転生とらぶる
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マブラヴ
1488話
バッタ、とラピスが言ったので、慌てて俺とスレイはラピスと共に……何故かラピスの手を離さなかったイーニァも連れて、その場を離れる。
バッタ……それが何なのかというのは、言うまでもない。
俺達がナデシコ世界で得た生産プラントにより作られる機体で、一応分類的には無人攻撃兵器と言ってもいいのかもしれない。
実際、ナデシコ世界では木連がメインの兵器として使ったいたのだから。
だが、シャドウミラーの兵器として使うには、あまりにも性能が低い。
だからこそ、シャドウミラーでバッタは戦力ではなく労働力として扱われている。
それは別にシャドウミラーのオリジナルという訳ではない。
実際、木連でも人数の少なさを補う意味で労働力として使われていた。
だからこそ、シャドウミラーとしては労働力として使う事にしたのだから。
「つまり、ラピスはバッタに乗って移動してきたのか? ……未知の機体がいれば、カリンダ基地やミネルバでもその辺を察知してもおかしくないと思うのだが」
難しい表情を浮かべるスレイだったが……俺はラピスが何をしたのか分かり、溜息を吐く。
ルリと同様に、ラピスもネット世界で活動する高い能力を持つ。
シャドウミラーの機体に関しては手も足も出ないし、実戦で使われているカトンボやヤンマは完成するとアップデートしているが、労働力のバッタは数が多い事もあってそんな面倒な真似はしていない。
それらの事から考えると、ラピスがバッタを操る程度の能力を発揮してもおかしくはない。
……多分、オモイカネ辺りが力を貸したんだろうなぁ……とは思うが。
ルリ辺りはラピスの事を心配しているのは間違いないだろう。
多分、後でラピスは怒られる事になるんだろうな。
「バッタのハッキングか。また、無茶な真似をしたな」
俺の呟きに、ラピスが無言で表情を変えずに頷く。
ラピスに手を繋がれたまま連れてこられたイーニァの方は、特に何も言うことはなく、こちらの話を聞いていた。
……それにしても、ラピスはともかく、何で俺がここまでイーニァに懐かれてるんだろうな。
イーニァは霞の同類だ。
つまり、そして頭を覗かれそうになった感覚はあった。
だが……霞の時とは違い、何故か俺に恐怖心を覚えてはいない。
まぁ、あの時は俺の頭を覗こうとしていた霞に攻撃的なイメージで念を発したからな。
今回はそれをしていないのが良かったのか?
「ハッキングか。ラピスの能力であればそんな事も可能だろうな。だが……何でこんな真似をした?」
スレイが溜息を吐きながら尋ねると、ラピスは相変わらず表情を変えないままで口を開く。
「アクセルに会いたかった」
小さく呟かれたその言葉に、思わず溜息を吐く。
いや、好かれているのは嬉しい。だが、それでもラピスがこんな無茶をするとは思ってもみなかった為だ。
「無茶をしたな」
「アクセルに会いたかったから」
また同じ事を呟くラピス。
……さて、どうしたものだろうな。
いや、勿論ラピスがここに来る事が出来たのは、ミネルバのおかげだ。
このまま影のゲートを使って、強引にホワイトスターに戻すのは難しい話ではない。
だが……こうしてバッタに乗って移動してきたという事はこのマブラヴ世界にある俺達シャドウミラーの拠点であるオーストラリアの基地から、このカリンダ基地まで普通にバッタで飛んでくるのが可能だという事になる。
正直なところ、そうである以上はここで無理にホワイトスターに戻しても、また同じ事が繰り返されるだけな気がするんだよな。
バッタの移動速度は、そこまで速い訳ではない。
飛行距離だって、それこそオーストラリアから日本に向かうというのにはかなりの時間が掛かるだろう。
そもそもカトンボやヤンマの艦載機的な扱いをされていた機体なんだから、移動そのものはカトンボやヤンマに乗ってしていただろうし。
だが……それでも、このカリンダ基地までやって来るのは難しい話ではない。
このまま強引にホワイトスターに戻しても、何だか最終的にはまたこっちにやって来そうな気がするんだよな。
それと同じ事を考えたのだろう。スレイは小さく溜息を吐くと俺の方へと視線を向けてくる。
「どうする、アクセル。このままラピスをホワイトスターに帰しても、間違いなくまたやってくると思うぞ」
「ラピス、帰っちゃうの?」
俺達の話を聞いていたのだろう。少し悲しそうな表情でイーニァが呟く。
「どうだろうな。そもそも、ラピスはここにいる人物じゃないんだよ」
今はまだ準備期間中ではあっても、近いうちにSEED世界にあるオーブの学校に転入予定でもある。
その準備とか……いや、そもそも準備とかは殆ど必要がないのか?
