FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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正々堂々
前書き
今日は某混沌の方や某ドラゴンボールの方が更新してたので昨日のお酒が抜けない中頑張って合わせようとした感じ。
え?なんで合わせたのかって?わかんない・・・雰囲気?
第三者side
『笑っちゃダメよあっぷっぷ!!』
ゲーム開始のコールがされ、互いに睨み合うリオンとレオン。その様子を見守っている両チームのサブ。
「この光景いいかも/////」
「二人とも見た目はいいからねぇ/////」
美形な二人が見つめ合っているとあって、顔を赤くして興奮しているのは天空の神とレズッ娘人魚。その様子が横目に入ったシリルとウェンディは、見て見ぬフリをしていた。
「「・・・」」
レオンとリオンはお互いを睨むような鋭い目付きで見据えている。
この時、リオンは零帝と名乗っていた時の自分を呼び覚ましていた。これにより彼は全ての人間を見下すことができる。自分よりも格下の人間が何をやろうと、彼の心には全く響かない。不意な変顔でもされれば笑ってしまうかもしれないが、にらめっこにおいてそれは常に警戒しているため不意を突かれることはない。
つまりこれは鉄壁の防御!!
それに対しレオンは自らの意識の全てを無にした。
彼は魔法学校時代、欠席することなく毎日授業に出ていたのだが、成績は決していいとは言えなかった。その理由は、つまらないと感じたものからは一切の意識を消し去ることができるからである。分かりやすく言うと“目を開けたまま眠っている”状態に自らの意志でなることができる。眠っている状態で何をされても彼には一切届かない。
つまり究極の守り!!
「・・・あのさ」
互いに絶対に破られることのない防御を展開している二人を見て、シリルが近くにいる三人に声をかける。
「これ決着つかないよね?」
素朴な疑問を投げ掛ける水髪の少年。プレイヤー二人は互いに相手から一切視線を外してはいない。そこはいいのだが、両者ともに笑わせるつもりが一切ないのだ。笑わないようにすることに重点を置きすぎており、ゲームの本質を完全に無視してしまっている。
「確かにそうだね」
「このまま見ててもいいけど・・・」
「夜になっちゃうよね」
どちらかの集中力が途絶えるまで待つのも一つの手ではあるが、夜には花火も控えているとあり時間をかけたくはない。だが、迂闊にレオンが笑わせようとすると誤って自爆する可能性も捨てきれない。
「俺たちでリオンさんから笑いを引き出さないと」
四人は視線を交わしうなずくと、何か彼を笑わせる、または動揺させるために使える何かがないかと準備室の中を物色し始めた。
「動かないな、あいつら」
シリルたちが動きを見せ始めた頃、リオンの後方の準備室で控えているカグラたちも彼らと同様の意見を持っていた。
「笑わせようとしろよ!!」
「キレんなよ」
一向に動かないゲームを前に苛立ちを隠せないトビーと冷静さを保ちつつも、どこか彼に賛同したい気持ちのあるユウカ。しばらくゲームの行方を見守ろうとしていた三人は動くべきか否か迷っていた。
「カグラちゃんカグラちゃん」
すると、彼らとともに戦いを見守っていた猫ミミの女性が、同じギルドに所属している女性へと声をかける。
「どうした?ミリアーナ」
「私ね、とっておきの作戦を思い付いちゃったぁ!!」
敵を笑わせるための方法を一人で考えていたというミリアーナは、早速何やら作戦を思い付いたらしく大はしゃぎだ。
「ほぅ。どんな作戦だ?」
「フフッ、あのね・・・」
周りに聞こえないようにと黒髪の剣士に耳打ちをするミリアーナ。カグラは最初冷静な表情でそれを聞いていたが、作戦の全貌がわかると大きく目を見開き、顔を真っ赤にしていた。
「い!!イヤだ!!私はそんなことは絶対にしないぞ!!」
