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エクリプス(機動戦士ガンダムSEED編 )

作者:cipher
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第04話 決断

 
前書き
前話の続きです。 

 
Side キラ・ヤマト

ミリアリア
「キラ、コウキさんと連絡を取って。
みんなも良いよね!」

全員が頷く。

キラ
「分かったよ。」

キラは光輝から借りたヘッドセットを付け通話を行う。

キラ
「コウキさん聞こえますか?キラです。

はい。話があるのですが…。


分かりました。
はい、10分後ですね。

分かりました。」

キラは通話を切ってヘッドセットを外した。

キラ
「コウキさんは今港にいるので、10分程したらこちらに来るそうだ。」

ミリアリア
「何で港に?」

キラ
「何でも、ザフトの爆弾が爆発してミスリルの艦が入港出来ない状態で、
片付けるのに8分掛かるとの事だそうだ。」

ミリアリア
「ミスリルって、コウキさんの所属している組織の名前よね。
しかも8分って中途半端な数字ね。」

キラ
「僕にも詳しく分からないけど、魔法を使っているそうだよ。」

トール
「魔法?さっきモビルアーマーを直してたなぁ。」

ここにいる全員は光輝が格納庫でメビウス・ゼロを修復する魔法を見ている。

ミリアリア
「うん。凄かったわ。一瞬で直したもの。」

トール
「カッコ良かったなぁ。あの拳銃。」

サイ
「コウキさんはシルバー・ホーンって言っていたな。」

キラ
「そう言えば、コウキ・イチジョウって日本名かな?」

カズイ
「日本って歴史で習ったオーブの旧宗主国だよね。」

サイ
「キラが言うのなら、そうかも知れないなぁ。
ヤマトも日本名から来てたよね。」

キラ
「良く分からないけど、そうみたい。
それに黒髪と黒目、コーディネイターだから国は分らないけど。
コウキさんが『コウキ・イチジョウ』って発音、少しイントネーションが違っていた。」

ミリアリア
「私も思った。少し発音しづらいのよね。
後で聞いてみましょう。」

Sideout



皆が話していると丁度、10分たった。
キラ達のいる部屋の通路側が光始めた。皆が振り返る。
眩しくない程度だ、光が収まると光輝が立っていた。



Side キラ・ヤマト


光輝
「ジャスト10分。
みんな、驚いているな。
転移魔法だよ。」

キラ
「もう!何処から突っ込めばいいか、分かりませんよ。
確かに呼び出したのは僕達ですが?」

光輝
「それは、慣れてもらうしかないなぁ。
これでも魔法陣を見せたり、光らせたり気を使っているんだよ。」

「「はぁ。」」

光輝を除く全員が溜息をついた。

ミリアリア
「コウキさんって日本人ですか?」

光輝
「よく気づいたね。日本出身だ(但し、異世界のとは心の中でつぶやく)。
現在の国籍はなしだけどね。」

ミリアリア
「えっ!国籍はないんですか?何で?」

光輝
「ミスリルって名前聞いたことないよね。
本部は海の下さ。」

キラ
「海の下って、海底の事ですか?」

光輝
「おっ惜しい。正確には海底の地中の中さ。海底プラントと呼んではいるけどね。
場所は教えられない。
ソナーでも発見出来ないから、一番安全な場所だよ。
宇宙コロニーも今回の様に攻撃されるし、資源も輸入しなければならない。」

トール
「ミスリルに入れば行けるのですか?」

光輝
「入ればね。但し、地上には簡単に戻れなくなるよ。
機密保持の関係から本部の場所は、極秘だからね。
敵に捕まったら拷問されるだろ。
本部の場所はレベル10の最高ランク機密だよ。」