勿論ラピスが学校で使う各種道具を購入する必要はあるだろう。
だが、逆に言えばそれくらいだ。
で、その類の道具は買おうと思えばSEED世界で購入するのは難しい話ではない。
それどころか、他の世界で購入する事だって出来るのだから。
そう考えれば、無理して帰す事も……
「アクセル、何か妙なことを考えてないか? ラピスはホワイトスターに帰すべきだろう?」
当然と言った様子で告げてくるスレイの言葉に、どうするべきかと迷いながら言葉を返す。
「けど、このバッタがいる以上、もしラピスをホワイトスターに帰しても、まだ戻ってくると思わないか?」
「それは誰かに……そうだな、ルリ辺りに見て貰えばいいのではないか?」
ラピスの姉代わりを自称しているルリだけに、当然ラピスがいなくなった事に今頃は気が付いているだろう。
そうなれば間違いなく心配している筈だ。
「取りあえず、ホワイトスターに戻るかどうかを考えるよりも前に、向こうにラピスの無事を知らせておいた方がいいだろうな。特にルリは心配しているし」
黙って俺の言葉を聞いていたラピスだったが、相変わらず無表情のままでそっと視線を逸らす。
何だ? ラピスにしては珍しいな。
そう思った瞬間、まるでそのタイミングを待っていたかのように、ホワイトスターへと連絡を取ろうとしていた俺の通信機が着信を告げる。
このタイミングの良さは……と考えつつ通信機のスイッチを入れると、映像スクリーンが浮かび上がった。
そして映像スクリーンに映し出されているのは……案の定、ルリの顔だった。
『アクセルさん。そちらにラピスがいますよね?』
いますか? という質問ではなく、いますよねと断言しての問い掛け。
ルリにしては珍しいその態度を考えれば、それだけでルリが怒っているが理解出来た。
あー……うん、これはどうしたものやら。
そっと視線をスレイへと向けるが、その視線は逸らされる。
次に何となくこの場にいるイーニァへと視線を向けると、イーニァは小首を傾げる。
ラピスへと視線を向けると、相変わらず無表情のまま。
助けになる人物がどこにもいない……そう考えると、俺は諦めの表情を浮かべて映像スクリーンに映し出されているルリに頷きを返す。
「ああ、よく分かったな。いや、ルリならラピスの行動を予想しても当然かもしれないが」
『……別に凄くありません。こんな手紙が残っていれば、誰でも分かります』
そう言ってルリがラピスの書いた手紙と思しきものを映像スクリーンに映し出す。
そこには、『アクセルに会いにいきます。探さないで下さい』とだけあった。
……うん、この手紙を見たルリが俺に連絡をしてきたのは当然だな。
向こうにとってはある意味当然の出来事だった。
「あー……うん。いるぞ。俺もついさっき見つけたところだ。どうやらバッタをハッキングして足にしたらしい」
『……そうですか。ラピス、一体何を考えているのですか? もう十日くらいで貴方も小学生になるのですよ?』
言い聞かせるように告げるルリ。
そこからは、最初に会った時の冷たい表情は一切感じられない。
それこそ、普通の子供……いや、少女のようにしか見えなかった。
それもこれも、ミナトのおかげだな。
ミナトが面倒を見て、その結果人間らしさを得ていった。
今はラピスもかつてのルリと同じように……いや、育ってきた経験から考えると、それ以上に無表情で感情を表に出さない。
だが、このままルリが面倒を見て……そして俺の家で暮らして、レモン達と一緒に過ごせば、間違いなく感情を取り戻すだろう。
これは希望とか予想とかではなく、純粋に俺の確信。
『ラピス、いいですか? これから学校に通うのですから、ラピスも団体行動というものをですね』
「嫌」
説教をしようとするルリだったが、ラピスは短くだが即座にそう答える。
こんなに懐かれて、嬉しいのは間違いないんだが……いや、本当にどうしたらいいんだろうな。
『アクセルさん、アクセルさんも何とか言って下さい。アクセルさんが甘やかすから、ラピスも我が儘に……』
「何よ、ラピスがそうしたいって言ってるんだから、そうさせてあげればいいじゃない。少しくらい、いいでしょ!」
ラピスを庇うように、イーニァがラピスの前に出てルリに言い返す。
そんなイーニァの姿に驚いたのだろう。ルリは映像スクリーンの向こう側で一瞬目を大きく見開く。
幾ら感情を表に出すようになっても、ここまでルリが驚きの表情を浮かべるというのは少し珍しい。
また、そっちだけではない。イーニァがラピスを庇ったのにも驚いてしまった。
ラピスを俺の下に連れてきたのだから、決してイーニァとラピスは相性が悪い訳ではないのだろう。
だが、まさかイーニァがラピスを庇うような真似をするというのは完全に予想外だった。
……いや、でも考えてみれば不思議でもないのか?