何がそんなにイヤなのか、ミリアーナから慌てて距離を取るカグラだったが、準備室が大きくないこともあり簡単に壁際へと追い込まれてしまう。
「大丈夫!!カグラちゃんならできるよ!!ソフィアがそう言ってたもん!!」
「ソフィアァ!!」
ミリアーナの考えた作戦の元はギルドの年少娘から聞いたものらしく、カグラは敵にいるであろう少女の方をキッと睨み付ける。だが、準備室の様子は見えない作りになっているため、ソフィアにそれが届くことなどないのだが。
「お願いカグラちゃん!!やって!!」
「ふざけるな!!私は絶対やらないからな!!」
両手を合わせて懇願してくる仲間に背を向けて断固拒否する。しかし、それしか手はないとミリアーナは思っているようで、拒否する姿勢を崩さない剣士に抱きつきながら折れるのをじっと待っていることにしたのだった。
ウィィン
「!!」
カグラとミリアーナが揉めている頃、小さき魔術師に動きがあった。準備室の自動扉が開くと、リオンの目には数打てば当たると言わんばかりの量の小道具を持った少女たちの姿が入った。
「レオン、後ろにいるからね」
リオンからは彼女たちが動いていることがわかっているため大丈夫だが、レオンからは死角になっているため姿を確認できない。そのため、シリルは驚かせないようにと考慮して彼に声をかけてから接近していく。
ポスッ
なぜかパーティーのような三角帽やひげメガネをプレイヤーの少年にかけていく四人の少女。普通なら反撃するところではあるのだが、レオンは眠っている状態に近いので一切抵抗しない。
彼女たちの持ってきた小道具で出来上がったのは季節外れのクリスマス仕様になっている氷の神。真っ正面からそんなおかしな格好をした少年を見ていたいとこは、「だからどうした」と言った表情をしている。
「スゥゥゥゥゥ」
「??」
第一段階が不発に終わったチビッ子たちは次なる一手を放つため、シリルがレオンの真後ろへと入り大きく息を吸い込む。
ピーーー
彼が一気に息を吐き出すと、レオンの頭に乗せられた三角帽から三方向に向かって吹き戻しが伸びていった。
「・・・」
それを見ていたリオンだったが、特別面白かったわけでもなく、かといってビックリするわけではなかったため何も反応することはなく、せっかく考えたシリルはちょっと悔しそうにしていた。
ウィィン
シリルたちがリオンを笑わせようと奮闘していると、彼の味方もようやく動き出した。
「なんだ?」
早速出てきた人物に意識を集中させる少女たち。だが、彼女たちは現れた人物を見て訝しげな表情を浮かべる。
「ほ・・・本当にやるのか?」
準備室から出てきたのは黒を主としたロリータ系ファッションに身を包んでいるカグラだった。普段からは想像できない彼女の可愛らしい姿に、観客席の男たちは大興奮している。
「大丈夫大丈夫!!」
「とりあえずやってみろ」
「オオーン」
彼女に続いてミリアーナたちも準備室から出てくるが、特に小道具を持っている様子がなく、カグラの後押しに来たといった感じだった。
「くっ/////」
顔を真っ赤にしてリオンの後ろにやって来るカグラ。一体何をやろうとしているのか想像ができないチビッ子たちは、その姿を黙して観察している。
「か・・・カグラちゃんでいいですか?/////」
「ブフゥ!!」
両手の人差し指だけを立て、それを頬に付けて可愛らしくウインクをしてみせるカグラに思わず吹き出したのはその姿に見覚えのある水髪の少年。彼女のそれは、かつて彼が人魚の踵のお手伝いをした際に客の女性たちに向かって行ったそれと類似していた。
「「「くくっ・・・」」」
普段からは想像できない女性の姿に失笑する仲間たち。全力のアイドルスマイルで目の前の少年を笑わせようとしたカグラだったが肝心の彼は・・・
「・・・」
一切ブレることなく無表情を貫き通していた。
「・・・?」
元ネタを知らないリオンは?を浮かべるだけでどう反応すればいいのかわからないといった感じ。
