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ガンダムビルドファイターズ ~orbit~

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動き出す絶望 前編

 
前書き
どうも。心はいつも自由(フリーダム)です。ここでいきなりですが、最近私の身近で起きたことを話したいと思います。友人と購買へと向かった時の話です。購買には人が多く、さながら天之川学園購買戦争みたいでした。しかし、私と友人はその人混みの最後尾に行きましたが、ある事態が起きました。それは、次の通りです。

『!会長のお通りだー!! 』

( ; ゜Д゜)!!

隣のクラスの人がそう言うと、人混みの中に道が出来ました。ちなみに、会長というのは一緒にいる友人です。いやー。驚きましたね。まさかネタが現実になるとは…………世の中何が起こるか分かりませんね。

まあ、そんな話です。では、前書きはここまでにし、本編をどうぞ。 

 
「………………んあ? 」

気づいたら、いつもの白い空間に倒れていた。頭もぼんやりしており、とりあえず例の男を探そうと立ち上がった。

「いねぇな…………てか、いつの間に気ぃ失ってたんだ? 」

頭を掻きながら歩いてみるも、一向に見つかる気配がしない。だが、男の代わりに気になったとしたら、この白い空間の所々が黒くなっていることだ。

「……そこにいたのか」

しばらく歩いて行くと、ようやくいつもの男を見つけた。男は膝を抱えて座り込んでおり、こちらに気づくと顔だけを振り向いてきた。

『ん?やあレイ。どうかしたのかい? 』

「どうかしたのかい?じゃねぇよ。どうせ今回はお前が原因なんだろ? 」

『あはは。そうとも言えるし、そうでないとも言える』

「だから、意味分かんねぇ言い回しはいい。いいからストレートに言え」

『いやいや。だから言葉のままだって。君は頭が悪いの?分からないのは、君が理解しようとしてないだけだ。何でもかんでも分かりやすく伝えてもらえると思うなよ』

「…………まあいい。大雑把に解釈すると、お前()原因ってわけなんだろ? 」

『大雑把に解釈すればね』

「じゃあ、他の原因はなんだよ?俺は今『お前()』ってあえて言った。お前はそれを肯定した。つまり、他にも原因があんだろ? 」

『君は頭がいいのか悪いのか分からないね』

男は立ち上がり、俺の方へと指を指してきた。

『今は気分もいいし、特別にヒントだ。ここは君と僕しかいない。そして、君と僕以外は来れない。更に、僕も原因の一部だ。ここまで言えば、どんなに馬鹿でも分かるだろ? 』

「…………俺って訳か。けど、別に俺は何もしてねぇ。原因になる要素も見当たらねぇぞ? 」

『だろうね。だって、君は忘れているんだから』

「妙に含みのある言い方だな。もしかして、俺の記憶喪失に関係あんのか? 」

『察しがいいね。けど、記憶喪失が関係無しでも、心当たりはあるだろ? 』

「…………? 」

『まあいいか。ところで、僕が来る前に、君はこの空間を歩いてた? 』

「ん、そうだけど」

『初めて歩いてみて、どうだった? 』

「どうって言われて…………なんか白い空間が黒くなってんなぐらいだったけど? 」

『へぇ~。まあ夢なんだし不思議じゃないだろ? 』

「確かにそうだけどよ…………何て言うか、最初はもうちょう白かった気がすんだよ」

『夢だし、そんなものでしょ? 』

「…………おい。お前、いったい何が言いたいんだよ?わざわざこの空間について聞いたってことは、何かあんだろ? 」

『ははっ。ようやく気づいたか。まあ、記憶喪失関係無しに忘れてる君に言うけど、ここはレイの根本的部分に触れる所だ』

「…………そういえばそう言ってたな。じゃあ、その俺の根本的部分に触れる所が、どうして黒くなってんだよ? 」

周囲を見渡しながら、男に質問する。

『黒くなる原因はなんだと思う? 』

「質問を質問で返すんじゃねえよ」

『いいから答えろよ。君はその質問の答えを知りたがっている。けど、僕が答えるとは限らない。さて、理解したか?答えるも答えないも、僕の気分次第って訳だ。
じゃあ、もう一度聞くよ?黒くなる原因はなんだと思う? 』

「このやろう………………」

冷静になれ。コイツは、何故か俺の知らない事を知っている。それを聞き出すために、まずコイツの質問を考えなきゃいけねぇ。

黒くなる原因…………思い出せ。俺はコイツとは夢で会ったのは三回目だ。最初の一回目は、いきなりコイツに話をされて、内容が頭に追い付かなかった…………二回目は………そうだ。確か、大会前日だ。その時は、質問したけど全部はぐらかされた。けど、夢が覚める直前に、この白い空間が黒くなったんだ。
そして三回目の今…………そう。二回目と比べて、より白い空間が黒くなっている。