トール
「残念。ところで僕は魔法が使えますか?」

ミリアリア
「今はそんな事を聞くんじゃなくて!」

ミリアリアは脱線するトールをたしなめた。

光輝
「残念ながら使えないよ。
遺伝子操作すれば使える様になるけどね。
但し、その遺伝子操作はミスリルでも上官クラスにならないとね。
君達言うコーディネイターは生まれる前に遺伝子操作されているだろう。
ミスリルでは生まれた後、いつでも遺伝子操作が可能なんだ。
ただ肉体の変化は細胞が生まれ変わる半年ほど掛かるんだ。
肉体のスペックだけならサイボーグ手術、我々は義体と呼んでいるけどそちらがお勧めだよ。
事故で足を失ったら義足を付けるでしょ。
あと力だけならパワードスーツでも十分だ。
まあ話がそれたが君たちの聞きたい事は予想出来る。
先ずはこちらのタブレット端末を貸そう。」

光輝は何もないところから一つのタブレット端末を取り出した。

光輝
「これは人工知能AIが組み込まれているから音声で操作出来るよ。
後はこれらかな。」

人数分のヘルメットとEX-ギアを出した。

光輝
「このヘルメットは学習システムを兼ねている。
またこちらはみんなも見ていると思うがEX-ギアと書いてエクスギアと呼んでいる。
空も飛べるがパワードスーツも兼ねている。
トールくんは興味深々の様なので、使ってみたいだろ。
学習システムを使えば時間が掛かっても30分で空を飛べるよ。
まずはそのタブレット端末で学習システムの使い方を調べてご覧。
そのタブレット端末で出来る事は学習システムでも出来るから。
手分けして情報を集めるといいよ。
おじさんは消えるよ。後は若い者同士でごゆっくりどうぞ。」

光輝はそう言い残すとその場から消えた。
全員が驚き、光輝の捨てゼリフで笑った。

ミリアリア
「おっおじさんって、ねぇ。」

ミリアリアは一番ツボに入ったのか、いつまでもクスクス笑っていた。

トール
「キラ、タブレット端末で学習システムの使い方を調べてくれよ。」

キラ
「…。
確か音声で操作出来るって言ったよな?」

キラは電源らしいボタンを押す。
画面にはWelcomeの文字が表示される。
キラはタブレット端末に向かって恥ずかしそうに話す。

キラ
「学習システムの使い方を教えて欲しいんだけれど。」

タブレット端末
「私はAIのオモイカネと言います。初めての利用ですね。命令口調で構いませんよ。
学習システムの使い方ですね。こちらが使い方です。音声でのナビゲートが必要なら言ってください。」

学習システムの操作は簡単だった。
ヘルメットをかぶりバイザーを降ろして「学習システムロード」と話し掛けるだけだった。
全員が5分とかからずマスターしていた。

ミリアリア
「たったこれだけなのに、コウキさんは使い方を教えてくれなかったのよ。」

サイ
「みんなを驚かせたかったんじゃないの。」

キラ
「僕もそう思う。
これ便利すぎるでしょ。
これらを普通学んだら、1時間以上掛かるよ。」

トール
「これ欲しいなぁ。」

カズイ
「僕も!」

サイ
「僕も同意。」

キラ
「アクセス権限がレベル1になってるよ。
コウキさんのレベル10が最高ってどれだけ情報量だろう。
因みに学習システムのハードを調べたら『アクセス権限がありません。』と表示されたよ。」

ミリアリア
「アクセス権限は0が一般で1がミスリルの二等兵になっているわ。
アクセス権限を一つ上げてくれたのね。」

キラ
「アクセス権限を下になら変更出来るみたいだよ。
レベル0だと表示されないものもレベル1だと表示されるよ。
コウキさんが言っていたモルゲンレーテとサハク家の情報も載っている。
ミスリルって一体どれ程の情報を持っているのか?」