同じくこれをシリルがやったものに似せてきたことを知らない観客たちは、ただ彼女の可愛らしい姿に興奮し、熱狂の渦が巻き起こっていた。
「/////」
ただ、これはレオンを動揺させるために行った行動。それが不発に終わったカグラは顔をリンゴのように真っ赤にしていた。
「わ・・・わわわわわ私は帰る!!」
「待って待って!!カグラちゃん怒らないで!!」
恥ずかしいポーズをした上に狙いの人物はピクリとも動かない。穴があったら入りたいほどの精神状態であるカグラは逃げようと試みるが、ミリアーナに取り押さえられて準備室へと一時対比させられていた。
「うわぁぁぁ!!レオン笑って!!そんな無反応やめてよぉ!!」
しかし、それはある人物にも大きなダメージを与えていた。カグラに物真似をされたシリルはそれに全く感心を示さない友人に、まさか自分があの行動をするのは当たり前だと思われているのではないかと勘違いしてしまい、激しく動揺していた。
「シリル!!落ち着いて!!」
「一回!!一回下がろう!!」
「切り替えよ!!切り替え!!」
味方プレイヤーをガタガタと揺する少年を見て大慌ての少女三人は彼を急いで引き剥がすと、落ち着けるために準備室へとウェンディとともに押し込めていた。
それからは両チーム、徹底的なネタバトルが繰り広げられた。
「好きだジュビア!!愛してる!!」
リオンのコスプレをしてジュビアに扮したシェリア(シリルが戦意喪失中のため)に向かって愛を叫ぶソフィア。それに対しリオンは何か言いたげだが、グッと堪える。
「泣いてる時の自分の真似」
もはや物真似なのかすら判断できないお題を繰り出してきたのは犬のような人。だが、それはいまだ目を開けて眠っている状態のレオンには通じず、空振りに終わる。
「「全然笑わないじゃんこの二人!!」」
ゲーム開始からすでに30分は経過したのだが、両者ともに全く笑いもしなければ動揺する様子もない。
「ソフィ――――」
「やらせねぇよ!!」
カグラに続いてシリルの真似をしようとしたソフィアだったが、いつの間にか復活した彼の手によって阻止される。他人が使ったネタを使用する辺り、ネタがなくなってきていることが見受けられた。
「じゃあどうすれば――――」
一体どうすれば二人が笑うのか思い付かないソフィアは邪魔する彼に視線を向け、固まった。しばらく固まった彼女は、悪いことを思い付いたような笑みへと変化する。
「シリル!!こっち来て!!」
「え!?」
少年の手を引き準備室の奥へと消えようとする銀髪の人魚。引っ張られている少年は何事かと目を白黒させていた。
「ソフィア!?」
「どうしたの!?」
「二人も来て!!すぐに!!」
何がなんだかわからないシェリアとウェンディが彼女の後を追いかけていく。人魚の鱗もレオンも彼女が何をしようとしているのかわからず、しばし呆然としていた。
ウィィン
しばらくして準備が整った少女たちが準備室から姿を現す。彼女たちが作戦を成功させるために何かをしている際も、レオンを狙ってトビーとユウカがネタを繰り出していたのだが、意識が戻りつつある彼も耐え凌ぎ現在に至っている。
「ほら!!早く早く!!」
「諦めて出てきなよ」
「頑張って!!」
扉が上がったのと同時にササッと出てきた少女たちだが、一人の人物がなかなか姿を見せない。
「や・・・ヤダ!!これは本当にムリだって!!」
腕を引っ張られながらも抵抗を続けているのが観客席からでもわかる。しかし、シリルは数の暴力で無理矢理引きずり出される。そしてその格好は、全ての人々を熱狂の渦に巻き込んだ。
「リオン立つな!!」
眉の濃い青年がシリルを見たと同時にプレイヤーの青年に待ったをかける。もしその声がなければ間違いなくリオンは立ち上がっていたことだろう。
なぜならシリルが、ジュビアのような髪形で、ミニスカメイド服で出てきたのだから。
「あ・・・あう・・・」
短いスカートを懸命に伸ばして中が見えないようにと抵抗するシリル。その姿がなんとも色っぽく、マーガレットの男たちは声をあげて喜んでいた。
