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真田十勇士

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巻ノ六十二 小田原開城その四

「あれこれ言っても仕方ありませぬし」
「それならば」
「うむ、この戦の後はな」
 関東に入ればというのだ。
「政に専念しようぞ」
「そして、ですな」
「そのうえで力を備え民を豊かにする」
「そうしていきますか」
「力があればよりよき政ができる」
 領国のそれがというのだ。
「そしてまた国を豊かに出来る」
「では」
「その様に」
 家臣達も応えた、何はともあれだった。
 家康は関東に入った時のことを今から考えていた、本多正信の言葉でそれならそれとして向かうことにした。しかし。
 秀吉は秀長にだ、さらに言っていた。
「さて、徳川殿はどうすると思う」
「政に専念されましょう」
 秀長はすぐに答えた。
「そしてです」
「またじゃな」
「力を備えられます」
「だからじゃな」
「そうはならぬ様にです」
「あれこれと手を打つ」
 秀吉は自分から言った。
「そうあるべきじゃな」
「はい」
 まさにという返事だった。
「何だかんだとでもです」
「理由をつけてな」
「徳川殿の力を削いでいき」
「そしてじゃな」
「強い目付も置きましょう」
「ではやはり」
「はい、会津にです」
 その地にというのだ。
「忠三郎殿を置き」
「わしが言った通りにじゃな」
「備えとし」
 そしてというのだ。
「動けぬ様にしましょう」
「やはりそれがよいな」
「そして忠三郎殿はです」
 秀長はさらに言った。
「仙台に転封となる伊達殿にもです」
「備えとしてじゃな」
「置きましょう」
 即ち政宗も監視させるというのだ。
「是非」
「それがよいな」
「そう思いまする」
「二重三重に備えを置く」
「それが肝心かと」
「まさにそうじゃな」
「では」
 秀長は兄に問うた。
「それがしの考えで」
「いく、その様にな」
「実は西国はです」
 秀長は西国のことも話した。
「毛利、長宗我部、島津と強い家がありますが」
「しかしじゃな」
「どの家も力はかなり落とせましたし」
「別に野心もな」
「ありませぬ、それは上杉家も同じです」
「しかし徳川家と伊達家はな」
「そうではありませぬ」 
 それ故にというのだ。
「だからこそです」
「竹千代殿は関東に移すことに御主もじゃな」
「賛成です、そして拠点を江戸にせよと言われたことも」
「よいか」
「江戸には行ったことはありませぬがあの辺りは平野です」 
 そこにあることはわかっているというのだ。 
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