サイ
「これを見るとコウキさんが言っていた事も真実みが増していくよ。」

キラ
「あれ?ザフトの情報が出ない。
レベル1でもオーブ限定になっている。」

「「あぁ。」」

サイ
「確かに。オーブ関連だけがレベル1にアクセス出来る様だ。」

ミリアリア
「確かにオーブの国民以外にこれだけの情報を見せたら大変だもんね。」

キラ
「あぁ。コウキさんは聞きたい事が予想出来るって言っていたから、レベルを上げてくれたんだ。
レベル1でも大変だと思う。」

ミリアリア
「トール、カズイ。
全然話に加わらないけど、趣味に走ってないでしょうね!」

「「スイマセン。」」

ミリアリア
「もう二人とも!
でもこれだけ情報を見せられたら信じるしかないよね。」

キラ
「僕の知っている事は全部正しかったよ。」

カズイ
「僕も。」

トール
「ねぇ。まだ時間あるし休憩しないか?
EX-ギア(エクスギア)だっけ。折角コウキさんが置いていってくれたんだ。
使ってみようよ。」

ミリアリア
「トールは遊びたいだけでしょう。
でも休憩は賛成ね。あまりの情報量に疲れたわ。」

Sideout



皆も同様でミリアリア提案を受けて休憩を挟んだ。
その後、トールごり押しで全員がEX-ギア(エクスギア)をマスターして空を飛ぶ事が出来た。
格納庫をローラーで疾走して整備兵に怒られたり、
飛行する姿をフラガが見つけ光輝にせがんでフラガがマリューに睨まれたり、
ドタバタはあったが…。



Side キラ・ヤマト

光輝
「皆の気持ちは理解した。
その上でミスリルからの提案だ。
アークエンジェルの進路は月面の基地だが基地には研究施設がない。
よって大西洋連邦にあるアラスカ基地ジョシュアに向かうと思う。
ミスリルはそれまで護衛することになるだろう。
そこで君達にはミスリルの仮の従業員として艦の運用を手伝ってもらいたい。」

キラ
「僕達がですか?」

光輝
「ああ、そうだ。
先の戦闘でアークエンジェルのクルーが不足している。
ミスリルから人員を送る事は出来るのだが、ぶっちゃけて言うと給金が高い事と別任務がある。
そこで君達を二等兵待遇で雇いたい。
君達は人を殺す事に抵抗あるだろうから管制や航行業務に充てるつもりだ。」

トール
「雇うって給料出るんですか。」

光輝はタブレット端末に給料の明細を見せた。

ミリアリア
「えっ。こんなに!」

「「すげぇ!」」

光輝
「学習システムを使ったなら分かるだろ。
ミスリルの人員はスペシャリスト集団だ。二等兵でも地球軍の士官クラスの待遇だ。
この艦とモビルスーツは重要機密だ。
戦闘に巻き込まれるだろう。
しかし、安心して欲しい。モビルアーマーを修復した魔法やマリュー艦長の怪我を直した魔法がある。
最悪の場合は、ミスリル艦やヘリオポリスへ転移可能だ。」

「「…。」」

皆は光輝の出した条件に呆れている。

光輝
「雇って直ぐに死なれると保険の支払いがバカにならないからな。」

光輝はウインクしながら、タブレット端末で保険の項目を見せる。

「「10億っ!」」

光輝
「安いぐらいだ。
モビルスーツは壊れたら交換できるが、人員は補充できても修練に時間が掛かる。
費用対効果を考えたならモビルスーツ1機分でも少ない方だ。
本当はアークエンジェルの様なボロイ艦には自分を守れるぐらいの人員しか乗せないのだが、
君達には地球とザフト軍の実態を見せたい。
そこで君達を守れる私が直接護衛する。
家族へ連絡したい者もいるだろうが、連絡手段は用意する。
今はヘリオポリスの職員以外は避難している状況だ。
避難者の移動は制限されている。
今はアークエンジェルの方が安全だ。
ザフトの捕虜がいても攻撃して来ないとも限らない。
保険を幾つか用意しているが。」