「ほら、言われた通りにやって」
「む・・・ムリだよ・・・」
今にも泣き出しそうな表情のメイド。だが、ここまで来てしまっては逃れる術がない。ソフィア、シェリア、ウェンディの三人から圧力をかけられた彼は、潔く諦めるとレオンの真後ろに回り込み・・・
ギュッ
少年を強く抱き締めた。
「っ!?」
その刹那、青年の顔に力が入り、口元から血が流れてきた。最愛の女性が自分以外の男に抱き付いた悔しさで、彼は激しく怒りを覚え、体を震わせている。
「シリル!!もうちょっと頑張って!!」
ギリギリ聞こえるくらいの声で偽ジュビアに指示を出すソフィア。それを受けたシリルはさらに顔を赤くして少年に体を密着させていく。
その正面に座るリオンは今にも発狂しそうな表情になっている。それだけ彼女たちの考えた作戦が聞いているのだ。
「リオン!!正気を保て!!あれはシリルだ!!」
「オオーン!!」
青年の後ろではユウカとトビーが懸命に落ち着けようと声をかける。だが、偽ジュビアはその行為を無とするようにリオンが動揺しそうな行為を次々に繰り出してくる。
「・・・」
「ウェンディ、我慢して」
ただ、この作戦には欠陥がある。シリルがレオンにベタベタするのを見ているウェンディもリオンとともに発狂しそうなのだ。彼女の気持ちがよくわかるシェリアは、なんとかしようと声をかけていた。
「もうチューしちゃえ!!チュー!!」
後ろの二人とは対称的に楽しそうな笑みを浮かべるソフィアはさらに過激な要求をしてくる。それを聞いた瞬間シリルがさらに泣きそうになったが、無言の圧力をかけるソフィアを見て目線を下げる。
「ほ・・・ほっぺでいい?」
「仕方ないなぁ」
せめてもの妥協案としてほっぺにチューを提案するシリルとうなずくソフィア。それを聞いた途端リオンの体が大きく大きく震え上がったのが誰の目から見ても明らかだった。
「ダメ!!それはダメだって!!」
しかし、リオンが音を立てるよりも早くウェンディがシリルに飛び付いて動きを封じる。ソフィア的には勝てばいいと思っているところがあったが、ウェンディ的にはシリルとレオンがイチャつくのが見てられなくなってきたようで、シリルを押さえつけていた。
「リオン!!レオンだけに集中しろ!!」
「そうだ!!周りを気にしなきゃいけんだろ!!」
ジュビアの真似をしているシリルに目を奪われ過ぎているリオンにユウカたちが渇を入れると、彼はもう一度集中を高めてレオンへと意識を向ける。だが、その行為を待っていた人物がいたことに誰も気付いていなかった。
(なんだ?)
リオンがレオンを見た瞬間、彼が顔を両手で覆い隠す。その行為は敵から目を切っているためロスタイムに換算される。
「レオン?」
わずか2秒程度だったが、顔を隠した少年。しかし、その手を退けた途端、ひょっとこのような変顔をした少年が姿を現した。
「く・・・くくく・・・ハハハハハッ!!」
完全に不意を突かれた青年は堪えようとしたが、我慢することができずに大声で笑ってしまう。その瞬間、規定の30dbを越えてしまった。
その後レオンが目を離したロスタイムを待つ時間に入ったが、たかだか数秒などあっさりと過ぎ去っていき・・・
『ゲーム終了!!勝者!!小さき魔術師!!』
勝利のアナウンスが場内に響き渡った。
「誰が何をしようと関係ない」
予想だにしなかった結末に目を点にしている少年たちと敵のサブたち。見事勝利を納めた少年は椅子からゆっくりと立ち上がると、目の前のいとこを見下ろす。
「俺は正々堂々にらめっこで勝つ。それだけだ」
最強の魔導士としての貫禄を見せつけた氷の神。決勝戦の全ては最終戦へと託された。
後書き
いかがだったでしょうか。
サイレントにらめっこは一話で終了です。
次からは最終戦へと突入します。うまくできるかな?
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