元々イーニァは年上のクリスカに過保護なまでに接されていた。
そんなイーニァにとって、自分が庇うべき相手……面倒を見るべき相手がいるというのには、憧れのようなものがあったとしてもおかしくはない。
クリスカの事を好きだからこそ、自分もクリスカのようになりたいと。
そう考えれば、今のイーニァの行為を見ても納得は出来た。
『アクセルさん、この人は誰です?』
当然のようにルリはイーニァの事を知らない為、そう尋ねてくる。
「イーニァだ。プロミネンス計画に参加しているソ連軍の軍人……だよな?」
イーニァの見掛けは、それこそラピスとそう変わらない。
その為にこう尋ねたのだが、尋ねられたイーニァの方はそんな俺の態度が気にくわなかったのだろう。頬を膨らませてこちらに視線を向けてくる。
「当然でしょ! 私はソ連軍の軍人なんだから!」
「……らしいぞ」
真っ平らな胸を張って告げるイーニァ。
戦術機に乗るパイロットは、あの特徴的なパイロットスーツを着るのだが……正直なところ、イーニァがああいうパイロットスーツを着ても需要はあまりなさそうだ。
いや? ある一定の層には需要がありそうだな。
ただ、そういう奴はクリスカに速攻退治されることになりそうな気がする。
『軍人、ですか。まぁ、私も人の事は言えませんが』
ルリもこの年齢でナデシコに乗っていた人物だ。
それだけに、年齢の低さからどうこうと人の事については何も言えない。
だが……そんなルリから見ても、イーニァは幼いという印象なのだろう。
「あー……まぁ、取りあえずその辺にしておけ」
子猫同士の喧嘩、もしくはじゃれ合いを見ているような感じになった俺がそう呟くと、イーニァとルリ、ラピスの3人は俺の方へと一斉に視線を向けてくる。
これは、俺が責められているのか?
いや、けど何で俺が? ……こういう時は、俺が何かを言っても大抵無意味だから、何も言わない方がいいな。
そんな俺の様子に満足したのか、ようやくスレイが助け船を出してくる。
「ルリ、その辺にしておけ。アクセルに何か落ち度があった訳じゃないし、ラピスが自分の父親であるアクセルに会いたいのもおかしくはない」
「え? アクセルってラピスのお父さんなの?」
「父」
後ろでイーニァとラピスのそんなやり取りが聞こえてくるが、取りあえずスルーしておく。
父、と言う言葉に少しだけルリの表情が曇る。
そう言えば、以前俺がナデシコと別行動をしている時、ナデシコ世界のどこぞの国にルリの両親がいるという話があったとか何とか。
どんな国なのかは知らないが、それでもルリがミナトと共にシャドウミラーにいるという事は、つまりはそういう事なのだろう。
向こうにルリの求めるものは存在せず、ルリが求めたのはミナトという人物の温もり。
これがいい事かどうかは、俺にも分からない。
何だかんだと、その何とかという国の人物がルリの実の両親であるというのは間違いのない事実なのだから。
だが……それでも、俺としてはこうしてルリがミナトを選び、シャドウミラーに来て、ラピスの姉代わりをやっているというのは、決して悪い事ではないと思う。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1213
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