カズイ
「ボロイ。アークエンジェルって新造艦だよね。」

ミリアリア
「分かりました。
私はコウキさんを信じます。」

皆もミリアリア意見に同意した。

光輝はタブレット端末をミリアリアに渡した。

光輝
「皆はミスリルとの契約書を見ていてくれ。
キラ君には個別の相談がある。私の部屋へ移動しよう。」

キラ
「分かりました。」

「「キラ!」」

光輝
「大丈夫だ。私はノーマルだ!」

ミリアリア
(プスッ。そんな事を心配してないのに。)


所変わって光輝の部屋。
光輝とキラが部屋の中に入る。


キラ
「わぁ、一人部屋なんですね。」

光輝
「あぁ、私はアークエンジェルの護衛兼アドバイザーとしてこの艦に乗る。
ミスリルの機密もあって一人部屋を要求した。
ところで相談だが、君にモビルスーツに乗って欲しい。」

キラ
「僕がですか?」

光輝
「そうだ。君だ。
ただし、条件を出そう。
先ず待遇だが、少尉扱いとする。
次に君にはシミュレーターで総合評価で90点以上でないと実践には出さない。
更にストライクをちょっと改造して、照準補正を行う。
敵に向けたライフルはコックピットを狙わない。」

キラ
「そんな事が出来るのですか?
でもガンダムの処理能力では?」

光輝
「ガンダムか。
General
Unilateral
Neuro-Link
Dispersive
Autonomic
Maneuver
…Synthesis System
(ジェネラル・ユニラテラル・ニューロリンク・ディスパーシブ・オートノミック・マニューバー)
の頭文字だな。
それ貰った。キラ君の乗るモビルスーツのコード名にするか。」

キラ
「コード名ですか。」

光輝
「話がそれたが、今のままの演算能力では無理だ。
その為、量子コンピュータを噛ませる。
キラ君が乗った場合だけ、照準機能に割り込み掛ける。
未来予測を行って敵を行動不能にする。
主に頭部のメインカメラや武器を持つ腕などを攻撃する。
その辺はシミュレーターを使って実感して欲しい。
ミスリルの総合評価は厳しいぞ。
相手を殺したり、被弾したら減点だ。
キラ君の今の能力では50点が限界だ。
特別な能力に目覚めないと不可能だ。
90点以上とは安全に戦闘が出来るレベルだ。」

キラ
「僕にそんな能力が?」

光輝
「ある。
シミュレーターに私が戦闘したデータを入れてある。
100点満点の技術が見れる。
シミュレーターにはキラ君用に特別な訓練プログラムもある。
仮に戦闘になっても君のやる事アークエンジェルの護衛だ。
前線で戦うのは私が行う。
君にだけ私のモビルアーマーの仕様を見せよう。
機密度、レベル5だ。他言無用だ。」

キラ
「えっ!三形態変形。これはモビルスーツじゃないですか?
エンジン出力っ、戦艦クラスの出力・・・。
慣性制御…。
もう、でたらめです。何と戦うんですか?
プラントの技術でも大人と子供ぐらい違いますよ!」

光輝
「キラ君、オプションのフォールドブースターを忘れてるよ。」

キラ
「フォールドって何ですか?」

光輝
「空間跳躍、ワープと言えば分かるかな?
訓練で使わせて上げよう。
火星までひとっ跳び。」

キラ
「ひとっ跳びって。何を作っているんですか?」

光輝
「趣味かな?」

キラ
(趣味!この人おかしい)

キラは技術に驚き、モビルスーツに乗る事を丸め込まれた事を知らない。
光輝は密かに笑った。作戦成功と。
キラは一人共同部屋に戻った。

ミリアリア
「キラ、大丈夫。」

サイ
「顔色が悪いぞ。何かあったのか?」

キラ
「モビルスーツに乗る事になった…。」

サイ
「キラ、言っていたもんな戦いたくないって。」

キラ
「そうじゃない…。
レベル5の機密見せて貰ったんだ。
あの人、趣味だって言ってた。
絶対に変人だっ!」

ミリアリア
「キラが壊れた。」

キラが落ち着くのに、暫し時間が掛かった。

Sideout
 
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