「…………まさか、お前が夢に出てくるたびに黒くなってる訳じゃねぇよな? 」

『当たらずとも遠からずだね』

「……そうかよ。そういえば、記憶喪失後の俺は、今みたいな事やあの頭痛。そして、靄がかかった映像が頭に流れる事は無かった。けど、それが起きるようになったのは最近だ。

答えろ。お前は、俺の何を知っているんだよ?お前は、いったい俺に何をした? 」

『ははっ。さあね?けど一応、全部知ってるよ。ただし、あの日からの出来事はね』

「あの日? 」

『レイもよく知っている日だ。今は覚えてないようだけど、正しくは()()()()()()()()のかな? 』

「はあ?なんでそうなんだよ? 」

『分からない?例えば、人は思い出したくない、忘れたい記憶とかあるだろ?けど、そういう記憶に限って忘れられないんだ。いつまでもどこまでもね。

ただし、例外はある。その人の根本的部分に触れる、その人を左右する程の記憶の場合、本能的に、理性的に記憶を追いやろうとするんだ。まるで、()()()無い()記憶としてね』

「…………つまりなんだ?俺にとってその日は、忘れたい程のものって言いたいのか? 」

『それについては、レイにしか分からない。僕はあくまで、あの日からの出来事しか知らないってだけだ』

「そうかよ。じゃあ、そのあの日ってなんだよ? 」

『それは僕の口からは言えない』

「いいから言えよ。別に言ってもデメリットはねぇだろ? 」

『あるよ。このタイミングで知っても、レイは立ち直れる可能性がある。もっと絶望している時じゃないとね』

「……性格悪ぃなお前」

『ははっ。安心しなよ。レイはさっき、靄がかかった映像が頭に流れるって言ったでしょ?僕は実際に見てないから分からないけど、あの苦しみようだと、多分あの日についての映像かもね。
ちなみに、おそらくその原因は、レイがレイの根本的部分に触れているからだよ。そう。小さい頃からある、レイの根本的部分に』

