・

カ・・・オ・・・

「!!」

声が響き渡った。周囲を見回すが誰も居ない。

「何だったんだ今のは・・・」

突然の事に戸惑う闘真。

・・・その闘真を彼方より見つめる男は呟いた。

「・・・ソムニウム」

闇夜に消える男。

・・・そして・・・

「成程ねぇ~・・・あいつがはぐれ騎士か~ええもんみっけ~」

闘真を見つめる別の男の姿が・・・

だがそんな事には気付かず少女を治療するべく礼羅の庵に運ぶのであった。


翌日

「・・・・・・」

川で釣り糸を垂らしながら考えに耽る闘真は昨夜のホラーについて考えていた。

(ホラー・・・想念・・・古代の紋様・・・何なんだ・・・何が起こる)

様々なピースが出てきた今それを組み合わせようとするが繋がりを見せない。

考えに答えが出て来ない事に苛立つ闘真・・・するとその横で・・・

「闘真さん・・・もう帰ろうよ」

釣竿を手に暇そうにしている秋月クロウ君・自称闘真の弟子。

「お前さ・・・これが遊びでやってると思っているのか?」

「だってさっきから釣れないし「んじゃ今日はおかずなし」ええ!何で!?」

「あのね・・・俺ん家はお前の家と違って裕福じゃないの・・・」

「じゃあせめて修行をつけてくれよ~」

そう言ってせがむクロウ・・・すると闘真は黙って魔戒刀を差しだした。

「またそれ?」

「これが抜けたらお前の事を信用して修行でも何でもつけてやるよ」

「ぐぎぎぎぎぎ」

クロウが必死になって魔戒刀を抜こうとするがウンともスンとも言わない。

するとイルバは・・・

『お前・・・何でこんな師匠に超向いてない奴のところ来たんだ?』

「親父に勝つには闘真さんくらい型破りじゃないとダメなの!ぐぎぎぎぎぎ!!」

そう言って必死に魔戒刀を抜こうとするクロウだった。

どうも闘真の周りには変わり者が集まるようだ・・・

そんなクロウを見つめながら腕の包帯が外れかかったので巻きなおそうとすると腕に何かの紋様が描かれていた。

「・・・何だこりゃ」

 
 

 
後書き


イルバ
『他人に教えるっていうのは難しいもんだ・・・お前最初のおっ師匠さんに習ったらどうだ?次回 師匠 受け継がれし魂』
 
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