「…………なあ。俺の根本的部分ってなんだよ?お前はそれを知ってるんだろ? 」

『一応ね。けど、教えたりしないよ』

「ヒントは? 」

『あげないよ』

「あーそうかよ。まあ、映像がヒントってのは分かった。じゃあ次だ………………お前の目的はなんだ? 」

『それについても答えないよ』

「じゃあ、お前の言う依り代ってのは、どういう意味で言ってんだ? 」

『おっと。そう来るか。意外と覚えてるんだね』

「いいから答えろよ」

『あはは。まあ別に答えてもいっか。僕の言う依り代ってのは、現実で例えると人形かな? 』

「?もう少し分かりやすく言えよ」

『分からない?ほら、ホラーとかでよく幽霊が人形に憑依するってやつ。一人かくれんぼとかでよくやるだろ?あれと同じ意味だ』

「…………なるほどな。つまり、俺の体にお前が憑依するって意味で捉えていいんだな?そんな漫画やアニメみたいな事が出来るっていうのか? 」

『どうだろうね。少なくとも、二、三度成功しているよ? 』

「…………は? 」

『おっと。口が滑っちゃったか。まあいいか。さてレイ。最初に出したヒントは覚えてる? 』

「…………一応な」

『じゃあ言ってみてよ』

「…………過去から現在にいたる軌跡を振り替えればいい。一度か二度は、心当たりがあるはずだ…………だろ? 」

『その通り。さっき口が滑っちゃった事と繋がっているよ。君があの日から今に至るまで、必ず心当たりがある。よく振り返ってみるんだね』

「………………なあ。お前はいったい、何がしたいんだよ?わざわざ俺の夢に出てきて、俺をどうしたいんだよ? 」

『そうだね。第一段階として、レイを……………………




















壊すことでもしようかな? 』

「…………やらせねぇよ。出来るもんならやってみろ」

『威勢は本当にいいね。けど、それは無駄だ。確実に君の精神は蝕われている。遅いようで速いペースでね』

「…………まさか、この黒いのがそうだって言いてぇのか? 」


『当たらずとも遠からずってところだね』

「そうかよ」

『さて、残念ながらもう時間切れのようだ。そろそろ目覚めてもらおうか』

男は右手で指パッチンをすると、黒くなっていた空間が、より広がっていった。

『そうそう。僕以外にも知ってる人達はいるよ。それは、とても身近な人物だ。その人達は、あえて君に黙っている。レイがレイの過去を思い出させないようにね…………』

「っ!どういうことだよっ!? 」

手を伸ばして男を掴もうとする。しかし、男はニヤニヤしながら、煙のように消えていった。





ーーー--





「はっ!? 」

目を開けると、俺は見知らぬ天井へと手を伸ばしていた。

「どこだここ? 」

上体を起こして周囲を見渡すと、どこかの医務室にいるようだ。

「てか待て。なんで俺はこんな所で寝てんだっけ? 」

思い出そうと頭に手を当てると、天山学園とバトルしていたことが頭に過る。しかし、なぜか途中から記憶が全くない。

「確かサクラがやられて、ヒメラギが相討ちして…………それと、セシリアもやられたんだ。そこからは…………」

そこからは、全く思い出せない。とりあえず、医務室から出て皆に聞いてみっか。

ベッドから抜け出して医務室を出ようとすると、誰かと激突した。

「いって! 」

「あっ、悪い。大丈夫か…………ってカグラか。もう起きても大丈夫なのか? 」

「サオトメかよ………」





ーーー--





「ほらコーヒー。微糖でよかったか? 」

「ああ。サンキュー」

椅子に座っていると、サオトメから缶コーヒーを渡され、プルタブを開けて口に運ぶ。サオトメは壁に寄りかかり、俺を見てくる。

「カグラ。聞きたいことがあるんだが、聞いてもいいか? 」

「なんだよ? 」

「お前が飲んでる薬って、なんだ? 」

「ん?ああ。俺もよく知らねぇけど、定時にこの薬を飲めって、耳にタコが出来るほど言われてっから飲んでるだけだ」

「誰にだ? 」

「孤児院でお世話になってる人からだよ。それがどうしたってんだよ?言っとくが、別にヤベェ薬とかじゃないのは確かだかんな」

「それぐらい分かってる。飲んでたら、もっと分かりやすいからな。ちなみに、その薬は今持ってるのか? 」

「?ああ、一応ポケットにいつも入れてっから」

「見せてくれないか? 」

「?ああ」

ポケットから薬を取り出し、サオトメに渡す。

「 !…………成る程な。そういうことか」

サオトメは薬を見ると、一瞬驚きの表情をしたが、すぐに一人納得したような表情になる。

「ありがとうな。返すぞ」

薬を受け取り、ポケットの中へと入れる。

「そういえば、試合はどうなったか分かるか? 」

「…………勝ったぞ。一応な」

「?妙に含みのある言い方すんな。まさか試合でなんかあったのかよ? 」

「いや、大きな出来事は無かったな。強いて言えば、試合終了後にお前がぶっ倒れた事ぐらいだ」

「…………試合終了後にか? 」

「ああ。試合が終わった途端に、糸が切れたようにな。他の皆も心配してたぞ」

「……心配かけて悪かった」

「それは俺じゃなくてチームメイトに言え。ちなみに、今は観客席にいるはずだ。今から行けば間に合うかもな」

「分かった。わざわざありがとな」

そう言い、走って皆のところへと向かう。

「…………サオトメは試合終了後って言った。けど、俺は試合の途中から意識は無かった。もしかしたら、アイツが言ってたのはこの事か」

だとすると、心当たりはある。意識はないのに、なぜか物事が進んでいたことが。





ーーー--






カグラの姿が見えなくなったのを確認し、一人呟く。

「まさか、実際にあの薬を飲んでる人間が近くにいるなんてな。正直信じたくないが、見間違えるはずがないもんな」

アイツが飲んでた薬は、麻薬とかそういう類いではない。けど、これはあまりにも厳しい現実だ。
だが、カグラは薬については一切教えられてない。孤児院の人なりに、教えられない理由があっての事かも知れないな。

「けど、これであの原因はなんとなく分かった。あとは本当かどうか確認するだけだな」

缶コーヒーを飲み干し、ゴミ箱に捨てる。

「アイツの───は、アイツの───い」





ーーー--





「はあ……はあ……」

観客席の所へと着くと、ヒメラギ達が試合を観ていた。

「ん?…………カグラ!? 」

「もう大丈夫なの? 」

「レイ…………ムリしてナイ? 」

「いきなり倒れたから、驚いたぞ」

「ああ、大丈夫だ。心配かけて悪かったな」

…………気のせいか?なんか、心なしか距離を置かれてる感じがするな…………。

「カグラ君、とりあえず座ったら? 」

「あ、ああ」

アマネに促され、隣の席に座る。

「なあアマネ。俺、倒れた以外でなんかしたっけ?なんか距離を置かれてる感じがすんだけど」

「…………気のせいでしょ? 」

「…………その様子で気のせいって言われても納得いか───」

「気のせいって言ってるでしょ?これ以上追及してきたらセクハラされたって叫ぶから」

俺が言い切る前に遮られた。

「───っああ、分かったよ! 」

俺は若干イラッとし、追及するのを止める。
そのまま試合へと目を向けようと顔を動かした際に、ヒメラギ達のなんとも言えない表情をしていたことを見逃さなかった。

「なんなんだよいったい…………」

 
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